炎のように

碧月 晶

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419.コイバナ

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「こいば…?何ですかそれ」
「恋愛話だよ。古今東西、好きな相手がいる同士がする会話っていったらこれに決まってるでしょ」
「そ、そうなんですか?」

 
好きな相手がいる同士…そういえばアズライトさんも知っているのか。何か…改めて意識すると恥ずかしいな。

 
「…あれ、じゃあアズライトさんもその…そういう人が?」
「いるねぇ」
「どんな人なんですか?」
「うーん…頑固で意地っ張りかな。でもそこが可愛いっていうかさ」

 
その人の事を思い浮かべているのだろう。アズライトさんの眦(まなじり)が柔らかく下げられる。

 
「頑張り屋で、自分にも他人にも厳しいけど人一倍優しくて、臆病な人」
「臆病、ですか?」

 
聞いているととても優秀な人のように思える。そんな人が一体なにを恐れているというのだろう。

 
「アルは?ヴァン様のどこが好きな訳?」
「えっ。それは…えと、その」
「うん?」

 
金糸みたいな髪も綺麗だと思うし、真紅の瞳も、俺を呼ぶ優しい声音も好きだと思う。
あとは…手、だろうか。落ち着かない気持ちにさせられる時もあるけど、それ以上に凄く安心する。

 
「………うん、ご馳走様です」
「ごち…?」
「つまり全部好きって事だね」
「そっ…う、ですけど」

 
思わず尻すぼみになっていく。自分が今いかに恥ずかしい事を言ったのか遅れて自覚した。

熱い頬を持て余していると、アズライトさんはもう堪えられないというようにふき出した。

 
「ブハッ、ごめんごめん。あんまりにも似てたもんだから揶揄いたくなって」
「似てたって…その人にですか?」

 
揶揄われていた事に何も覚えない訳ではないが、今はアズライトさんの想い人の方が気になる。

 
「そうそう。鉄仮面かと思ったら思いのほか素直な反応するし、大人びてるようで子供っぽかったりして。もう全部可愛い。目に入れても痛くないってこういう事をいうんだなって絶賛実感中」
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