炎のように

155.手段

 
「はーい、お待たせー。出来たよーアルちゃー……ウプッ」
「ご苦労様です。ついでに黙って下さい」

ふざけた事しか言わない奴の口に紙を飛ばして黙らせ、それと同時に奴が持ってきた契約書も飛ばして受け取った。

「ちょっとー力使うとかズルくないー？」
「そんなに言うならあなたも使えばいいじゃないですか」
「え～俺そんなに力強くないし～」
「そうですか、じゃあ失礼しました」
「ちょっ、無視しないでよー！」

用が終われば、こんなとこ長居は無用だ。それより待ち合わせ場所だと契約書を見る。

「ちょっと遠いな…」

指定された場所は、ここから少し離れた町付近の山中だった。恐らく山道の裏ルートを使うのだろう。


なるほど、確かにこれは護衛が必要だな。


非合法で手に入った商品は当然堂々と運ぶ事は出来ない。だからこういった方法で運ぶ。
だが、人目に触れない道という事は道中何があるか分からないという事でもある。
今回使われるルートは道が狭く、もし狙われば厄介だ。

さて、行き先が分かったところで一つ問題がある。

 
…どうやって行こうか

 
調子があまり良くない今、力は出来るだけ温存しておきたい。

 
…仕方ない、乗せていってもらうか