炎のように

50.再会

暗い視界の中、何か耳を劈つんざく音が聞こえた。

徐々に白けていく視界。


あれ、今寝てる？どうしてだっけ…ああ、そうだった。

 
その音の主であるものに声をかける。

「…ん。どうしたの？エテ…ル…」

我が眼を疑った。
いるはずのない、今最も会いたくない人物がそこに見える。

 
え？な、何で？どうしてここに？

 
驚きで言葉が発せない。
これ以上後ろに行けないのに背中で幹を押す。

「アル」

ザッと木の葉を踏む音がして、近づいてくると分かった瞬間

俺の体は逃げるために動いた。

「おい待て！！アル！！！」

背後の存在はそれほど遠くはない。

割と全力を出して逃げているのに、差は一向に広がらないどころか寧ろ縮まりつつある。
このままでは確実に追いつかれる。


どうやって逃げ切る？そもそも、恐らく自分と同等かそれ以上の相手にそれは可能なのか？


もう気配はもうすぐ後ろにまで迫っていた。

「アル！！！」
「…っ」

 

此方に伸ばされた手は…