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五
しおりを挟む「伏せろ!」
一瞬、何が起こったのか分からなかった。
だけど、気が付けば俺の身体は無意識にその言葉に従っていた。
直ぐ目の前まで迫っていた赤黒い物体の先端が弾け飛ぶ。
ぶわっと広がる血生臭い匂いに顔をしかめた。
びちゃびちゃと嫌な音を立てて飛び散ったそれは、直ぐに残った物体の方へと集まっていく。
その様に、喉から短く悲鳴が上がった。
「チッ…、効かんか。おい、お主。死にたくなければ今すぐ失せよ」
「へ…?」
見上げた俺を、月を背に薄紫色の瞳が見下ろしていた。
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