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230.夢じゃない
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感じる温もりは口内にあっという間に侵入してきて
接触した部分からジンと何かが広がっていくような感覚がした。
それを感じた瞬間、煩いくらい頭の中に響いていた声が聞こえなくなって
突然俺の耳は音を拾えるようになった。
「んっ…んんン!」
な、にこれ
途端に聞こえてきた聞いた事もない自分の声。
それが聞こえてくるたび、ゾクリとした快感が身体を駆け抜けていく。
深くなるそれは俺の思考を段々と霞ませていった。
「ん…ふっ…ん…ハア…んンっ」
息が出来なくて
執拗に絡みつくそれから逃げようとすれば
追いかけられてもっと深くなった。
ん……あつ…い…も…だめ…
口の中のそれに奪われるように、身体中から力が抜けていって
頭がぼんやりとし始めた時、漸くそれから解放された。
「プハッ…ハア…ハア…ハア…ん…」
乱れた呼吸を整えていると頬に温もりを感じて、暗かった視界が色を取り戻していった。
ぼやけていたものがクリアになっていって
…だれか、いる?
段々とハッキリとしていく輪郭
その人は…
「…ヴァ…ン?」
「ああ。」
え?うそ…
会いたかった人が今目の前にいるのが信じられなくて
「…これ、ゆめ?」
「夢じゃない。ちゃんと、ここにいる。」
ヴァンは俺の手を取って、自分の胸へと押し当てた。
手の平から伝わってくる振動。
「…ほんと…だ…」
夢じゃない
そう言おうとしたけれど、最後まで言えたかどうか分からない。
接触した部分からジンと何かが広がっていくような感覚がした。
それを感じた瞬間、煩いくらい頭の中に響いていた声が聞こえなくなって
突然俺の耳は音を拾えるようになった。
「んっ…んんン!」
な、にこれ
途端に聞こえてきた聞いた事もない自分の声。
それが聞こえてくるたび、ゾクリとした快感が身体を駆け抜けていく。
深くなるそれは俺の思考を段々と霞ませていった。
「ん…ふっ…ん…ハア…んンっ」
息が出来なくて
執拗に絡みつくそれから逃げようとすれば
追いかけられてもっと深くなった。
ん……あつ…い…も…だめ…
口の中のそれに奪われるように、身体中から力が抜けていって
頭がぼんやりとし始めた時、漸くそれから解放された。
「プハッ…ハア…ハア…ハア…ん…」
乱れた呼吸を整えていると頬に温もりを感じて、暗かった視界が色を取り戻していった。
ぼやけていたものがクリアになっていって
…だれか、いる?
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その人は…
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「ああ。」
え?うそ…
会いたかった人が今目の前にいるのが信じられなくて
「…これ、ゆめ?」
「夢じゃない。ちゃんと、ここにいる。」
ヴァンは俺の手を取って、自分の胸へと押し当てた。
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夢じゃない
そう言おうとしたけれど、最後まで言えたかどうか分からない。
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