炎のように

20.諦める

俺は、そんなものにずっと利用されてきたのか？そんな奴らにずっと従ってきたのか？

 
親子に目を向ける。

初めて殺したくないと思った人達だった。

だけど、俺のせいで、俺がいたから、俺に、関わってしまったから…だから…壊れた、壊してしまった。

 
嫌だ。こんな惨めな思いも、目の前が真っ暗な絶望も、胸が締め付けられるような苦しみも己の不甲斐なさも

 
全部、全部……嫌だ！！！

 

何かが切れた音がした。

 

ああ、もう、いいや。
全部、どうでもいい。
結局壊れてしまうなら、手に入れられないのなら。

 
それから、何か聞こえたような気がしたけれど
気が付いた時には、俺は大きな血溜りの中一人、立っていた。

手には赤く染まった剣、鉄臭い自分の体。

視線。

俺と同じように返り血を全身に浴び、恐怖の色に染まっている眼まなこをしている人がいた。

 

その人を見ても、もう何も感じなかった。