炎のように

碧月 晶

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153.嫌いな奴

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「はい、これが今回の依頼ねー」

仲介屋から依頼書を受け取る。
依頼の内容は、まぁ所謂闇市の商品の護送とついでにそれらを運ぶ人間の護衛。
要するにボディーガードみたいなものだった。
報酬も高いし申し分ない。

「じゃあ、これでお願いします。あと何しようとしてるんですか」

依頼書を渡しながら、俺の背に腕を回そうとしていた奴の喉元にナイフを突きつける。

「わー、相変わらずガード固いな~アルちゃんは♪」
「その呼び方は止めてくださいと言ったはずです」
「ん~?だってこの呼び方アルちゃん嫌いでしょ?」
「不愉快極まりないですね」
「だから呼んでるんだよ~」
「…………」
「アルちゃんも俺の事呼んでくれても良いんだよ~?」
「寝言は寝てから言ってください。それにあなたの名前なんて微塵も興味ないので知りません」
「ひどいなー、俺はねー──」
「覚える気もありませんから名乗って頂かなくて結構です。しようものなら二度と話せない体にしますよ」
「……また今度にしまーす」

先程からこの苛立つ話し方をしている頭の軽そうな男、こいつはこんなだが有能な仲介屋だ。
こんな奴でも仕事には使えるから利用しているが、そうじゃなかったら絶対関わりたくはない。

今の会話(と呼べる代物かどうか分からないが)をお聞き頂いた通り、俺はこいつが嫌いだ。
毛嫌いなんてレベルじゃない。嫌い過ぎてどれくらい嫌いかと考えるだけで反吐が出そうだ。

 
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