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44 カイメン
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~ エリアナ視点 ~
なんだかやたらと気分が沈むなと思えば、月のものでした。
「若奥様、おめでとうございます」
「あ、ありがとう……」
血を流してメイドに祝福されるとは。
でも、実家でろくなものを食べさせてもらえてなかった過去がある為と呪いのせいで、私の体は未熟で不完全なものでしたが、ようやく子を産む準備のできる大人の女性の仲間入りです。
そういえば、ここには夢の図書館で見た生理用ナプキンなんてものはありませんね。
吸収力抜群らしいのですが。
実家で下着をも洗濯させられた時は洗った古着の布を当てるくらいのようでしたし。
使った当て布は捨てていましたが、平民の皆さまはどうやっているのでしょう?
やはり古着を解体するのでしょうか。
ともかく青白い顔をしてベッドにいる私を見た旦那様は、
「大丈夫か? 旅の疲れがでたのか?」
と、心配してくださいました。
「いいえ、大丈夫です」
「そんな青白い顔をして、大丈夫ということはないだろう? なにか欲しいものや必要なものはあるか?」
「強いて言うなら海綿……をいくつかでしょうか?」
下着をあまり汚したくないです。
洗濯を担当する下女の方に申し訳ないので。
海綿は遊女の方がタンポン代わりに使うらしいです。
「カイメン?」
「海綿は海に生息するスポンジのようなふわふわの見た目の海藻のような生き物で、稀に淡水にもいるそうですが、基本的には海に生息しています」
私は一応紙にこのようなものですと描いて見せた。
「よくわからんがそれを海で採ってくればいいんだな! よし、私にまかせろ!」
そう言って旦那様が海に行かれることになりました。
~ クリストロ公爵家騎士隊長コンドラート視点 ~
私はクリストロ公爵騎士団の隊長を任されている者だ。
名前をコンドラート・バーキンという。
本日は白い長袖シャツを腕まくりし、下はズボンというラフな服装で馬に乗り、海に来た。
「今日の騎士団の合同訓練は浜辺で行う! まずあそこの木からあそこの船のところまで五十週走れ! そして一周走るごとに水は飲め!」
ゴードヘルフ様変わり指で指し示し、走る場所を指定された。
そう、主君が我々を急に海に連れて来たわけだが、謎である。
「はい、しかしゴードヘルフ様、本日は何故浜辺で?」
隊長の私は初めてのことに面食らう我々を代表して疑問を投げかけた。
「足場の良くない砂浜を走れば足腰が鍛えられるはずだ!」
「た、たしかに……」
「お前達は砂浜を走れ!」
ゴードヘルフ様がそう言われるので我々は砂浜を走り始めた。
のであるが、ゴードヘルフ様御本人は何故か服を脱いで海に入り出した。
「え? ずるい、暑い夏に一人だけ海に入っておられる……」
一人の新米騎士見習いが海に入るゴードヘルフ様を羨ましく思って愚痴をもらした。
「見習い騎士の分際でずるいとはなんだ! あの方は既に十分お強いのだ!」
「はっ! 申し訳ありません!」
「お前は十週追加だ!」
一瞬しまったと思ったのか新米は顔色を悪くした。
「はい!」
とはいえ、上官命令に逆らえるものではない。
新米も素直に走る。
我々は海にて何かを探すようにしているゴードヘルフ様をたまに視線で追いながら砂浜を走った。
「いつも訓練場では見慣れた景色で飽きてくるが、たまには海もいいな! 暑いけど景色が綺麗だ!」
そんな事を言う余裕のある者もいる。
「ゴードヘルフ様が腰のベルト通しになにか網状の袋をぶら下げておられるが、魚でも獲るのだろうか?」
「俺達の昼飯だったりして!?」
「ああ、なるほど!?」
「貝とかスープに入れるとすごくいい味になるよな!」
「俺は魚よりエビがいいなぁ!」
「贅沢を言うなよ! 何にせよ新鮮な海産物が食べられるなら嬉しいな!」
「隊長! 汗をかくのでそれを流す為にも俺達も後で海に入っていいでしょうか!? ゴードヘルフ様の漁のお手伝いをしたいです!」
「まあ、走り込みの後ならいいだろう! 多分!」
多分!! あくまで多分だが、私は50周走ってから、汗だくになりつつ、ゴードヘルフ様の元に向かった。
海にざぶざぶと入る。
「ゴードヘルフ様! 指定回数砂浜を走りました! 我々も海に入って汗を流しても構いませんか!?」
「!! いいだろう! ついでにお前達も海綿を探せ!」
「海綿!? 海綿とはなんですか!?」
「これだ!」
ゴードヘルフ様は腰に下げてる袋の中身を見せて来た。
「これは、何に使うものですか?」
まさか、乾かしてインテリアではあるまい。
「なぜかは分からないが、エリアナが欲しがっているから探している!」
何故かはわからないが、若奥様がご所望なのか!
よくわからんがわかった!
「承知いたしました!」
「途中で美味しそうなものがあればそれも獲ってよい!」
「はい!」
そして騎士たちにも海綿を探すように指示を出した。
理由は分からないけど、美味しそうなものも捕っていいらしいので、皆はりきった。
魚や貝も穫れるし、海での水遊びに近いから。
海綿は騎士団総出で探したかいがあって運良くそこそこ集まったし、昼は海辺で海鮮を焼いて食うことになった。
「これがヒイズル国から仕入れた醤油というものだ、この焼いた貝にバターと醤油とガーリックをかけると美味しいらしい」
そう言ってゴードヘルフ様はサザエにすりおろしガーリックとバターと醤油なるものをかけた。
途端になんとも美味しそうな匂いがしてきた。
たまらん。
「よし、食べてみるか! お前達も好きに焼いて食べるといい!」
「はい! ゴードヘルフ様!」
「それと苦みが強いハカマ、外套膜:がいとうまくとやらは口に入れる前に、先に切り分けてしまえ! 苦いのが好きならそのまま食うか好きなやつにやるといい!」
「はい!!」
「うわ! これ、すごくうまいです!」
「魚にショーユをかけてもいいぞ!」
「分かりました!」
「本当だ! 美味い!! 美味いです!」
新鮮な海鮮に沸き立つ騎士団の面々。
たまにはこういうのもいいな。
海綿は何に使うか全く分からないけれど。
なんだかやたらと気分が沈むなと思えば、月のものでした。
「若奥様、おめでとうございます」
「あ、ありがとう……」
血を流してメイドに祝福されるとは。
でも、実家でろくなものを食べさせてもらえてなかった過去がある為と呪いのせいで、私の体は未熟で不完全なものでしたが、ようやく子を産む準備のできる大人の女性の仲間入りです。
そういえば、ここには夢の図書館で見た生理用ナプキンなんてものはありませんね。
吸収力抜群らしいのですが。
実家で下着をも洗濯させられた時は洗った古着の布を当てるくらいのようでしたし。
使った当て布は捨てていましたが、平民の皆さまはどうやっているのでしょう?
やはり古着を解体するのでしょうか。
ともかく青白い顔をしてベッドにいる私を見た旦那様は、
「大丈夫か? 旅の疲れがでたのか?」
と、心配してくださいました。
「いいえ、大丈夫です」
「そんな青白い顔をして、大丈夫ということはないだろう? なにか欲しいものや必要なものはあるか?」
「強いて言うなら海綿……をいくつかでしょうか?」
下着をあまり汚したくないです。
洗濯を担当する下女の方に申し訳ないので。
海綿は遊女の方がタンポン代わりに使うらしいです。
「カイメン?」
「海綿は海に生息するスポンジのようなふわふわの見た目の海藻のような生き物で、稀に淡水にもいるそうですが、基本的には海に生息しています」
私は一応紙にこのようなものですと描いて見せた。
「よくわからんがそれを海で採ってくればいいんだな! よし、私にまかせろ!」
そう言って旦那様が海に行かれることになりました。
~ クリストロ公爵家騎士隊長コンドラート視点 ~
私はクリストロ公爵騎士団の隊長を任されている者だ。
名前をコンドラート・バーキンという。
本日は白い長袖シャツを腕まくりし、下はズボンというラフな服装で馬に乗り、海に来た。
「今日の騎士団の合同訓練は浜辺で行う! まずあそこの木からあそこの船のところまで五十週走れ! そして一周走るごとに水は飲め!」
ゴードヘルフ様変わり指で指し示し、走る場所を指定された。
そう、主君が我々を急に海に連れて来たわけだが、謎である。
「はい、しかしゴードヘルフ様、本日は何故浜辺で?」
隊長の私は初めてのことに面食らう我々を代表して疑問を投げかけた。
「足場の良くない砂浜を走れば足腰が鍛えられるはずだ!」
「た、たしかに……」
「お前達は砂浜を走れ!」
ゴードヘルフ様がそう言われるので我々は砂浜を走り始めた。
のであるが、ゴードヘルフ様御本人は何故か服を脱いで海に入り出した。
「え? ずるい、暑い夏に一人だけ海に入っておられる……」
一人の新米騎士見習いが海に入るゴードヘルフ様を羨ましく思って愚痴をもらした。
「見習い騎士の分際でずるいとはなんだ! あの方は既に十分お強いのだ!」
「はっ! 申し訳ありません!」
「お前は十週追加だ!」
一瞬しまったと思ったのか新米は顔色を悪くした。
「はい!」
とはいえ、上官命令に逆らえるものではない。
新米も素直に走る。
我々は海にて何かを探すようにしているゴードヘルフ様をたまに視線で追いながら砂浜を走った。
「いつも訓練場では見慣れた景色で飽きてくるが、たまには海もいいな! 暑いけど景色が綺麗だ!」
そんな事を言う余裕のある者もいる。
「ゴードヘルフ様が腰のベルト通しになにか網状の袋をぶら下げておられるが、魚でも獲るのだろうか?」
「俺達の昼飯だったりして!?」
「ああ、なるほど!?」
「貝とかスープに入れるとすごくいい味になるよな!」
「俺は魚よりエビがいいなぁ!」
「贅沢を言うなよ! 何にせよ新鮮な海産物が食べられるなら嬉しいな!」
「隊長! 汗をかくのでそれを流す為にも俺達も後で海に入っていいでしょうか!? ゴードヘルフ様の漁のお手伝いをしたいです!」
「まあ、走り込みの後ならいいだろう! 多分!」
多分!! あくまで多分だが、私は50周走ってから、汗だくになりつつ、ゴードヘルフ様の元に向かった。
海にざぶざぶと入る。
「ゴードヘルフ様! 指定回数砂浜を走りました! 我々も海に入って汗を流しても構いませんか!?」
「!! いいだろう! ついでにお前達も海綿を探せ!」
「海綿!? 海綿とはなんですか!?」
「これだ!」
ゴードヘルフ様は腰に下げてる袋の中身を見せて来た。
「これは、何に使うものですか?」
まさか、乾かしてインテリアではあるまい。
「なぜかは分からないが、エリアナが欲しがっているから探している!」
何故かはわからないが、若奥様がご所望なのか!
よくわからんがわかった!
「承知いたしました!」
「途中で美味しそうなものがあればそれも獲ってよい!」
「はい!」
そして騎士たちにも海綿を探すように指示を出した。
理由は分からないけど、美味しそうなものも捕っていいらしいので、皆はりきった。
魚や貝も穫れるし、海での水遊びに近いから。
海綿は騎士団総出で探したかいがあって運良くそこそこ集まったし、昼は海辺で海鮮を焼いて食うことになった。
「これがヒイズル国から仕入れた醤油というものだ、この焼いた貝にバターと醤油とガーリックをかけると美味しいらしい」
そう言ってゴードヘルフ様はサザエにすりおろしガーリックとバターと醤油なるものをかけた。
途端になんとも美味しそうな匂いがしてきた。
たまらん。
「よし、食べてみるか! お前達も好きに焼いて食べるといい!」
「はい! ゴードヘルフ様!」
「それと苦みが強いハカマ、外套膜:がいとうまくとやらは口に入れる前に、先に切り分けてしまえ! 苦いのが好きならそのまま食うか好きなやつにやるといい!」
「はい!!」
「うわ! これ、すごくうまいです!」
「魚にショーユをかけてもいいぞ!」
「分かりました!」
「本当だ! 美味い!! 美味いです!」
新鮮な海鮮に沸き立つ騎士団の面々。
たまにはこういうのもいいな。
海綿は何に使うか全く分からないけれど。
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