炎のように

274.馴染む

それから、場面は進んだみたいで
見た事の無い所を荷車か何かに乗って移動しているような景色になった。





…ｽﾞｷﾝ





この場面になってから、何故か胸が痛い。
幸せそうだった先程のものとは違う感覚。



『ごめんなさい…』



聞こえてくる声は苦しそうで、悲しそうで、切なかった。
それに押し潰されてしまいそうだ。


ズキズキと痛む胸
深い、深い闇に捕らわれたような心地
息ができない訳ではないけれど、呼吸をする度にぎゅうぎゅうと重く緩く締め付けられる。


だけど、この感情の方は昔から知っているような
ずっと馴染みがあるようで
さっき感じた暖かいものより自然な感じがした。


まるで、そう感じる事が、思う事が当たり前で
この状態が、自分がいるべき、あるべき場所なのだと
言っているようだった。