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36 「巨大モグラ」
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「チッ! まだ生きてる!」
巨大なモグラは思いの外硬い表皮をしていたらしい。
モグラの大きな鋭い爪が大地を抉り、その土がリーゼ卿の方向に吹き飛ばされて来た!
『風結界!!』
私は風の結界でリーゼ卿を守った。お前も目潰し攻撃をするのね!
でもそうはさせない!
『ファイアー・ボール!!』
火炎の球体が飛んで来てモグラの頭部に命中した。
エイデン卿の援護攻撃だった。
「はあっ!!」
ミスリルソードの鋭い斬撃がモグラの首を切り飛ばした。
「ギルバート様! エイデン卿!」
「大丈夫か、リーゼ卿!」
「はい!」
モグラの巨体は血飛沫を上げて倒れ伏す。
草スキーをしていた彼らも異変に気がついて駆けつけてくれた。
「あ、ウィル坊っちゃまは!?」
ギル様達がこっちに来たと言う事は!?
「リナ、落ち着け、ウィルバートはアシェル殿が守ってる」
「あ、そうでした」
ややして、ティア様が翼猫で戻って来た。
巨大なモグラの死体を見て驚いている。
「リナ! ごめんね! 私が移動したせいで騎士のほとんどが私の方に!」
「だ、大丈夫です、ティア様、リーゼ卿が守って下さいましたし、ギルバート様やエイデン卿もすぐに気がついて援護に来てくれました」
トドメを刺したのはギルバート様だ。
ヒーローは美味しい所を持って行く。
「あのモグラ、私に目潰し攻撃をしようとしていましたが、リナさんが風の結界で守ってくれましたよ」
リーゼ卿が私も活躍したとアピールしてくれた。
良い人だ。
「まあ、小癪な攻撃をするモグラがいたものね。
それにしてもここでこんな魔物が出るなんて、今まで姿も見えなかったし、報告も無かったわ」
「土の中にいたら見えませんから」
リーゼ卿はそうフォローした。
ティア様はモグラが出て来た穴を覗き込みつつ話を続ける。
「そうだけど……あれだけの巨体が土の中を移動していたなら、大きな穴か、通路があるはずよね」
「急な地盤沈下とかが怖いですね」
私は前世で道路が突然陥没した様子を思い出して言った。
「でもその、穴、強化すれば地下街か食料倉庫が作れる可能性も……あるかしら?」
こんな時にも自領の為になりそうなアイデアを出すティア様。
「待て、まず、他に仲間のモグラがいないか確認しなくては」
ギルバート様は冷静だ。
「まあ、それはそうですね。
でも地下都市とか地下迷宮ってドキドキするわ。冒険ファンタジー……」
何かファンタジー的なのを想像しているみたい。
「ちゃんと調査をしてからだぞ、倉庫とかなんとか」
「地下都市生活って息苦しくないのでしょうか。地下街なら前世で何度も買い物の時だけ、行ったりはしたのですが」
土の中は陽も差さないし……。
「空気は十分に取り込めるように設計しなければいけないけど、何かに使えそうな気はするのよね」
「わあ、なんかでっかいの倒れてる! 今日のお肉?」
ウィル坊っちゃまがアシェルさんと一緒に現れた。
「確かに、このお肉は食べられるのかしら?」
ティア様がカーティス様を見て問うた。鑑定眼の眼鏡の出番!
「確認します。……食用可と出ました。
やや土臭いそうなので、香草や香辛料を使う料理でいただくのが良さそうです」
「なるほど、食べられるのね」
「じゃあ内臓を抜くか、この大きさならすごい量になってしまうだろうが」
「ギルバートさま、その作業は我々がやりますので」
解体作業は騎士達が頑張ってくれるらしい。
*
モグラ肉の解体を終え、ティア様がインベントリにお肉を収納。
急なモグラの襲撃のせいで急遽ピクニックは終了したけど、巨大なお肉をゲット。
ライリーの城へと帰路につく我々。
私は何故かカーティス様のワイバーンに二人乗りで空を飛んでいる。
行きはティア様の猫に乗って来たのだけど……。
「リナさんが無事で良かったです」
「カーティス様がいつぞや風の精霊の使い方を指南して下さったおかげです」
「よく、臨機応変に出来ましたね」
「えへへ」
これでも日本でアニメやゲームや漫画をそこそこ見て来ているので……。
私達は夏空の中を飛ぶ。
背中にカーティス様の逞しい筋肉を感じた。
*
厨房で料理人達と相談。
私はもうメイド服に着替えて来た。
「お昼はモグラの香草焼きでしょうか?」
「土臭いのを消すならカレーでもいいと思いますけど」
「煮込むのに時間がかかる、モグラは夕食にしよう」
「まだ食えるのは分かっても美味いかどうか不明だぞ」
結局、ランチはサンドイッチ。
晩餐にモグラの香草焼きとなった。
味見したら普通に美味しかったので。
どうやらファンタジー世界のモグラ肉は、美味しいみたい。
巨大なモグラは思いの外硬い表皮をしていたらしい。
モグラの大きな鋭い爪が大地を抉り、その土がリーゼ卿の方向に吹き飛ばされて来た!
『風結界!!』
私は風の結界でリーゼ卿を守った。お前も目潰し攻撃をするのね!
でもそうはさせない!
『ファイアー・ボール!!』
火炎の球体が飛んで来てモグラの頭部に命中した。
エイデン卿の援護攻撃だった。
「はあっ!!」
ミスリルソードの鋭い斬撃がモグラの首を切り飛ばした。
「ギルバート様! エイデン卿!」
「大丈夫か、リーゼ卿!」
「はい!」
モグラの巨体は血飛沫を上げて倒れ伏す。
草スキーをしていた彼らも異変に気がついて駆けつけてくれた。
「あ、ウィル坊っちゃまは!?」
ギル様達がこっちに来たと言う事は!?
「リナ、落ち着け、ウィルバートはアシェル殿が守ってる」
「あ、そうでした」
ややして、ティア様が翼猫で戻って来た。
巨大なモグラの死体を見て驚いている。
「リナ! ごめんね! 私が移動したせいで騎士のほとんどが私の方に!」
「だ、大丈夫です、ティア様、リーゼ卿が守って下さいましたし、ギルバート様やエイデン卿もすぐに気がついて援護に来てくれました」
トドメを刺したのはギルバート様だ。
ヒーローは美味しい所を持って行く。
「あのモグラ、私に目潰し攻撃をしようとしていましたが、リナさんが風の結界で守ってくれましたよ」
リーゼ卿が私も活躍したとアピールしてくれた。
良い人だ。
「まあ、小癪な攻撃をするモグラがいたものね。
それにしてもここでこんな魔物が出るなんて、今まで姿も見えなかったし、報告も無かったわ」
「土の中にいたら見えませんから」
リーゼ卿はそうフォローした。
ティア様はモグラが出て来た穴を覗き込みつつ話を続ける。
「そうだけど……あれだけの巨体が土の中を移動していたなら、大きな穴か、通路があるはずよね」
「急な地盤沈下とかが怖いですね」
私は前世で道路が突然陥没した様子を思い出して言った。
「でもその、穴、強化すれば地下街か食料倉庫が作れる可能性も……あるかしら?」
こんな時にも自領の為になりそうなアイデアを出すティア様。
「待て、まず、他に仲間のモグラがいないか確認しなくては」
ギルバート様は冷静だ。
「まあ、それはそうですね。
でも地下都市とか地下迷宮ってドキドキするわ。冒険ファンタジー……」
何かファンタジー的なのを想像しているみたい。
「ちゃんと調査をしてからだぞ、倉庫とかなんとか」
「地下都市生活って息苦しくないのでしょうか。地下街なら前世で何度も買い物の時だけ、行ったりはしたのですが」
土の中は陽も差さないし……。
「空気は十分に取り込めるように設計しなければいけないけど、何かに使えそうな気はするのよね」
「わあ、なんかでっかいの倒れてる! 今日のお肉?」
ウィル坊っちゃまがアシェルさんと一緒に現れた。
「確かに、このお肉は食べられるのかしら?」
ティア様がカーティス様を見て問うた。鑑定眼の眼鏡の出番!
「確認します。……食用可と出ました。
やや土臭いそうなので、香草や香辛料を使う料理でいただくのが良さそうです」
「なるほど、食べられるのね」
「じゃあ内臓を抜くか、この大きさならすごい量になってしまうだろうが」
「ギルバートさま、その作業は我々がやりますので」
解体作業は騎士達が頑張ってくれるらしい。
*
モグラ肉の解体を終え、ティア様がインベントリにお肉を収納。
急なモグラの襲撃のせいで急遽ピクニックは終了したけど、巨大なお肉をゲット。
ライリーの城へと帰路につく我々。
私は何故かカーティス様のワイバーンに二人乗りで空を飛んでいる。
行きはティア様の猫に乗って来たのだけど……。
「リナさんが無事で良かったです」
「カーティス様がいつぞや風の精霊の使い方を指南して下さったおかげです」
「よく、臨機応変に出来ましたね」
「えへへ」
これでも日本でアニメやゲームや漫画をそこそこ見て来ているので……。
私達は夏空の中を飛ぶ。
背中にカーティス様の逞しい筋肉を感じた。
*
厨房で料理人達と相談。
私はもうメイド服に着替えて来た。
「お昼はモグラの香草焼きでしょうか?」
「土臭いのを消すならカレーでもいいと思いますけど」
「煮込むのに時間がかかる、モグラは夕食にしよう」
「まだ食えるのは分かっても美味いかどうか不明だぞ」
結局、ランチはサンドイッチ。
晩餐にモグラの香草焼きとなった。
味見したら普通に美味しかったので。
どうやらファンタジー世界のモグラ肉は、美味しいみたい。
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