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37 「不意打ち」
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「あの、私が私用のドレスを買う為に王都のドレスショップへ行くのですか?」
「そうよ、次はギルバートの誕生日が有るから、今度はワンピースではなく、あなたもちゃんとしたドレスを着る必要があるの」
私はメイドなんですが……。
「裏方ならメイド服でも……」
「その日は裏方はいいから、リナは私の側でドレスを着るの」
「は、はい、でも本当に私の服を買う為だけに?」
「じゃあ私のお茶会用のドレスも二、三着、見繕って来て。
サイズのメモは渡しておくから」
ティア様は机の中から紙を取り出し、私に渡した。
「わ、私がティア様の服を選んでも良いのですか!?」
「ええ、そうよ、あなたの好みで良いわ」
わあ! 嬉しい! 推しに着せたい服を選べるなんて!
「護衛にカーティスをつけるわ。
行くのは王都のショップだから、色々見物して来て良いから」
「あ、ありがとうございます」
最近お祭りでもカーティス様とは二人になったばかりなのに、良いのかしら?
でも突然のモグラ襲撃の事もあって、ティア様は私を心配してご自分の護衛騎士をつけてくれるのかもしれない。
王都に巨大モグラは出ないと思うけど。
*
お出かけする日になった。
私は濃紺のワンピースを着て、カーティス様から頂いたリボンを髪に飾った。
せっかくの贈り物だし、着けている所が見たいかもしれないので。
「カーティス様、本日はよろしくお願いします」
「はい、お任せ下さい。リナさんは私がお守りいたします」
わー、今日もカーティス様はかっこいいな!
などと思いつつも、転移陣を使うので、あっという間に王都の神殿!
「ここからは馬車移動です」
「はい」
馬車は既に手配されていた。
乗り降りの際には手を取ってエスコートをしていただいた。
私が頼んだ訳じゃなく、ごくスマートにそうされたのだ。
丁重な扱いにドキドキしながらも早くもドレスショップに到着した。
「ああ、これもそれもティア様に着せたい」
ドレスカタログを見ながら目移りしている私だった。
「セレスティアナ様はお美しいので、どれもお似合いだと思いますわ」
だよね! ドレスショップの店員さんもそう思うよね!
「でも、選ばないと……この……三点をお願いします。サイズはこのメモ通りに」
私は預かって来たメモを店員さんに渡した。
「かしこまりました」
「リナさん、次はご自分のドレスですよ」
「私は出来合いのドレスで入るので……」
ティア様はお胸が大きくて、たわわなので市販の物がキツい事が有るから、最近はほぼオーダーだ。
胸元が柔らかい素材で、伸縮するアラクネーの糸で作られたフリーサイズ系のドレスなら入るけど。
「セレスティアナ様がリナさんが決めかねるようなら、私に見立てておけと言われたので、これなど、いかがでしょう?」
え!? そうなんですか!?
カーティス様が私用に選んでくれたのは、清涼な雰囲気の綺麗なアイスブルーのドレスだった。
「夏ですからね、綺麗なアイスブルーのドレスは涼しげで良いですね」
「それと、秋用に赤いドレスも用意しておきましょう」
あ、秋用か……。
紅葉カラーかな?カエデの木はこっちにもあるものね。
「私はブラウンとかでも良いですよ」
「ブラウンがお好きなのですか?」
なるべく地味な……。
「ええと、茶系は上品ですよね。温かい大地の色ですし」
「そう言えば、セレスティアナ様も茶系のワンピースをラテカラーで可愛いとかおっしゃっていました。
ラテがなんなのか知りませんが」
カフェラテ……コーヒー牛乳的な事なんだけど、ティア様ったら、こっちにコーヒー見つけてないのにうっかり情報を漏らしてらしたのね。
なんとか誤魔化そう。
「そういう色のお茶があるんです。
タンポポの根っこから作って、たんぽぽコーヒーとか……。
ミルクを混ぜると……多分そういう色になるだろうと思います」
正確にはコーヒーの代用品だと思うけど、たんぽぽコーヒーって商品は日本で見た。
「たんぽぽコーヒー。たんぽぽの根っこを飲むんですね」
「乾燥や焙煎、粉砕の過程を経て、成分を抽出するんです。
ちょっと面倒ですが、これは妊婦さんでも飲めるんですよ」
ノンカフェインだし。
「そうなんですか」
「じゃあこのブラウンのドレスはどうですか?」
「そうですね、とても高貴な感じです」
外見はリリアーナ王女だし、高貴なデザインも似合ってしまう。
せっかく選んでくださったのだし、それにしよう。
「他は何色にしますか? 次は冬用で」
「あ、そこの深いグリーンのドレスを」
ピンクとかめちゃくちゃ愛らしい華やかなのを選ばれる前に、渋めの色を自分で選んだ。
「緑色がお好きなのですか?」
「そ、そうですね! ティア様の瞳もグリーンですし!」
渋めのを選んだとは言えない。
でも、そもそもグリーンは好きだし、嘘ではないわね。
ドレスを選び終わり、店を出た。
オーダーメイドのティア様のドレス以外は、カーティス様がギルバート様に借りて来た魔法の収納布の中に入れた。
「さて、次ですが、リナさん、どこか行きたい所はありますか?
一日休みらしいので、行ってみたい好きな場所があれば言ってください」
え? あ、そう言えばティア様は色々見物して来ていいって確かに言われた。
ドレスショップから直帰しなくてもいい……。
でも、基本的に私は使用人……メイドだ。
ショッピングのように楽しく遊んでばかりのような事は気が引ける。
……よし、働こう!
「治療院か、孤児院など。
ティア様の名代だと言えば主人の名声も上がりますよね」
こう言えば断らないはず!
「奉仕活動ですね、分かりました」
セーフ! 許可出た! 読み通り!
「まず、治療院に行き、それから孤児院に行きます」
「はい」
また出産しそうな妊婦さんとかいるかな?
*
治療院に到着し、私は受付でティア様の名代で慰問に来たと伝えた。
「ぐああ! 痛え──っ! 俺の足がぁ……っ!」
「今、止血するから耐えるんじゃ!」
担架に乗せられて病院に運ばれて来た患者発見!
お医者様とは反対側に私は回り込んだ。
『慈悲の手!』
「あれ!? 痛みが消えた!」
突然足に大怪我してる患者さんを見て、私は思わずスキルを使ってしまった。
「なんと! よく分からん奇跡じゃが、今のうちに縫うぞい!」
「一時的に痛覚が消える魔法です、後はよろしくお願いします!」
「あ、貴女は……?」
患者さんが私を見て驚いていたが、お医者様は忙しいので、かまってられない。
「よし、処置室へ急げ!」
「あ、ありがとうございましたぁ~~!」
慌てながらも患者さんはお礼を言ってくれた。
私は運ばれて行く患者さんに手を振った。
手術頑張って!
さて、他の患者さんは……
「看護師さん、頭が割れるように痛いんです、鎮痛剤を、薬を下さい」
「まだ前回のお薬の時間から三時間も経っていませんから、ダメですよ、我慢してください」
頭痛を訴えている女性患者発見!
「うう……こんな痛いままなら、もう死んだ方がマシだわ……」
ちょっと待って! 待って! 物騒な事を!
「あの、一時しのぎではありますが、私が痛みを消す魔法をかけますね」
「え?」
『痛みよ、今ひととき、消え去れ! 慈悲の手!』
「あ! 痛みが……消えました! ありがとうございます。
あら、貴方様は……」
「ライリーから来ました! では私はこれで……」
「え!? あ……」
戸惑う患者さんを置いて、次の場所へ向かう。サクサク行くわよ!
「カーティス様、次は孤児院へ」
「はい」
馬車で移動して、孤児院に到着した。
案の定、痩せている子供が多い。
あまり良い物は食べてないみたいなので、私は院長に厨房に入っていいか交渉した。
「子供達に手料理を食べさせてあげたいので、お料理を手伝ってもいいですか? 食材代はこちらで出します」
私は自分のお財布から金貨を一枚出した。
「まあ、ありがとうございます!
慈悲深い使徒様の使いの方に感謝いたします」
私は厨房に入って、今有る食材を見た。
卵、トマト、玉ねぎ、にんじん、ファイバスというこちらの世界の米があったので、私は厨房を借り、オムライスを作った。ちょうどお昼くらいの時間だったので、自分達の分も作った。
出来上がった料理を食堂に運んだ。
「さあ、みんなでいただきましょう。使徒様のお恵みですよ」
院長先生が皆を促す。
私は食堂に集った子供達やシスター達と一緒のテーブルについた。
カーティス様も一緒で、私の隣に座っている。
「わあ! これなに?」
「ふわふわ卵のオムライスという料理よ」
「美味しそう!」
黄色い卵に赤い手作りケチャップを使った。
赤と黄色で色味も可愛いから子供受けする。
「「いただきます!」」
「……美味しい!」
「ふわふわ卵……美味しい……!」
子供達にもシスター達にも好評で良かった。
「リナさん、私までいただいて良かったのでしょうか?」
「ちょうどお昼時ですし、金貨なので食材代と考えたら余裕でお釣りが来ますよ」
「そうですね、でもあれは主から預かっていたお金ですか?
ドレスの時と違い、別のお財布から出していたような」
「先日、他所の夫人の出産手伝いで謝礼金をいただいたので、大丈夫です」
「……今日、私が贈ったそのリボンを着けて来てくださったんですね、似合っています」
カーティス様はそう言って嬉しそうに笑った。
「ゴホ……ッ! ゴホッ」
む、咽せた!
何で今、こんな時におっしゃるの!?
「リナさん! だ、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫……っです」
私はそう言って、慌てて水を飲んだ。
あー、イケメンの不意打ちの極上の笑顔、びっくりする。
心臓に悪い。
「そうよ、次はギルバートの誕生日が有るから、今度はワンピースではなく、あなたもちゃんとしたドレスを着る必要があるの」
私はメイドなんですが……。
「裏方ならメイド服でも……」
「その日は裏方はいいから、リナは私の側でドレスを着るの」
「は、はい、でも本当に私の服を買う為だけに?」
「じゃあ私のお茶会用のドレスも二、三着、見繕って来て。
サイズのメモは渡しておくから」
ティア様は机の中から紙を取り出し、私に渡した。
「わ、私がティア様の服を選んでも良いのですか!?」
「ええ、そうよ、あなたの好みで良いわ」
わあ! 嬉しい! 推しに着せたい服を選べるなんて!
「護衛にカーティスをつけるわ。
行くのは王都のショップだから、色々見物して来て良いから」
「あ、ありがとうございます」
最近お祭りでもカーティス様とは二人になったばかりなのに、良いのかしら?
でも突然のモグラ襲撃の事もあって、ティア様は私を心配してご自分の護衛騎士をつけてくれるのかもしれない。
王都に巨大モグラは出ないと思うけど。
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お出かけする日になった。
私は濃紺のワンピースを着て、カーティス様から頂いたリボンを髪に飾った。
せっかくの贈り物だし、着けている所が見たいかもしれないので。
「カーティス様、本日はよろしくお願いします」
「はい、お任せ下さい。リナさんは私がお守りいたします」
わー、今日もカーティス様はかっこいいな!
などと思いつつも、転移陣を使うので、あっという間に王都の神殿!
「ここからは馬車移動です」
「はい」
馬車は既に手配されていた。
乗り降りの際には手を取ってエスコートをしていただいた。
私が頼んだ訳じゃなく、ごくスマートにそうされたのだ。
丁重な扱いにドキドキしながらも早くもドレスショップに到着した。
「ああ、これもそれもティア様に着せたい」
ドレスカタログを見ながら目移りしている私だった。
「セレスティアナ様はお美しいので、どれもお似合いだと思いますわ」
だよね! ドレスショップの店員さんもそう思うよね!
「でも、選ばないと……この……三点をお願いします。サイズはこのメモ通りに」
私は預かって来たメモを店員さんに渡した。
「かしこまりました」
「リナさん、次はご自分のドレスですよ」
「私は出来合いのドレスで入るので……」
ティア様はお胸が大きくて、たわわなので市販の物がキツい事が有るから、最近はほぼオーダーだ。
胸元が柔らかい素材で、伸縮するアラクネーの糸で作られたフリーサイズ系のドレスなら入るけど。
「セレスティアナ様がリナさんが決めかねるようなら、私に見立てておけと言われたので、これなど、いかがでしょう?」
え!? そうなんですか!?
カーティス様が私用に選んでくれたのは、清涼な雰囲気の綺麗なアイスブルーのドレスだった。
「夏ですからね、綺麗なアイスブルーのドレスは涼しげで良いですね」
「それと、秋用に赤いドレスも用意しておきましょう」
あ、秋用か……。
紅葉カラーかな?カエデの木はこっちにもあるものね。
「私はブラウンとかでも良いですよ」
「ブラウンがお好きなのですか?」
なるべく地味な……。
「ええと、茶系は上品ですよね。温かい大地の色ですし」
「そう言えば、セレスティアナ様も茶系のワンピースをラテカラーで可愛いとかおっしゃっていました。
ラテがなんなのか知りませんが」
カフェラテ……コーヒー牛乳的な事なんだけど、ティア様ったら、こっちにコーヒー見つけてないのにうっかり情報を漏らしてらしたのね。
なんとか誤魔化そう。
「そういう色のお茶があるんです。
タンポポの根っこから作って、たんぽぽコーヒーとか……。
ミルクを混ぜると……多分そういう色になるだろうと思います」
正確にはコーヒーの代用品だと思うけど、たんぽぽコーヒーって商品は日本で見た。
「たんぽぽコーヒー。たんぽぽの根っこを飲むんですね」
「乾燥や焙煎、粉砕の過程を経て、成分を抽出するんです。
ちょっと面倒ですが、これは妊婦さんでも飲めるんですよ」
ノンカフェインだし。
「そうなんですか」
「じゃあこのブラウンのドレスはどうですか?」
「そうですね、とても高貴な感じです」
外見はリリアーナ王女だし、高貴なデザインも似合ってしまう。
せっかく選んでくださったのだし、それにしよう。
「他は何色にしますか? 次は冬用で」
「あ、そこの深いグリーンのドレスを」
ピンクとかめちゃくちゃ愛らしい華やかなのを選ばれる前に、渋めの色を自分で選んだ。
「緑色がお好きなのですか?」
「そ、そうですね! ティア様の瞳もグリーンですし!」
渋めのを選んだとは言えない。
でも、そもそもグリーンは好きだし、嘘ではないわね。
ドレスを選び終わり、店を出た。
オーダーメイドのティア様のドレス以外は、カーティス様がギルバート様に借りて来た魔法の収納布の中に入れた。
「さて、次ですが、リナさん、どこか行きたい所はありますか?
一日休みらしいので、行ってみたい好きな場所があれば言ってください」
え? あ、そう言えばティア様は色々見物して来ていいって確かに言われた。
ドレスショップから直帰しなくてもいい……。
でも、基本的に私は使用人……メイドだ。
ショッピングのように楽しく遊んでばかりのような事は気が引ける。
……よし、働こう!
「治療院か、孤児院など。
ティア様の名代だと言えば主人の名声も上がりますよね」
こう言えば断らないはず!
「奉仕活動ですね、分かりました」
セーフ! 許可出た! 読み通り!
「まず、治療院に行き、それから孤児院に行きます」
「はい」
また出産しそうな妊婦さんとかいるかな?
*
治療院に到着し、私は受付でティア様の名代で慰問に来たと伝えた。
「ぐああ! 痛え──っ! 俺の足がぁ……っ!」
「今、止血するから耐えるんじゃ!」
担架に乗せられて病院に運ばれて来た患者発見!
お医者様とは反対側に私は回り込んだ。
『慈悲の手!』
「あれ!? 痛みが消えた!」
突然足に大怪我してる患者さんを見て、私は思わずスキルを使ってしまった。
「なんと! よく分からん奇跡じゃが、今のうちに縫うぞい!」
「一時的に痛覚が消える魔法です、後はよろしくお願いします!」
「あ、貴女は……?」
患者さんが私を見て驚いていたが、お医者様は忙しいので、かまってられない。
「よし、処置室へ急げ!」
「あ、ありがとうございましたぁ~~!」
慌てながらも患者さんはお礼を言ってくれた。
私は運ばれて行く患者さんに手を振った。
手術頑張って!
さて、他の患者さんは……
「看護師さん、頭が割れるように痛いんです、鎮痛剤を、薬を下さい」
「まだ前回のお薬の時間から三時間も経っていませんから、ダメですよ、我慢してください」
頭痛を訴えている女性患者発見!
「うう……こんな痛いままなら、もう死んだ方がマシだわ……」
ちょっと待って! 待って! 物騒な事を!
「あの、一時しのぎではありますが、私が痛みを消す魔法をかけますね」
「え?」
『痛みよ、今ひととき、消え去れ! 慈悲の手!』
「あ! 痛みが……消えました! ありがとうございます。
あら、貴方様は……」
「ライリーから来ました! では私はこれで……」
「え!? あ……」
戸惑う患者さんを置いて、次の場所へ向かう。サクサク行くわよ!
「カーティス様、次は孤児院へ」
「はい」
馬車で移動して、孤児院に到着した。
案の定、痩せている子供が多い。
あまり良い物は食べてないみたいなので、私は院長に厨房に入っていいか交渉した。
「子供達に手料理を食べさせてあげたいので、お料理を手伝ってもいいですか? 食材代はこちらで出します」
私は自分のお財布から金貨を一枚出した。
「まあ、ありがとうございます!
慈悲深い使徒様の使いの方に感謝いたします」
私は厨房に入って、今有る食材を見た。
卵、トマト、玉ねぎ、にんじん、ファイバスというこちらの世界の米があったので、私は厨房を借り、オムライスを作った。ちょうどお昼くらいの時間だったので、自分達の分も作った。
出来上がった料理を食堂に運んだ。
「さあ、みんなでいただきましょう。使徒様のお恵みですよ」
院長先生が皆を促す。
私は食堂に集った子供達やシスター達と一緒のテーブルについた。
カーティス様も一緒で、私の隣に座っている。
「わあ! これなに?」
「ふわふわ卵のオムライスという料理よ」
「美味しそう!」
黄色い卵に赤い手作りケチャップを使った。
赤と黄色で色味も可愛いから子供受けする。
「「いただきます!」」
「……美味しい!」
「ふわふわ卵……美味しい……!」
子供達にもシスター達にも好評で良かった。
「リナさん、私までいただいて良かったのでしょうか?」
「ちょうどお昼時ですし、金貨なので食材代と考えたら余裕でお釣りが来ますよ」
「そうですね、でもあれは主から預かっていたお金ですか?
ドレスの時と違い、別のお財布から出していたような」
「先日、他所の夫人の出産手伝いで謝礼金をいただいたので、大丈夫です」
「……今日、私が贈ったそのリボンを着けて来てくださったんですね、似合っています」
カーティス様はそう言って嬉しそうに笑った。
「ゴホ……ッ! ゴホッ」
む、咽せた!
何で今、こんな時におっしゃるの!?
「リナさん! だ、大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫……っです」
私はそう言って、慌てて水を飲んだ。
あー、イケメンの不意打ちの極上の笑顔、びっくりする。
心臓に悪い。
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