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『第二十五話』
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『いるかもしれないじゃない』という、須藤さんの悪質な冗談により迷子センターへ向かうと、本当に二人がいた。
施設内放送用らしき受話器を持つ施設の職員さんに必死にすがりつくテールと、それを真顔で説得する長谷川の二人が。
「……何があった?」
ひょっとすると、須藤さんはわかっていて僕をからかったのかもしれない。
というか、そうに違いない。
僕に気がつくや否や、テールがこちらに走り寄って来た。
「……おぉっと」
そのまま回り込んで背中に抱きつかれ、ちょっぴりよろめきそうになる。
テールはちょっと体をかたむけると、僕の肩ごしに長谷川をにらみつけた。
そんな視線にたじろぐ長谷川。
「お前、なにしたんだよ」
「俺は、ただ、迷子センターで呼び出してもらおうとだな……」
必死に弁解しようとする長谷川。テールの視線がいっそう冷たいものになる。無論僕のもだ。
職員さんもさぞ困っていたことだろう。知らぬ間にどこかへ行ってしまった。
そんな中、相変わらずくっついたままのテールに、ふーんと意味ありげな視線を送る須藤さん。何か察したらしいテールは、途端に赤くなって、僕の背中から一歩身を引いて離れた。
施設内放送用らしき受話器を持つ施設の職員さんに必死にすがりつくテールと、それを真顔で説得する長谷川の二人が。
「……何があった?」
ひょっとすると、須藤さんはわかっていて僕をからかったのかもしれない。
というか、そうに違いない。
僕に気がつくや否や、テールがこちらに走り寄って来た。
「……おぉっと」
そのまま回り込んで背中に抱きつかれ、ちょっぴりよろめきそうになる。
テールはちょっと体をかたむけると、僕の肩ごしに長谷川をにらみつけた。
そんな視線にたじろぐ長谷川。
「お前、なにしたんだよ」
「俺は、ただ、迷子センターで呼び出してもらおうとだな……」
必死に弁解しようとする長谷川。テールの視線がいっそう冷たいものになる。無論僕のもだ。
職員さんもさぞ困っていたことだろう。知らぬ間にどこかへ行ってしまった。
そんな中、相変わらずくっついたままのテールに、ふーんと意味ありげな視線を送る須藤さん。何か察したらしいテールは、途端に赤くなって、僕の背中から一歩身を引いて離れた。
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