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61「後日談5」
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木漏れ日が降り注ぐ舗装された道を、花束を片手に歩く。
「ここか?」
「はい」
『名雪家之墓』と書かれた墓石の前に、雨月がそっと花束を供える。そして静かに一緒に手を合わせる。
今回、日本へ帰ってきたのは雨月の母親の墓参りを一緒にするためだ。
オレたちが生涯のパートナーになると誓い合ったあの日、オレは雨月の母親の墓参りをさせて欲しいと言った。生涯のパートナーとなった事を報告したかったのだ。
───『じゃあ、君のお母様にもご報告しないとですね』
雨月が当たり前のようにそう答えてくれた時、柄にもなく嬉しくて泣きそうになった事をよく覚えている。
「───…」
閉じていた目を開け隣を見ると、既に終えていたらしい雨月がオレをじっと見ていた。
「何だよ」
「いえ、幸せだなと思っただけです」
そう言った雨月が本当に嬉しそうに笑うものだから
「っ、そうかよ」
不意打ちの笑顔に心臓を撃ち抜かれた事を悟られたくなくて顔を背けた。
けれど、雨月はこちらの内心を分かっているかのように微笑むばかりで。
「~~~っ、行くぞ…!」
堪えきれず歩き出したオレの背後でクスクスと笑う声がしたけれど、赤くなっているであろう顔を見られたくなくて振り返る事は出来なかった。
そんなオレたちを、アザミの花束が優しく見守っているかのように一陣の風に揺れた───。
後日談ーendー
「ここか?」
「はい」
『名雪家之墓』と書かれた墓石の前に、雨月がそっと花束を供える。そして静かに一緒に手を合わせる。
今回、日本へ帰ってきたのは雨月の母親の墓参りを一緒にするためだ。
オレたちが生涯のパートナーになると誓い合ったあの日、オレは雨月の母親の墓参りをさせて欲しいと言った。生涯のパートナーとなった事を報告したかったのだ。
───『じゃあ、君のお母様にもご報告しないとですね』
雨月が当たり前のようにそう答えてくれた時、柄にもなく嬉しくて泣きそうになった事をよく覚えている。
「───…」
閉じていた目を開け隣を見ると、既に終えていたらしい雨月がオレをじっと見ていた。
「何だよ」
「いえ、幸せだなと思っただけです」
そう言った雨月が本当に嬉しそうに笑うものだから
「っ、そうかよ」
不意打ちの笑顔に心臓を撃ち抜かれた事を悟られたくなくて顔を背けた。
けれど、雨月はこちらの内心を分かっているかのように微笑むばかりで。
「~~~っ、行くぞ…!」
堪えきれず歩き出したオレの背後でクスクスと笑う声がしたけれど、赤くなっているであろう顔を見られたくなくて振り返る事は出来なかった。
そんなオレたちを、アザミの花束が優しく見守っているかのように一陣の風に揺れた───。
後日談ーendー
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