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54「風の使い手」
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夕刻に、急遽休みを貰ったカーティス様がお土産にメープルシロップを下さって、私は喜んだ。
お城のおやつの中でも、パンケーキは人気だし。
私もティア様も好きだ。
厨房にも、カーティス様はお魚の差し入れを下さった。
新鮮なうちに、夕食のメニューに追加しようと思う。
「美味そうないい鮭だ」
料理長がテーブルの上に鮭を置いて、メニューを考えている。
厨房のテーブルに料理人がわらわらと集まって来たので、私は提案した。
「きのこや野菜と一緒に鮭をホイル焼きにしましょうか?」
「良いですね。 おーい! スライムホイルまだあったよな!?」
私と話していた料理長が見習いに声をかけた。
「ハイ!」
こちらの世界ではメタルカラーのスライムがアルミホイルのように加工されている。
ラップになったり、ガラスの代用品になったり、水質浄化作用を持っていたり、この世界のスライムは有用過ぎる。
見習いの新人もいるから、一応料理指導というかレシピを教えていく。
良かったらそうしてくれとティア様と料理長に言われているから。
「生鮭の切り身、にんじん、エノキ、しめじみバター用意して下さい」
「はい!」
「後は~、刻みねぎに、オリーブオイル、レモンに醤油です。
塩をふりかけて、しばらく置いてください、10分くらい」
「塩をなじませる間に、野菜を準備します」
「はい」
「えのきとしめじは石付きを切り落とし、にんじんは細め、せん切りにします」
「はい」
「ホイルに油を垂らし、広げてください、その切ったにんじんとかで」
「はい」
「鮭の皮を下にして切り身を置いて」
「はい、皮にしっかり火を通す為ですね?」
「はい、その通りです」
「次に、鮭の奥と手前ににんじんを盛り付けます。
にんじんはきのこより火が通りにくいので、鮭の上ではなく、横などに」
「はい」
「しめじとえのきは鮭の上に盛り、最後にバターを上に、そうです、そしてホイルで包む」
「はい、ホイルで包みました、焼いていきます」
「お願いします、初めの火加減は中火、そして……」
料理人達に細々と指示を出して、鮭のホイル焼きを作っていただいた。
その日の夜に、鮭のホイル焼きをティア様達もご家族で美味しく召し上がって、私達も美味しく食べた。
バターの風味が豊かで、きのこなどの野菜もしっかり取れて嬉しい。
ご馳走さまでした!
* *
翌日。
午前中にお守り作りの続き。
また今日も紐を編んでいた。
お昼の準備の時間に厨房へ。
休んでいていいと言われ、城内の廊下を歩いていると、お昼にタコを揚げている子がいた。
ティア様がお城の使用人の子に作ってあげたタコだろう。
今日はなかなか風が強いから、子供が何人か集まってタコ上げをして遊んでいるようだった。
ちょっと足を止めてほのぼのした光景を見ていたら、さっきまで吹いていた風がやんだ。
「えー、次は僕の番だったのに~~」
タコの順番待ちしていた男の子がガッカリしてる。
──私も一応、風スキル持ちだ。
やってみようか。
風のコントロールの修行にもなるし。
あの周辺のみ、風を起こす……。
「あれ、今風吹いてるよ! タコ持って走って!」
「上がった~~!」
「上手、上手!」
タコを上げて遊ぶ子供の側を通りかかった大人も声をかけている。
風が再び吹いたので、子供達のタコ上げ遊びが、しばし復活した。
「リナさん! 何してるの、まだ昼食を食べてないでしょう?
早くしないと食いっぱぐれますよ!」
メイド仲間が昼食を食べずに風のコントロールをしていた私に、声をかけてくれた。
「あ、はい、今、行きます!」
「昨日の鮭も美味しかったわね! 夕食の」
「ええ、あの鮭、カーティス様の差し入れだったんですよ」
「え、あんなに沢山! お優しい事!」
遠くからも声が聞こえた。
「あなた達! 昼食の時間よ!」
城の使用人の子を預かる保育士も子供達を食事に呼びに来たようだ。
今日はここまで。
*
「風の精霊が凧と遊んでいましたね。リナさんでしょう?」
食堂に行ったら騎士様も数人いた。カーティス様も!
「あ、カーティス様、見てらしたんですか?
昼食の準備の為に厨房に来たら休んでていいと言われて……」
「お守り作りは順調ですか?」
「それなりです。ティア様が指導して下さっていますので」
「このキッシュ、サクサクで美味しいパイ生地ですね」
「ええ」
ランチではイケメン騎士様と同席してキノコとベーコンのキッシュを食べて、秋の味覚を満喫した。
更にお昼の3時のおやつには、ふわふわのパンケーキ。
カーティス様にいただいたメープルシロップをかけた。
美味しい!
──明日はいよいよティア様のお供で仮面舞踏会。
そう言えば、仮面を付けてのパーティーは初めてかもしれない。
お城のおやつの中でも、パンケーキは人気だし。
私もティア様も好きだ。
厨房にも、カーティス様はお魚の差し入れを下さった。
新鮮なうちに、夕食のメニューに追加しようと思う。
「美味そうないい鮭だ」
料理長がテーブルの上に鮭を置いて、メニューを考えている。
厨房のテーブルに料理人がわらわらと集まって来たので、私は提案した。
「きのこや野菜と一緒に鮭をホイル焼きにしましょうか?」
「良いですね。 おーい! スライムホイルまだあったよな!?」
私と話していた料理長が見習いに声をかけた。
「ハイ!」
こちらの世界ではメタルカラーのスライムがアルミホイルのように加工されている。
ラップになったり、ガラスの代用品になったり、水質浄化作用を持っていたり、この世界のスライムは有用過ぎる。
見習いの新人もいるから、一応料理指導というかレシピを教えていく。
良かったらそうしてくれとティア様と料理長に言われているから。
「生鮭の切り身、にんじん、エノキ、しめじみバター用意して下さい」
「はい!」
「後は~、刻みねぎに、オリーブオイル、レモンに醤油です。
塩をふりかけて、しばらく置いてください、10分くらい」
「塩をなじませる間に、野菜を準備します」
「はい」
「えのきとしめじは石付きを切り落とし、にんじんは細め、せん切りにします」
「はい」
「ホイルに油を垂らし、広げてください、その切ったにんじんとかで」
「はい」
「鮭の皮を下にして切り身を置いて」
「はい、皮にしっかり火を通す為ですね?」
「はい、その通りです」
「次に、鮭の奥と手前ににんじんを盛り付けます。
にんじんはきのこより火が通りにくいので、鮭の上ではなく、横などに」
「はい」
「しめじとえのきは鮭の上に盛り、最後にバターを上に、そうです、そしてホイルで包む」
「はい、ホイルで包みました、焼いていきます」
「お願いします、初めの火加減は中火、そして……」
料理人達に細々と指示を出して、鮭のホイル焼きを作っていただいた。
その日の夜に、鮭のホイル焼きをティア様達もご家族で美味しく召し上がって、私達も美味しく食べた。
バターの風味が豊かで、きのこなどの野菜もしっかり取れて嬉しい。
ご馳走さまでした!
* *
翌日。
午前中にお守り作りの続き。
また今日も紐を編んでいた。
お昼の準備の時間に厨房へ。
休んでいていいと言われ、城内の廊下を歩いていると、お昼にタコを揚げている子がいた。
ティア様がお城の使用人の子に作ってあげたタコだろう。
今日はなかなか風が強いから、子供が何人か集まってタコ上げをして遊んでいるようだった。
ちょっと足を止めてほのぼのした光景を見ていたら、さっきまで吹いていた風がやんだ。
「えー、次は僕の番だったのに~~」
タコの順番待ちしていた男の子がガッカリしてる。
──私も一応、風スキル持ちだ。
やってみようか。
風のコントロールの修行にもなるし。
あの周辺のみ、風を起こす……。
「あれ、今風吹いてるよ! タコ持って走って!」
「上がった~~!」
「上手、上手!」
タコを上げて遊ぶ子供の側を通りかかった大人も声をかけている。
風が再び吹いたので、子供達のタコ上げ遊びが、しばし復活した。
「リナさん! 何してるの、まだ昼食を食べてないでしょう?
早くしないと食いっぱぐれますよ!」
メイド仲間が昼食を食べずに風のコントロールをしていた私に、声をかけてくれた。
「あ、はい、今、行きます!」
「昨日の鮭も美味しかったわね! 夕食の」
「ええ、あの鮭、カーティス様の差し入れだったんですよ」
「え、あんなに沢山! お優しい事!」
遠くからも声が聞こえた。
「あなた達! 昼食の時間よ!」
城の使用人の子を預かる保育士も子供達を食事に呼びに来たようだ。
今日はここまで。
*
「風の精霊が凧と遊んでいましたね。リナさんでしょう?」
食堂に行ったら騎士様も数人いた。カーティス様も!
「あ、カーティス様、見てらしたんですか?
昼食の準備の為に厨房に来たら休んでていいと言われて……」
「お守り作りは順調ですか?」
「それなりです。ティア様が指導して下さっていますので」
「このキッシュ、サクサクで美味しいパイ生地ですね」
「ええ」
ランチではイケメン騎士様と同席してキノコとベーコンのキッシュを食べて、秋の味覚を満喫した。
更にお昼の3時のおやつには、ふわふわのパンケーキ。
カーティス様にいただいたメープルシロップをかけた。
美味しい!
──明日はいよいよティア様のお供で仮面舞踏会。
そう言えば、仮面を付けてのパーティーは初めてかもしれない。
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