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13 「推しの結婚式」
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春になって、ついにティア様の結婚式の日が来た。
なんと本人の誕生日の翌日である。
ティア様は今、真っ白な花嫁衣装の着付けをしている。
「わあ、このドレス用のレース飾りは着脱可能なのですね」
「そうよ、リナ。お洗濯もしやすいし、万が一ほつれでもしたら修復しやすいの」
ティア様の美しい花嫁衣装は透け感のある白いチュールレースに沢山の白い花とレースとダイヤを飾り立ててある。
このチュールレースは着脱式で、背中側、後ろで留められるっぽい。
下に無地の真っ白いドレスを着て、この上にレースの外装を付けるデザイン。
この繊細なレースを着脱式にすれば、洗濯も可能だし、万が一レースに不具合が出たら修復もしやすいという話も、後で聞いた。
「三国一、いえ、世界一美しい花嫁さんになりますね」
「リナ、言い過ぎよって言いたい所だけど、私、両親が素晴らしいせいで、容姿だけは本当に綺麗だと思うわ」
「お嬢様、こちらへ移動して下さい。お化粧を致します」
ティア様はお化粧をしてくれる美容要員に呼ばれ、鏡台の側に移動した。
「はい」
「本当に綺麗です、マスカラ使わずとも睫毛はバサバサで長くて、お目目は大きく、愛らしく、瞳の色は新緑の宝石のような輝き……」
私も美容師に釣られ、改めてティア様の美しさに見惚れたりしたが、その後、私はティア様の結婚祝いの目録を目にする機会があって、嬉しい物を見つけた。
「ミキサーとフードプロセッサーがあるの凄く助かります!」
「私ねえ、それでかまぼことか作って欲しいの」
「このリナにお任せ下さい! お魚のエソとかで作った事があります!」
「揚げたてのさつま揚げみたいなのも食べたいので」
「はい!」
ここに薩摩はないけれど、私には通じてます。ご安心を!
「お嬢様、動かないで下さい」
「あ、ごめんなさい」
ティア様が喋りまくるので、メイクさんが困った顔をしていた。
でも、私が話しかけずに黙ってるべきだったかもしれない。
すみません。
メッセンジャー役の巫女がやって来た。
「モントバ伯爵様が到着されました。鳩の準備も万端らしいです」
「ありがとう」
「鳩! 結婚式っぽいですね!」
私は大神殿の窓から外を見た。
本日は快晴で、鳩の演出も映えるだろう。
「メイク仕上がりました。本当にお綺麗ですわ。お嬢様」
「ありがとう」
今からティア様はいよいよ両親のいる控え室に行って、例のアレよね。
今まで育ててくれてありがとうございます的な事を言う、泣けるシーンが来ちゃうわけよね。
私は控え室の扉をノックして、中にいるご両親に声をかけた。
「お嬢様の御支度が整いました」
「入れ」
「失礼いたします」
かくして扉は開かれて、麗しい両親が花嫁の両親として着飾って、椅子に座っていた。
お父君たる辺境伯が、椅子からガタンと立ち上がった。
「いつも綺麗だが、本当にいつにも増して綺麗だな、我が娘は」
「ありがとうございます、お父様」
お母君の方を見ると、言葉もつげずに、瞳が潤んでいる。
ハンカチで目元を拭かれた。
私まで釣られて泣きそうになる。
「お父様、お母様、今まで大事に育てて下さってありがとうございました。
今までも幸せでしたが、これからも幸せに生きていきますね」
「……うっ、私の可愛いティア、ギルバート様と幸せにね」
お母君のシルヴィア様は立ち上がり、最愛の娘を優しく抱きしめた。
「シルヴィア、泣くと化粧が……」
「う、分かっていますが、仕方がないのです……」
いつもほぼクールなお母君が泣いているので、よっぽどだと思いました。
「姉様とはボクがケッコンしようと思ってたのにな」
じっとお母君のそばでいい子にしてた弟のウィル坊っちゃまが突如ポツリと愚痴をこぼした。
お母様は腕を離して、私達は弟君を見た。
拗ねたような表情をしている。
「あら、ウィル、結婚が何なのか知っているの?」
ティア様はくすりと微笑んで、問うた。
「ずっと仲良しで一緒にいるって約束するんでしょ?」
「だいたい合っているわね。
でも私は結婚しても、旅行の後はほとんどライリーのお城にいるから、ウィル達と一緒よ」
「ほんと? 遠くに行かない?」
「ええ、大丈夫よ」
気がつくと涙腺は完全に決壊して、私はもらい泣きしていた。
ラナン卿はクリスタルで撮影係をしていて、リナルド氏は泣いてるリーゼ卿が持っているんだけど、涙をぬいぐるみのリナルド氏で隠していた。
『ちょ、ボクで涙を拭うのをやめよう、リーゼ』
「うう、つい、うっかり、すみません」
未だぬいぐるみの中にいる妖精のリナルド氏が面白い事になってる。
ラナン卿の撮影してるクリスタルの映像は後でギル様に見せてあげるのかもしれない。
──お母君の次に、お父君がティア様を抱きしめた。
「幸せに……ティア」
辺境伯のいい声が心地よく響く。
「でも結婚しても私はライリーの城に居座るので大丈夫ですよ、新婚旅行の後、新婚時はギルバートの温泉地の別荘でしばらく過ごしますけど」
「そうだな、砂糖とチョコの畑もライリーにあるからな。
あれはティアが住んでいる土地でしか実らない神様のくださった魔法植物だから」
お父君が優しく、息子であるウィル坊っちゃまの頭を撫でた。
いいシーンだけど、そろそろお時間なので、巫女が声をかけて来た。
「そろそろお時間です。新郎がお待ちかねですよ」
「はい、ただ今、参ります」
控え室を出て、辺境伯のエスコートでティア様はバージンロードを歩く。
結婚式に来てくれた参列者の間を、敷かれた絨毯の上を、ゆっくりと歩く。
大神殿の誓いの間で、聖下が祝福と見届け人の神父として立っていた。
神殿のすごい偉い人らしい。神秘的な雰囲気の美形。
その近くには新郎のギル様が白い燕尾服で立っている。
蒼く美しい瞳が少し眩しげに、ティア様を優しく見つめていた。
大神殿には厳かな音楽と巫女達の美しいゴスペルが流れていた。
壇上まで歩いて行くと、歌と音楽がピタリと止んだ。
これより、エスコートが花嫁の父から花婿に交代となる。
ティア様は手にしていたブーケを一旦、巫女に手渡す。
花嫁は新郎の隣に立ち、聖下の祝福の言葉を聴いた。
聖なる蝋燭に一緒に火の魔石で火を灯し、その後に、二人で誓いのキス!!
キャ────ッ!! お二人とも! お幸せに!!
歓声と拍手の嵐!!
私も手が痛くなるほど拍手した。
巫女が再びブーケを手渡し、それを受け取り、花嫁は純白のドレスで歩き出す。
新郎新婦が大神殿の出口付近に設置された花のアーチの所に立つと、近くにいたモントバの伯爵とか言う人と、イケメンエルフのアシェル様がいた。
アシェル様もお忙しい中、駆けつけたらしい。
伯爵が何か小さく言葉を発して、アシェル様が伯爵と同時に片手を挙げた。
その瞬間、沢山の白い鳩が一斉に飛び立った。
わあ──っ!!
蒼穹の中を飛ぶ、美しい白い鳥の演出に盛り上がるギャラリーがまた歓声を上げた。
「え、あの鳩の演出私の娘の結婚式でもやっていただきたいですわ」
「その際はお任せ下さい。うちの鳩です」
「まあ! ありがとうございます! よろしくお願い致しますわ」
どこぞの夫人の言葉に得意げに応えるモントバ伯爵とやら。
「ギルバート様! おめでとうございます! お幸せに!」
「やっと念願叶いましたね! こっちも感無量です!」
「「末長くお幸せに!!」」
ギル様の側近のエイデン卿や護衛騎士達が祝福の言葉を贈って来た。
「皆、ありがとう!!」
ギル様も最高の笑顔で応えた。
花吹雪が舞っている。
道に立ち、祝福に駆けつけた人達が大喜びの表情で花弁を撒いている。
あ! ブーケトスだ!!
ティア様は参列者のまだ未婚っぽいレディ達のいる方向にブーケを投げた。
「あら!?」
投げたブーケを受け取ったのは、ティア様の学友のオリビア嬢と言う方らしい。
きゃあきゃあと盛り上がる、ギャラリーのレディ達。
この後は花車というか、目いっぱいの花で飾られた馬車に乗って結婚パレード。
なんてったってシーサペントを倒した勇者で大国グランジェルド第三王子殿下の結婚ですものね。
華やか!!
馬車を先導しているのはギル様の竜騎士達。
横と後ろで護衛しているのがティア様の護衛騎士達。
街道を賑わす市民の皆様。
「お幸せに! 使徒様! 勇者様!」
「セレスティアナ様! 世界一お美しいです!!」
「グラジェルドの新しい夫婦に祝福と栄光あれ!」
お二人に祝福の言葉がかけられる。
お二人がパレードに出てる間に参列者には裏方が引き出物とかを配ったりしている。
火の魔石と光の魔石も冬越しが厳しいあまり裕福ではない家庭に優先的に配られている。
これはティア様の発案らしい。お優しい!
パレードの後に、グランジェルド城内の式場でご馳走とケーキが待っている。
グランジェルドの王女のシエンナ様や王太子妃も子供が産まれたばかりらしいのに、祝福しに来られた。
ライリーの騎士達も交代で来られたようだ。
沢山の祝福に囲まれた、素敵な結婚式だった。
*
結婚式が終わり、転移陣で温泉地の別荘にて入浴の時間になった。
「お疲れ様でした」
「ええ、皆、今日はありがとう」
私とラナン卿、メイドがお風呂について来ている。
リーゼ卿はお風呂の扉前で警備。
さて、この後、夜なので、新婚初夜が来る訳ですね。
キャ────ッ!! ギル様の果報者!!
ティア様は可愛くてセクシーなベビードールを着て、寝室で待つ訳で……。
あ~~っ!!
い、いや、今は仕事に集中しないと。
私はティア様の美しいお体を布で優しく拭き、輝けるお髪をエアリアルステッキで乾かし、ベビードールの上からガウンを羽織らせた。
ティア様はやや緊張した雰囲気を纏って寝室へ向かう。私までドキドキして来た。
頑張ってください!!
なんと本人の誕生日の翌日である。
ティア様は今、真っ白な花嫁衣装の着付けをしている。
「わあ、このドレス用のレース飾りは着脱可能なのですね」
「そうよ、リナ。お洗濯もしやすいし、万が一ほつれでもしたら修復しやすいの」
ティア様の美しい花嫁衣装は透け感のある白いチュールレースに沢山の白い花とレースとダイヤを飾り立ててある。
このチュールレースは着脱式で、背中側、後ろで留められるっぽい。
下に無地の真っ白いドレスを着て、この上にレースの外装を付けるデザイン。
この繊細なレースを着脱式にすれば、洗濯も可能だし、万が一レースに不具合が出たら修復もしやすいという話も、後で聞いた。
「三国一、いえ、世界一美しい花嫁さんになりますね」
「リナ、言い過ぎよって言いたい所だけど、私、両親が素晴らしいせいで、容姿だけは本当に綺麗だと思うわ」
「お嬢様、こちらへ移動して下さい。お化粧を致します」
ティア様はお化粧をしてくれる美容要員に呼ばれ、鏡台の側に移動した。
「はい」
「本当に綺麗です、マスカラ使わずとも睫毛はバサバサで長くて、お目目は大きく、愛らしく、瞳の色は新緑の宝石のような輝き……」
私も美容師に釣られ、改めてティア様の美しさに見惚れたりしたが、その後、私はティア様の結婚祝いの目録を目にする機会があって、嬉しい物を見つけた。
「ミキサーとフードプロセッサーがあるの凄く助かります!」
「私ねえ、それでかまぼことか作って欲しいの」
「このリナにお任せ下さい! お魚のエソとかで作った事があります!」
「揚げたてのさつま揚げみたいなのも食べたいので」
「はい!」
ここに薩摩はないけれど、私には通じてます。ご安心を!
「お嬢様、動かないで下さい」
「あ、ごめんなさい」
ティア様が喋りまくるので、メイクさんが困った顔をしていた。
でも、私が話しかけずに黙ってるべきだったかもしれない。
すみません。
メッセンジャー役の巫女がやって来た。
「モントバ伯爵様が到着されました。鳩の準備も万端らしいです」
「ありがとう」
「鳩! 結婚式っぽいですね!」
私は大神殿の窓から外を見た。
本日は快晴で、鳩の演出も映えるだろう。
「メイク仕上がりました。本当にお綺麗ですわ。お嬢様」
「ありがとう」
今からティア様はいよいよ両親のいる控え室に行って、例のアレよね。
今まで育ててくれてありがとうございます的な事を言う、泣けるシーンが来ちゃうわけよね。
私は控え室の扉をノックして、中にいるご両親に声をかけた。
「お嬢様の御支度が整いました」
「入れ」
「失礼いたします」
かくして扉は開かれて、麗しい両親が花嫁の両親として着飾って、椅子に座っていた。
お父君たる辺境伯が、椅子からガタンと立ち上がった。
「いつも綺麗だが、本当にいつにも増して綺麗だな、我が娘は」
「ありがとうございます、お父様」
お母君の方を見ると、言葉もつげずに、瞳が潤んでいる。
ハンカチで目元を拭かれた。
私まで釣られて泣きそうになる。
「お父様、お母様、今まで大事に育てて下さってありがとうございました。
今までも幸せでしたが、これからも幸せに生きていきますね」
「……うっ、私の可愛いティア、ギルバート様と幸せにね」
お母君のシルヴィア様は立ち上がり、最愛の娘を優しく抱きしめた。
「シルヴィア、泣くと化粧が……」
「う、分かっていますが、仕方がないのです……」
いつもほぼクールなお母君が泣いているので、よっぽどだと思いました。
「姉様とはボクがケッコンしようと思ってたのにな」
じっとお母君のそばでいい子にしてた弟のウィル坊っちゃまが突如ポツリと愚痴をこぼした。
お母様は腕を離して、私達は弟君を見た。
拗ねたような表情をしている。
「あら、ウィル、結婚が何なのか知っているの?」
ティア様はくすりと微笑んで、問うた。
「ずっと仲良しで一緒にいるって約束するんでしょ?」
「だいたい合っているわね。
でも私は結婚しても、旅行の後はほとんどライリーのお城にいるから、ウィル達と一緒よ」
「ほんと? 遠くに行かない?」
「ええ、大丈夫よ」
気がつくと涙腺は完全に決壊して、私はもらい泣きしていた。
ラナン卿はクリスタルで撮影係をしていて、リナルド氏は泣いてるリーゼ卿が持っているんだけど、涙をぬいぐるみのリナルド氏で隠していた。
『ちょ、ボクで涙を拭うのをやめよう、リーゼ』
「うう、つい、うっかり、すみません」
未だぬいぐるみの中にいる妖精のリナルド氏が面白い事になってる。
ラナン卿の撮影してるクリスタルの映像は後でギル様に見せてあげるのかもしれない。
──お母君の次に、お父君がティア様を抱きしめた。
「幸せに……ティア」
辺境伯のいい声が心地よく響く。
「でも結婚しても私はライリーの城に居座るので大丈夫ですよ、新婚旅行の後、新婚時はギルバートの温泉地の別荘でしばらく過ごしますけど」
「そうだな、砂糖とチョコの畑もライリーにあるからな。
あれはティアが住んでいる土地でしか実らない神様のくださった魔法植物だから」
お父君が優しく、息子であるウィル坊っちゃまの頭を撫でた。
いいシーンだけど、そろそろお時間なので、巫女が声をかけて来た。
「そろそろお時間です。新郎がお待ちかねですよ」
「はい、ただ今、参ります」
控え室を出て、辺境伯のエスコートでティア様はバージンロードを歩く。
結婚式に来てくれた参列者の間を、敷かれた絨毯の上を、ゆっくりと歩く。
大神殿の誓いの間で、聖下が祝福と見届け人の神父として立っていた。
神殿のすごい偉い人らしい。神秘的な雰囲気の美形。
その近くには新郎のギル様が白い燕尾服で立っている。
蒼く美しい瞳が少し眩しげに、ティア様を優しく見つめていた。
大神殿には厳かな音楽と巫女達の美しいゴスペルが流れていた。
壇上まで歩いて行くと、歌と音楽がピタリと止んだ。
これより、エスコートが花嫁の父から花婿に交代となる。
ティア様は手にしていたブーケを一旦、巫女に手渡す。
花嫁は新郎の隣に立ち、聖下の祝福の言葉を聴いた。
聖なる蝋燭に一緒に火の魔石で火を灯し、その後に、二人で誓いのキス!!
キャ────ッ!! お二人とも! お幸せに!!
歓声と拍手の嵐!!
私も手が痛くなるほど拍手した。
巫女が再びブーケを手渡し、それを受け取り、花嫁は純白のドレスで歩き出す。
新郎新婦が大神殿の出口付近に設置された花のアーチの所に立つと、近くにいたモントバの伯爵とか言う人と、イケメンエルフのアシェル様がいた。
アシェル様もお忙しい中、駆けつけたらしい。
伯爵が何か小さく言葉を発して、アシェル様が伯爵と同時に片手を挙げた。
その瞬間、沢山の白い鳩が一斉に飛び立った。
わあ──っ!!
蒼穹の中を飛ぶ、美しい白い鳥の演出に盛り上がるギャラリーがまた歓声を上げた。
「え、あの鳩の演出私の娘の結婚式でもやっていただきたいですわ」
「その際はお任せ下さい。うちの鳩です」
「まあ! ありがとうございます! よろしくお願い致しますわ」
どこぞの夫人の言葉に得意げに応えるモントバ伯爵とやら。
「ギルバート様! おめでとうございます! お幸せに!」
「やっと念願叶いましたね! こっちも感無量です!」
「「末長くお幸せに!!」」
ギル様の側近のエイデン卿や護衛騎士達が祝福の言葉を贈って来た。
「皆、ありがとう!!」
ギル様も最高の笑顔で応えた。
花吹雪が舞っている。
道に立ち、祝福に駆けつけた人達が大喜びの表情で花弁を撒いている。
あ! ブーケトスだ!!
ティア様は参列者のまだ未婚っぽいレディ達のいる方向にブーケを投げた。
「あら!?」
投げたブーケを受け取ったのは、ティア様の学友のオリビア嬢と言う方らしい。
きゃあきゃあと盛り上がる、ギャラリーのレディ達。
この後は花車というか、目いっぱいの花で飾られた馬車に乗って結婚パレード。
なんてったってシーサペントを倒した勇者で大国グランジェルド第三王子殿下の結婚ですものね。
華やか!!
馬車を先導しているのはギル様の竜騎士達。
横と後ろで護衛しているのがティア様の護衛騎士達。
街道を賑わす市民の皆様。
「お幸せに! 使徒様! 勇者様!」
「セレスティアナ様! 世界一お美しいです!!」
「グラジェルドの新しい夫婦に祝福と栄光あれ!」
お二人に祝福の言葉がかけられる。
お二人がパレードに出てる間に参列者には裏方が引き出物とかを配ったりしている。
火の魔石と光の魔石も冬越しが厳しいあまり裕福ではない家庭に優先的に配られている。
これはティア様の発案らしい。お優しい!
パレードの後に、グランジェルド城内の式場でご馳走とケーキが待っている。
グランジェルドの王女のシエンナ様や王太子妃も子供が産まれたばかりらしいのに、祝福しに来られた。
ライリーの騎士達も交代で来られたようだ。
沢山の祝福に囲まれた、素敵な結婚式だった。
*
結婚式が終わり、転移陣で温泉地の別荘にて入浴の時間になった。
「お疲れ様でした」
「ええ、皆、今日はありがとう」
私とラナン卿、メイドがお風呂について来ている。
リーゼ卿はお風呂の扉前で警備。
さて、この後、夜なので、新婚初夜が来る訳ですね。
キャ────ッ!! ギル様の果報者!!
ティア様は可愛くてセクシーなベビードールを着て、寝室で待つ訳で……。
あ~~っ!!
い、いや、今は仕事に集中しないと。
私はティア様の美しいお体を布で優しく拭き、輝けるお髪をエアリアルステッキで乾かし、ベビードールの上からガウンを羽織らせた。
ティア様はやや緊張した雰囲気を纏って寝室へ向かう。私までドキドキして来た。
頑張ってください!!
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