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41 「夜の共同作業」
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わりと思いつきで動く人間なので、後で恥をかくんです。私。
* * *
ひまわり畑のピクニックお茶会はつつがなく終了し、我々はライリーの温泉地の別荘へと戻った。
ティア様は新婚さんなので、城には一瞬帰ってもすぐに愛の巣に戻るのだ。
美しい景色とティア様の姿を記録のクリスタルで撮影もちゃんとできたし、後でじっくりと鑑賞しよう。
翌日の事。
日課の早朝鍛錬中のカーティス様にタオル的な布を差し入れるついでに、私はある提案をする。
「カーティス様、今度一緒に、指輪を見に宝石店に行きませんか?」
「え!?」
カーティス様は珍しく動揺した顔をした。
しまったな、これって逆プロポーズに聞こえたかも。
「あの、例のベルトの石よりはグレードが落ちる可能性はありますが、小さくても綺麗な婚約指輪はあるはずで、あれが下げ渡された宝石の指輪だと、後で弟さんの婚約者さんが知る事になれば、いわく的にこう……複雑な気持ちになる可能性が」
「ああ、セレスティアナ様から弟の婚約指輪の石の話を聞いて、気にされているのですね。
あの話ですが、実は指輪用の石を探してると言うより、ギャンブルで負けた弟が金目の物を欲していたから、私にそんな言い訳を作っていたようなのですよ……。家の恥です」
きゃあああああ! 藪蛇!
「な、なんで弟さんはギャンブルなんかに手を出してしまったのでしょう?」
お金に困って一攫千金狙い!?
「実は、婚約者でもない幼馴染の女の子が難病で……婚約者なら普通に家の金を使えば良かったのですが、ただの幼馴染の平民なので、自力でどうにかしようとしたらしいのです。
しかし助けてやりたいけど、治療代が高く、それで自分の小遣いをギャンブルで増やして、助けになろうとしたようです」
なんと!
弟さんって、ギャンブルでお金を増やそうとするような、ちょっとおバカさんだけど、友達思いの根は良い子みたいな感じかぁ。
「と、とにかく下げ渡された指輪を贈られる女性は居なくて、難病で苦しむ平民女性がいるんですね!
私、ティア様からエクストラポーションを売っていただけるよう頼んでみます!
先日出張で金貨をいただいたし、買えるかもしれません!
きっとティア様製のお薬なら効果があるんじゃないかと!」
「それならもう、私が竜騎士就任のお祝いとして、エクストラポーションをいただいた物が有るので、送ることにしました」
「え!? あ、もう?? 私、遅かったですね!」
「ありがとうございます、貴女の優しい真心は伝わりました」
カーティス様は少し、困ったような笑顔を浮かべた。……これは……苦笑?
わ、私は一人で空回りしてる気がする……っ!
「あ、では、結局ベルトの宝石はどうなったんですか?」
「弟がギャンブルで負けた分の補填に使ったそうです」
────……。
諸行無常。
「弟の事より、私は今、ギルバート様の誕生祝いの品に悩んでいまして、私にはリナさんのようにケーキを作る才能もありませんし」
「え!? ケーキで良ければ、私と一緒に作りませんか?」
「私が?」
「あ、騎士様は料理など、しません……よね?」
私はチラッと上目遣いでカーティス様のお顔を見たりした。
嫌そうな顔はしていない。
「いいえ、教えていただけるなら、手伝い程度なら私にも出来ると思います」
「じゃあ、一緒にケーキを作りましょう」
プライドの問題で出来ないとかではないのなら、きっと問題ないでしょう!
イケメンクッキング!
良いと思います。
私は主のティア様の旦那様のギルバート様の誕生日は形が残る物よりケーキとか料理の消え物にしようと思っていた。
変な誤解をされないように。
そんな訳で、夜に仕事が終わった時間に、別荘の厨房の方で、私はカーティス様と一緒にケーキを作る事になった。
ちなみに作ったケーキはティア様に頼んでインベントリに入れて貰えば、傷むこともなく、安心である。
ティア様の許可はすんなり貰えた。
* * *
ひまわり畑のピクニックお茶会はつつがなく終了し、我々はライリーの温泉地の別荘へと戻った。
ティア様は新婚さんなので、城には一瞬帰ってもすぐに愛の巣に戻るのだ。
美しい景色とティア様の姿を記録のクリスタルで撮影もちゃんとできたし、後でじっくりと鑑賞しよう。
翌日の事。
日課の早朝鍛錬中のカーティス様にタオル的な布を差し入れるついでに、私はある提案をする。
「カーティス様、今度一緒に、指輪を見に宝石店に行きませんか?」
「え!?」
カーティス様は珍しく動揺した顔をした。
しまったな、これって逆プロポーズに聞こえたかも。
「あの、例のベルトの石よりはグレードが落ちる可能性はありますが、小さくても綺麗な婚約指輪はあるはずで、あれが下げ渡された宝石の指輪だと、後で弟さんの婚約者さんが知る事になれば、いわく的にこう……複雑な気持ちになる可能性が」
「ああ、セレスティアナ様から弟の婚約指輪の石の話を聞いて、気にされているのですね。
あの話ですが、実は指輪用の石を探してると言うより、ギャンブルで負けた弟が金目の物を欲していたから、私にそんな言い訳を作っていたようなのですよ……。家の恥です」
きゃあああああ! 藪蛇!
「な、なんで弟さんはギャンブルなんかに手を出してしまったのでしょう?」
お金に困って一攫千金狙い!?
「実は、婚約者でもない幼馴染の女の子が難病で……婚約者なら普通に家の金を使えば良かったのですが、ただの幼馴染の平民なので、自力でどうにかしようとしたらしいのです。
しかし助けてやりたいけど、治療代が高く、それで自分の小遣いをギャンブルで増やして、助けになろうとしたようです」
なんと!
弟さんって、ギャンブルでお金を増やそうとするような、ちょっとおバカさんだけど、友達思いの根は良い子みたいな感じかぁ。
「と、とにかく下げ渡された指輪を贈られる女性は居なくて、難病で苦しむ平民女性がいるんですね!
私、ティア様からエクストラポーションを売っていただけるよう頼んでみます!
先日出張で金貨をいただいたし、買えるかもしれません!
きっとティア様製のお薬なら効果があるんじゃないかと!」
「それならもう、私が竜騎士就任のお祝いとして、エクストラポーションをいただいた物が有るので、送ることにしました」
「え!? あ、もう?? 私、遅かったですね!」
「ありがとうございます、貴女の優しい真心は伝わりました」
カーティス様は少し、困ったような笑顔を浮かべた。……これは……苦笑?
わ、私は一人で空回りしてる気がする……っ!
「あ、では、結局ベルトの宝石はどうなったんですか?」
「弟がギャンブルで負けた分の補填に使ったそうです」
────……。
諸行無常。
「弟の事より、私は今、ギルバート様の誕生祝いの品に悩んでいまして、私にはリナさんのようにケーキを作る才能もありませんし」
「え!? ケーキで良ければ、私と一緒に作りませんか?」
「私が?」
「あ、騎士様は料理など、しません……よね?」
私はチラッと上目遣いでカーティス様のお顔を見たりした。
嫌そうな顔はしていない。
「いいえ、教えていただけるなら、手伝い程度なら私にも出来ると思います」
「じゃあ、一緒にケーキを作りましょう」
プライドの問題で出来ないとかではないのなら、きっと問題ないでしょう!
イケメンクッキング!
良いと思います。
私は主のティア様の旦那様のギルバート様の誕生日は形が残る物よりケーキとか料理の消え物にしようと思っていた。
変な誤解をされないように。
そんな訳で、夜に仕事が終わった時間に、別荘の厨房の方で、私はカーティス様と一緒にケーキを作る事になった。
ちなみに作ったケーキはティア様に頼んでインベントリに入れて貰えば、傷むこともなく、安心である。
ティア様の許可はすんなり貰えた。
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