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十八
しおりを挟む「お主の魂にはどうやら悪しきものを浄化できる力があるようじゃ」
「あしきもの?」
「悪霊、と言うた方が分かりやすいか?」
「あ、悪霊…!?」
その響きの怖さに一気にサーッと血の気が引いていく。
「理由は分からんが、誰かの手によって掛けられたものには違いないじゃろう。今まではこの封印のお陰で浄化の力は抑えられていたのじゃろうが、どんな精巧なものでも時が経てば必ず綻びが生じ始める」
「!」
おもむろに近付いてきたかと思うと、八代君はペタリと俺の心臓の辺りに手を乗せた。
「確か、昔から不運だったと言っておったな」
「う、うん」
「この世に留まる霊は己の意思とは関係なく、その期間が長いほど悪霊になる可能性が高い。そういう輩は清らかなものや聖なるものに寄り着く習性がある。神社や寺といったようにの。それでも浄化しきれん者が悪へと転ずる。お主の『不運』は、弱り始めた封印の隙間から僅かに漏れ出た力に引き寄せられた悪霊や霊魂に纏わりつかれていたために生じたものじゃ」
「ま、まとわり…って」
「今日、ワシから離れた瞬間に多くの不幸に見舞われたじゃろう?」
二人のもとへと辿り着くまでに、数々の不運に見舞われた事を思い出す。
「え? じゃあ、今までツイてなかったのって全部俺に幽霊がたかってたからって事!?」
想像しただけでも、おぞましい絵面に死にそうになるのに
八代君は容赦なく言い切った。
「つまりお主は『不運体質』ではなく、霊を引き寄せやすい『霊媒体質』という事じゃ」
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