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173.手の感触
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その音は何故か、やけに鮮明に聞こえた。
真っ白になりかけていた頭が徐々に色を取り戻していく。
金属音の正体。それはヴァンに貰ったあのペンダントの金具部分が擦れた音だった。
貰ったあの日から密かに着け続けていたペンダント。
誰にも、ヴァンにも見えないように常に服の下に隠していた。ダメだと分かっていても、どうしても手放せなかった。
服の上からそれをギュッと握る。そうすれば、ヴァンがいつかのように、俺の頭を撫でてくれた気がした。
…落ち着け、あの時とは違う。大丈夫、大丈夫だから…
そう念じれば、次第に平静を取り戻していった。
「…あなたの好きにすれば、良いと思いますよ」
動揺を悟られぬよう落ち着いた声で返せた。
「そうですか。なら、もう戻りましょうか」
常に張り付けられた笑顔で、彼は隊がいるであろう方角に向かい始めた。
俺も後に続いた。…一応一定の距離は保って。
その後は、特に大きな邪魔も入らず何とか目的地まで荷を届ける事が出来た。
真っ白になりかけていた頭が徐々に色を取り戻していく。
金属音の正体。それはヴァンに貰ったあのペンダントの金具部分が擦れた音だった。
貰ったあの日から密かに着け続けていたペンダント。
誰にも、ヴァンにも見えないように常に服の下に隠していた。ダメだと分かっていても、どうしても手放せなかった。
服の上からそれをギュッと握る。そうすれば、ヴァンがいつかのように、俺の頭を撫でてくれた気がした。
…落ち着け、あの時とは違う。大丈夫、大丈夫だから…
そう念じれば、次第に平静を取り戻していった。
「…あなたの好きにすれば、良いと思いますよ」
動揺を悟られぬよう落ち着いた声で返せた。
「そうですか。なら、もう戻りましょうか」
常に張り付けられた笑顔で、彼は隊がいるであろう方角に向かい始めた。
俺も後に続いた。…一応一定の距離は保って。
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