シスルの花束を

碧月 晶

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59「後日談3」

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だが、

「…オレはあいつ程お人好しじゃねえ」
「………」
「正直、お前の事は気に食わない」
「そう、だろうな…」

リアムが当然だというように苦笑する。その表情に思わず舌打ちを零す。

「? 何で舌打ちするんだ?」
「…何でもねえよ」

そう、これはオレのエゴなのだから。

「おい?どこに行くんだっ」

リアムの声を無視し、少し離れた場所に停車させていた車の方へと向かう。

近付けば、窓越しに中から見つめてくる眼差しと目が合う。
降りろと目で合図すれば、雨月は車から出てきた。

「もういいんですか?」
「ああ」

雨月はちらりとリアムの方を一瞥すると、事の次第を聞きたそうに見上げてくる。

「…こいつ、お前に言いたい事があるんだとよ」
「え?」
「なっ!お前、何言って──」
「男なら、最後くらいカッコつけろ」
「!」

オレの言わんとしている事が分かったのか、リアムがそれ以上うだうだ言う事はなかった。

「三門?」

話が見えないというようにオレとリアムを交互に見る雨月の肩に手を置く。

「喉乾いただろ、何か買って来てやるよ。…ついでにお前の分もな」

振り返り、そう言うと

「…礼は言わないからな」

リアムは悔しそうな顔をしていた。

「当たり前だろ」

そう言って、オレはその場を離れたのだった。

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