#ツインテールな君

羽川明

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『第二十四話』

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「なんだ、何が不満なんだ」
「……」
  ツインの彼女は不満しかなさそうに目を細め、無言のままブンブン首を振る。
  掴んだ腕も、釣り上げられた魚よろしく逃れようと抵抗する。
  俺は男で、こっちは女性。常識的に考えて離すべきなんだろうが、また逃げ出されて見失うのは困る。
  波の出るプールで鉢合わせた時はためらいこそしたが、事情を話せば素直について来た。
  それが目的地を前にした途端これだ。この炎天下の中プールの外で裸足で突っ立ているのもいい加減辛い。
  だが、嫌がり方が尋常ではないので、このまま無理矢理引っぱっていくのも気が引けた。
……アイツの彼女なだけあって、何を考えているのかまるでわからない。
  話しかけてもほとんど返事が返って来ないので、なおさらたちが悪かった。
  ともかく、このままというわけにもいかない。
「なぁ、わかってくれ。俺たちは迷子なんだ、迷子センターに行くしかないだろ? アイツらもきっと待ってる」
  そう、目的地というのは迷子センターのことだ。その隣には落し物センター、裏には俺たちが連行された事務所がある。
「……絶対いないと思いますよ」
  頑なに拒む彼女を説得し、やっとのことで連れ込んだ。
  俺が中にいた施設の職員の男に事情を話し始めると、彼女は観念したようにへたり込み、青ざめた顔で黙り込んでしまった。
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