終の九生

碧月 晶

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(十五)

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暫くフワモフの毛並みを楽しんでいたが、「いつまでもじゃれているなら知らん」と言われ、慌てて姿勢を正した。

ただし、撫でるのは良いという許可は貰えた。


「どこまで話したか…ああ、そうじゃったな。稀におるのじゃ。死して尚、意図的にこの世に留まろうとするものが」
「意図的にって?」
「お主らの言う『幽霊』と呼ばれる者達じゃ。放っておけば悪霊にも成りかねん。そういう輩の魂を回収するのがワシの役目じゃ」
「警察みたいなもの?」
「そうじゃな。その認識で構わん」
「え、じゃああの彼は?」
「彼?」
「赤い眼の…」
「…ああ、あやつの事か」
「八代君の話だと、この世に不正に残りたがる幽霊?というか魂を取り締まるのが八代君のお仕事なんだよね?」


さっき、八代君は彼は人間だったと話した。
でも、どう思い出してみても幽霊には見えなかった。


「ほお、この時代の人間にしてはなかなか察しが良い。そうじゃ、奴は幽霊ではない。しかし、人間でもない」
「? どういう事?」
「奴が幽霊か人間かはこの際重要ではない。重要なのは、奴が『外道げどう』という事じゃ」
「げどう?」 


また新しい単語に頭が混乱する。


「魂は輪廻の輪によって転生する。じゃが、この輪廻の道を通らずに自らの意思で、転生を可能にした者がおる。この輪廻のことわりから外れた者を『外道げどう』と呼ぶ。理は不変でなければならん。それを無視した所行は重罪に当たる。だからワシは奴の魂を回収するために作られた」


「その次いでに低級幽霊共も回収しておるがな」と彼は付け加えた。

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