49 / 58
49 「夏から秋へと」
しおりを挟む
「あら、このダイヤモンドのクラバットの飾り! 綺麗ですね!
大きいですし」
ティア様が大きなダイヤモンドの飾りを見て、感嘆の声をあげた。
「国王夫妻からのギルバート様へのお誕生日の祝いの品です」
私はギル様の贈り物を整理しながら説明した。
目録にそう書いてあったのだ。
「セレスティアナ、そのダイヤが欲しいならやるぞ」
「何言ってるんですか! おねだりじゃないですよ! ご自分で身に着けて下さい」
「20歳の誕生日の時にでも着ければ良かろう。……覚えていたら」
「んも~~。こんなに立派なダイヤなのに感動が薄い」
ギル様は高価な物を貰うより、ティア様とイチャイチャ出来る方が嬉しいんだと思う。
お茶を運びにお部屋に行ったらティア様をお膝に乗せて、後ろから抱きしめる体制でくっついてて、それはそれは幸せそうにしてたんだもの。
先日私が室内に入って来ても、そのまま動かないし。
とってもラブラブ過ぎたので、心の中で、ずっとお幸せに~~。
と、言って、私はカフェオレ置いてすぐさま部屋を出たくらいである。
*
午後になって、転移陣を使い、エーヴァ公爵領の白い海辺の別荘に来た。
この別荘は公爵夫妻から、ティア様への結婚祝いだ。
貴族の贈り物はスケールが違う。
「今日のおやつは何?」
「バスクケーキです、お好みで塩をふりかけてみても美味しいですよ」
「チーズケーキに塩?」
塩にギル様が反応した。
「味が引き締まり、甘さが引き立つので。紅茶の他にワインの用意もあります」
「じゃあ、塩をかけてみるか。……確かにワインが合いそうだ」
ギル様はワインを選び、それを口にした。
「私はケーキに苺ジャムをトッピングするわ」
「はい、ティア様、ジャムはここに」
「ありがとう」
ティア様はチーズケーキを美味しそうに食べている。
かわいい!
「ギルバート、後で松林を散歩しましょうか」
「そうだな」
「ワイン、飲み過ぎないで下さいよ」
「一杯しか飲まないから心配いらない」
「ティア様、まだ日差しが強いので、麦わら帽子の用意をしておきますね」
「ありがとう」
この後、バスクチーズケーキをギル様の姉であるシエンナ様にお裾分けした。
大変喜んでいただけた。
その後で、麦わら帽子を被って、松林を散歩した。
もちろん護衛騎士もちゃんとついて来ている。
「松林を歩くとハンバーガーを食べたくなるわ」
ティア様のセリフからして、日本の佐賀県の虹の松原でも思い出しているのだろうかと推測する。
唐津バーガー美味しかったよね。
「さっきチーズケーキを食べたばかりだぞ」
「そうですが、夕食はブラックペッパーを効かせたハンバーガーにしましょう!」
やっぱりそうだわ。
確かピリっとした胡椒が効いた美味しいハンバーガーだったもの。
「かしこまりました、夕食にはハンバーガーをお出ししますね」
「ありがとう」
「あ、見て、あそこ、松葉サイダー売りがいるわ」
「観光客もいるな、せっかくだから私達も売り上げに貢献するか」
ギルバート様が私や護衛騎士達の分もサイダーを買ってくれた。
爽やかで夏の名残りのような味だった。
夕食にはリクエスト通りにブラックペッパーを効かせたハンバーガーをお出しした。
ポテトやチキンナゲットも添えて。
美味しく召し上がっていただけて、私はほっこりとし、満足した。
* * * *
夏が過ぎて、秋が来た。
濃い緑から、白いフィルターがかかったような、金色のような色に移り変わった輝く庭を、洗濯物のカゴを持って歩いていると、ウィル坊ちゃまがヤギを散歩させていた。
足元では猫じゃらしが風に揺れている。
ふいに長身の黒髪男性が現れて、私に挨拶をくれた。
ワイバーンでどこかに出かけていたカーティス様が戻って来たようだ。
「ご機嫌よう、リナさん」
「カーティス様、お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました」
カーティス様は私に挨拶をくれた後で、ウィル坊ちゃまの方へ歩いて行った。
「どうぞ、ウィルバート様、ヤギ達にお土産ですよ」
何かの葉っぱ付きの枝葉を手渡している。
「ありがとう、カーティス。これ何の葉っぱ?」
「桑の葉です。実家で飼っていたヤギの好物だったので、こちらのヤギも好きかもしれません」
ウィル坊ちゃまは下生えの雑草を食んでいたヤギに葉っぱのついた小枝を差し出した。
すると、ヤギ達がわさっと寄って来た。
「あげてみる! ……わあ!、すごい勢いで食べる!
ほんとに好きなんだね! おいしいのかな?」
「桑の実は人間が食べても美味しいので、もしかしたら葉っぱも草食動物には美味しいのかもしれませんね」
ほのぼの~~。
かわいい光景だわ。
とても癒される秋の午後だった。
大きいですし」
ティア様が大きなダイヤモンドの飾りを見て、感嘆の声をあげた。
「国王夫妻からのギルバート様へのお誕生日の祝いの品です」
私はギル様の贈り物を整理しながら説明した。
目録にそう書いてあったのだ。
「セレスティアナ、そのダイヤが欲しいならやるぞ」
「何言ってるんですか! おねだりじゃないですよ! ご自分で身に着けて下さい」
「20歳の誕生日の時にでも着ければ良かろう。……覚えていたら」
「んも~~。こんなに立派なダイヤなのに感動が薄い」
ギル様は高価な物を貰うより、ティア様とイチャイチャ出来る方が嬉しいんだと思う。
お茶を運びにお部屋に行ったらティア様をお膝に乗せて、後ろから抱きしめる体制でくっついてて、それはそれは幸せそうにしてたんだもの。
先日私が室内に入って来ても、そのまま動かないし。
とってもラブラブ過ぎたので、心の中で、ずっとお幸せに~~。
と、言って、私はカフェオレ置いてすぐさま部屋を出たくらいである。
*
午後になって、転移陣を使い、エーヴァ公爵領の白い海辺の別荘に来た。
この別荘は公爵夫妻から、ティア様への結婚祝いだ。
貴族の贈り物はスケールが違う。
「今日のおやつは何?」
「バスクケーキです、お好みで塩をふりかけてみても美味しいですよ」
「チーズケーキに塩?」
塩にギル様が反応した。
「味が引き締まり、甘さが引き立つので。紅茶の他にワインの用意もあります」
「じゃあ、塩をかけてみるか。……確かにワインが合いそうだ」
ギル様はワインを選び、それを口にした。
「私はケーキに苺ジャムをトッピングするわ」
「はい、ティア様、ジャムはここに」
「ありがとう」
ティア様はチーズケーキを美味しそうに食べている。
かわいい!
「ギルバート、後で松林を散歩しましょうか」
「そうだな」
「ワイン、飲み過ぎないで下さいよ」
「一杯しか飲まないから心配いらない」
「ティア様、まだ日差しが強いので、麦わら帽子の用意をしておきますね」
「ありがとう」
この後、バスクチーズケーキをギル様の姉であるシエンナ様にお裾分けした。
大変喜んでいただけた。
その後で、麦わら帽子を被って、松林を散歩した。
もちろん護衛騎士もちゃんとついて来ている。
「松林を歩くとハンバーガーを食べたくなるわ」
ティア様のセリフからして、日本の佐賀県の虹の松原でも思い出しているのだろうかと推測する。
唐津バーガー美味しかったよね。
「さっきチーズケーキを食べたばかりだぞ」
「そうですが、夕食はブラックペッパーを効かせたハンバーガーにしましょう!」
やっぱりそうだわ。
確かピリっとした胡椒が効いた美味しいハンバーガーだったもの。
「かしこまりました、夕食にはハンバーガーをお出ししますね」
「ありがとう」
「あ、見て、あそこ、松葉サイダー売りがいるわ」
「観光客もいるな、せっかくだから私達も売り上げに貢献するか」
ギルバート様が私や護衛騎士達の分もサイダーを買ってくれた。
爽やかで夏の名残りのような味だった。
夕食にはリクエスト通りにブラックペッパーを効かせたハンバーガーをお出しした。
ポテトやチキンナゲットも添えて。
美味しく召し上がっていただけて、私はほっこりとし、満足した。
* * * *
夏が過ぎて、秋が来た。
濃い緑から、白いフィルターがかかったような、金色のような色に移り変わった輝く庭を、洗濯物のカゴを持って歩いていると、ウィル坊ちゃまがヤギを散歩させていた。
足元では猫じゃらしが風に揺れている。
ふいに長身の黒髪男性が現れて、私に挨拶をくれた。
ワイバーンでどこかに出かけていたカーティス様が戻って来たようだ。
「ご機嫌よう、リナさん」
「カーティス様、お帰りなさいませ」
「ただいま戻りました」
カーティス様は私に挨拶をくれた後で、ウィル坊ちゃまの方へ歩いて行った。
「どうぞ、ウィルバート様、ヤギ達にお土産ですよ」
何かの葉っぱ付きの枝葉を手渡している。
「ありがとう、カーティス。これ何の葉っぱ?」
「桑の葉です。実家で飼っていたヤギの好物だったので、こちらのヤギも好きかもしれません」
ウィル坊ちゃまは下生えの雑草を食んでいたヤギに葉っぱのついた小枝を差し出した。
すると、ヤギ達がわさっと寄って来た。
「あげてみる! ……わあ!、すごい勢いで食べる!
ほんとに好きなんだね! おいしいのかな?」
「桑の実は人間が食べても美味しいので、もしかしたら葉っぱも草食動物には美味しいのかもしれませんね」
ほのぼの~~。
かわいい光景だわ。
とても癒される秋の午後だった。
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒―
私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。
「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」
その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。
※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています
捨てた騎士と拾った魔術師
吉野屋
恋愛
貴族の庶子であるミリアムは、前世持ちである。冷遇されていたが政略でおっさん貴族の後妻落ちになる事を懸念して逃げ出した。実家では隠していたが、魔力にギフトと生活能力はあるので、王都に行き暮らす。優しくて美しい夫も出来て幸せな生活をしていたが、夫の兄の死で伯爵家を継いだ夫に捨てられてしまう。その後、王都に来る前に出会った男(その時は鳥だった)に再会して国を左右する陰謀に巻き込まれていく。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる