炎のように

碧月 晶

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209.午後の sideアズライト

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すっかり遅くなってしまった…


夜もすっかり更けた深夜、俺は静まり返った街中を歩いていた。

「はー…」

今日の夕方頃、イグニート様に2度目の報告をした時の事を思い出す。









「彼がその子供である可能性が高いです。」
「………え?」
「私は……しますので、アズライトさんは…」
「ち、ちよっと待って!一体どういう事なんですか?」

戸惑う俺を余所に、どんどん話を進めていく彼。
堪(たま)らず待ったをかけた。

「…ああ、すみません。少し気が急いていたようです…。」

謝罪して、ちゃんと説明してくれた。

「まず、その子供が本当に能力を持っていて、そして両家を襲撃したのもその子供だったと仮定します。これなら裏切り者の子をわざわざ奴隷にしてまで引き取った事にも納得がいきますし、襲撃犯だったとしても、そんな貴重な存在の人間がいる事を他国に知られるのは、その子供の存在を隠しておきたい連中には非常に都合が悪い。」
「あ…それで事実を隠蔽(いんぺい)したと?」
「恐らくそうでしょう。次に、この子供がもし今も生きているとすれば16才になっているはずです。そして、今渡した資料に載っている彼もまた16才です。」

手元の資料に目を落とせば、

「…風の、能力者?」
「それと、確証はありませんが恐らくオラージュの出身です。」
「オラージュの…」

そして、読んでいく内にある部分に気が付いた。

「2年前に、現れた…?」

そう呟いて
思わず彼の顔を見れば、彼は黙って頷いた。
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