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『第十五話』
しおりを挟む散々初夏初夏言ったけど、世間様はまだ六月の頭で、梅雨入りだってしていないというから驚きだ。
あれからなんだかんだあって、僕は自転車に乗れるようになった。一方テールはと言うと、一向にうまくならず、ついにはすっかりいじけてしまった。
自分だけ仲間はずれにされたようで嫌だったのかもしれない。なんとなくわかる気がした。
ともあれ、むくれたテールに半ば八つ当たり気味にプールへ連れてってと急かされた僕は、念願叶って二人乗りを果たした。
……までは良かったものの、坂道の多さに早くも後悔し始めていた。
「ねぇ、僕らが初めて会った日のこと、覚えてる?」
もう何度目かの上り坂。テコでも降りないテールのために、僕は立ちこぎでじわじわと上っていた。
気晴らしになんとなく口を開くと、僕のお腹に回された腕が、大げさにビクリと震える。
「あの時も、テールはツインテールだったよね?」
ちょっぴり曇った小雨の日、とくにあてもなく歩いていた僕は、ふと立ち寄った服屋にて、ツインテールの店員さんに出会った。
『その髪型、似合ってますね』と、からかうように笑った僕に、テールは恥ずかしそうに目をそむけた。
それが僕らの出会いだった。
けれど、今思えばあれはおかしな話だ。テールは僕と二人きりの時にしかツインテールにしないし、あの服屋さんでもそれは同じだ。ならどうして、あの日だけは、ツインテールだったんだろう?
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