炎のように

碧月 晶

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224.傍で

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「………スー…スー……」

息苦しそうに眠るアルの傍らに腰を下ろす。

「アル…」

細い身体に巻かれた包帯が痛々しい。


冷たい…


頬に手を添えれば、伝わってくる低い温度に
何も出来なかった自分の不甲斐なさを責めた。

「………ん…………ヴァ…ン…」
「! アル!?」
「…………………………スー……」
「…ね、ごと?」

意識が戻ったのかと思ったけれど、アルの目はまだしっかりと閉じられていた。

「早く、起きてくれ…」

そう願い、アルの手を握ろうとした時だった。


ん?


その手が何かを握り込んでいる事に気が付いた。
拳から出ている紐は血に染まってしまっていたが見覚えがあった。
ギュッと固く、爪が食い込むまで握り込まれていたそれを、優しく一本一本解いていった。

「これ…」

開けられた手の平には、いつか俺がアルに贈った緑の宝石が乗せられていた。


ずっと、持って…?


こんな状態になっても、大事そうに握って離さないようにしていたアルに
これ以上ないくらい、嬉しさと愛しさが込み上げた。
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