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10-5 POV:リア
第226話:神薙様の魔力を回復させる方法とは
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「これがリア様の魔力量の推移です」
わたしの魔力残量がグラフ化された資料を見ると、右肩下がりで消費する一方であることが分かった。
先生が書いたと思われる『魔素を取り込む効率も低い可能性大』という小さな字のコメントが、得も言われぬ哀しみを添えていた。
魔力操作がヘタクソだという自覚はある。
さすがにここまで下手だと魔力も空になりやすいはずだし、自分の手ごたえとしてもバゴン!と暴発している感があるのだ。だから減りが早いのは仕方ない。
でも、まさか肉体の機能面まで劣っているなんて想定外だった。
稀代の神薙と名高いリア様は、哀しいことに救いようのないポンコツボディーだったのだ。
でも……、いいのです。
だって、アレンさんを助けるという最大の目的は果たせたのですもの。
魔法には人一倍興味はあるけれども、こればかりは仕方がないです。
ご縁がなかったのですねぇ……くすん。
「魔力の倉庫が大きいので、今はその貯蓄で食いつないでいる状態です。しかし、このままずっと魔法を使い続けるのは危険ですので、本日夕方の治癒魔法を最後としましょう。一旦使うのをお休みして回復期に入ってください」
「ハイ……わかりました」
もともと先生からは「魔力残量に限界が来た時点で魔法は使用禁止にする。そのときは諦めるように」と言われていた。
アレンさんが回復してくれたおかげで安心して充電期間に入れる。
目標とする魔力量に達するまでの間は基本的に魔法は使わない。しかし緊急時に限っては、「浄化魔法なら二回、治癒魔法なら一回」を上限として使っても良いと言われた。
そこで暴発させた場合、軽く体調を崩す可能性がある。でも、余裕を持って止めているので命に別状はないらしい。
自分でもこまめに残量を測り、記録を付けていくことにした。
「わたしの場合、たくさん寝ても魔力は回復しないのですよね?」
「ええ。リア様の場合、摂取する魔素は使い捨てに近いのです。飲食で摂取してから排出されるまでの間に偶然睡眠を取っていたならば、多少は回復量が多いかも知れません。しかし、その差はわずかなものだと思います」
「ほむ……。食べてすぐに寝たらウシさんになっちゃいますしねぇ」
魔力を早く回復させたいからと言って、食っちゃ寝・食っちゃ寝をしていたら、別の病気で早死にしそう。
「リア様、不便はご結婚までの間だけです。いずれ好きなだけ魔法を使えるようになりますよ」
へぇー、そうなのですかー。
……と思った直後、何かが引っ掛かった。
「ん? どうして結婚まで?」
わたしのポンコツ構造が結婚した途端優秀になるわけがない。
以前、同僚男子が「人妻って独身にはない魔力を感じるよな」と言っていたけれども、あれは全然意味の違う魔力だろう。
しかし、ここは異世界。
結婚式で何かの儀式をすると、人妻にしかない魔力がタップリ得られたりするのかも知れない。
もしやこれは期待をしても良い話でしょうか? わたしも人妻の魔力を持てるのでしょうか??
「実はそれが本日の主題になります。これからお話しすることは、本来ならヴィルがご説明する予定でした。こういった事態は彼としても想定外で、後回しになってしまったそうです。私からのご説明になることをお許し下さい」
先生は申し訳なさそうに言った。
「神薙には、劇的に魔力を回復させる方法が一つあります。その方法ならば簡単に全回復状態まで持っていけます。それは外から魔素を注入する方法なのです」
ほほう、外からちゅうにゅう。
しかも結婚後に、ですか。
ああー、これは……あれですね、あのぅ……わたしが期待していた人妻の魔力とはチョット違う気がしますねぇ。
「あの、センセ? なんだか、とても嫌な予感がするのですけれども……」
わたしの予感を肯定するように、先生は頷いた。
「恥じらいのある淑女には少々お伝えしづらいことです。しかし、やはり『男性から貰う』という言い方になります」
うあーっ、ヤッパリぃ。
もう、それ以上言わなくていいでーーす(泣)
「天人族の体液には、遺伝情報と共に大量の魔素が含まれております。そして、それを注入する場所も、魔力生成を行う部位に直通です」
んノオオォォォーッッッ!
わたしの心は叫んでいた。
どうしてこの世界は、わたしに普通の暮らしをさせてくれないのだろう。
事あるごとにソッチ方面の話に繋がっていく気がする。
魔法をたくさん使う神薙は夜の営みを頑張らないと死にます、と? そんな設定、心底要らないですッッ(泣)
先生は動揺するわたしを気遣いつつも「もう少しお話ししておきますね」と前置きして続けた。
わたしは「ヤー」とか「ワー」とか何でもいいから大声を出したい気分だった。
「魔素が注入された直後から、神薙の体内では爆発的な魔力生成が起こります。大概は一度ないしは二度の交わりで魔力が満たされるでしょう。満たされた後、許容量を超えて飽和状態となった魔力は体外へと溢れ出ます」
「ソ、ソウ、ナン……、デス、ネ……」
「天人族との交わりによって作られる神薙の魔力は、お二人の遺伝情報を含む特殊なもの。『生命の宝珠』とは、その溢れ出た神薙の魔力を吸い上げて集めるための特殊な魔石です。そして、それは新しい天人族の生命となります」
「なる、ほど……デス……。ハイ……」
神薙様がお仕事をすると、少子化対策に加えて自分の魔力補充もでき、一度で二度おいしいという話なのだろう。
また身体がプルプル震え始め、わたしはベチョッと机に突っ伏した。
わたしの魔力残量がグラフ化された資料を見ると、右肩下がりで消費する一方であることが分かった。
先生が書いたと思われる『魔素を取り込む効率も低い可能性大』という小さな字のコメントが、得も言われぬ哀しみを添えていた。
魔力操作がヘタクソだという自覚はある。
さすがにここまで下手だと魔力も空になりやすいはずだし、自分の手ごたえとしてもバゴン!と暴発している感があるのだ。だから減りが早いのは仕方ない。
でも、まさか肉体の機能面まで劣っているなんて想定外だった。
稀代の神薙と名高いリア様は、哀しいことに救いようのないポンコツボディーだったのだ。
でも……、いいのです。
だって、アレンさんを助けるという最大の目的は果たせたのですもの。
魔法には人一倍興味はあるけれども、こればかりは仕方がないです。
ご縁がなかったのですねぇ……くすん。
「魔力の倉庫が大きいので、今はその貯蓄で食いつないでいる状態です。しかし、このままずっと魔法を使い続けるのは危険ですので、本日夕方の治癒魔法を最後としましょう。一旦使うのをお休みして回復期に入ってください」
「ハイ……わかりました」
もともと先生からは「魔力残量に限界が来た時点で魔法は使用禁止にする。そのときは諦めるように」と言われていた。
アレンさんが回復してくれたおかげで安心して充電期間に入れる。
目標とする魔力量に達するまでの間は基本的に魔法は使わない。しかし緊急時に限っては、「浄化魔法なら二回、治癒魔法なら一回」を上限として使っても良いと言われた。
そこで暴発させた場合、軽く体調を崩す可能性がある。でも、余裕を持って止めているので命に別状はないらしい。
自分でもこまめに残量を測り、記録を付けていくことにした。
「わたしの場合、たくさん寝ても魔力は回復しないのですよね?」
「ええ。リア様の場合、摂取する魔素は使い捨てに近いのです。飲食で摂取してから排出されるまでの間に偶然睡眠を取っていたならば、多少は回復量が多いかも知れません。しかし、その差はわずかなものだと思います」
「ほむ……。食べてすぐに寝たらウシさんになっちゃいますしねぇ」
魔力を早く回復させたいからと言って、食っちゃ寝・食っちゃ寝をしていたら、別の病気で早死にしそう。
「リア様、不便はご結婚までの間だけです。いずれ好きなだけ魔法を使えるようになりますよ」
へぇー、そうなのですかー。
……と思った直後、何かが引っ掛かった。
「ん? どうして結婚まで?」
わたしのポンコツ構造が結婚した途端優秀になるわけがない。
以前、同僚男子が「人妻って独身にはない魔力を感じるよな」と言っていたけれども、あれは全然意味の違う魔力だろう。
しかし、ここは異世界。
結婚式で何かの儀式をすると、人妻にしかない魔力がタップリ得られたりするのかも知れない。
もしやこれは期待をしても良い話でしょうか? わたしも人妻の魔力を持てるのでしょうか??
「実はそれが本日の主題になります。これからお話しすることは、本来ならヴィルがご説明する予定でした。こういった事態は彼としても想定外で、後回しになってしまったそうです。私からのご説明になることをお許し下さい」
先生は申し訳なさそうに言った。
「神薙には、劇的に魔力を回復させる方法が一つあります。その方法ならば簡単に全回復状態まで持っていけます。それは外から魔素を注入する方法なのです」
ほほう、外からちゅうにゅう。
しかも結婚後に、ですか。
ああー、これは……あれですね、あのぅ……わたしが期待していた人妻の魔力とはチョット違う気がしますねぇ。
「あの、センセ? なんだか、とても嫌な予感がするのですけれども……」
わたしの予感を肯定するように、先生は頷いた。
「恥じらいのある淑女には少々お伝えしづらいことです。しかし、やはり『男性から貰う』という言い方になります」
うあーっ、ヤッパリぃ。
もう、それ以上言わなくていいでーーす(泣)
「天人族の体液には、遺伝情報と共に大量の魔素が含まれております。そして、それを注入する場所も、魔力生成を行う部位に直通です」
んノオオォォォーッッッ!
わたしの心は叫んでいた。
どうしてこの世界は、わたしに普通の暮らしをさせてくれないのだろう。
事あるごとにソッチ方面の話に繋がっていく気がする。
魔法をたくさん使う神薙は夜の営みを頑張らないと死にます、と? そんな設定、心底要らないですッッ(泣)
先生は動揺するわたしを気遣いつつも「もう少しお話ししておきますね」と前置きして続けた。
わたしは「ヤー」とか「ワー」とか何でもいいから大声を出したい気分だった。
「魔素が注入された直後から、神薙の体内では爆発的な魔力生成が起こります。大概は一度ないしは二度の交わりで魔力が満たされるでしょう。満たされた後、許容量を超えて飽和状態となった魔力は体外へと溢れ出ます」
「ソ、ソウ、ナン……、デス、ネ……」
「天人族との交わりによって作られる神薙の魔力は、お二人の遺伝情報を含む特殊なもの。『生命の宝珠』とは、その溢れ出た神薙の魔力を吸い上げて集めるための特殊な魔石です。そして、それは新しい天人族の生命となります」
「なる、ほど……デス……。ハイ……」
神薙様がお仕事をすると、少子化対策に加えて自分の魔力補充もでき、一度で二度おいしいという話なのだろう。
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