29 / 52
29 ワイバーン便
しおりを挟む
先日は島の海辺にて、寄せては返す浪の音を聞きながら、金色に輝く夕陽の煌めきを眺めて、同じく金色の瞳を持つ旦那様がより一層美しく見えました。
憧れていた物語の中の登場人物みたいに、浜辺で貝殻を探したりもできました。
貝殻は布で包んでから大切に箱の中にしまいました。
そういえば、金色の宝石を埋め込んだ特注の懐中時計の仕上がりはどうなっただろうか?
旦那様の誕生日には間にあわないかしら?
刺繍入りのハンカチの方はもう完成していますが。
などと考えていると、上空から声がかかりました。
「こんにちはレディ! ワイバーン便です! ヴェローナ時計店様よりのご依頼でご注文の御品をお届けしました!」
「わあっ! こんな遠いところにすみません」
なんと!
海上の船にもワイバーン便は届くのですね!
絶対に誕生日にプレゼントを間に合わせると言ってくれた店主と職人さんのプライドを感じました!
でも、この方の後ろに何故かフードを目深に被った挙げ句に仮面をつけた人が乗っています……。
バディか護衛かしら?
「いいえ、こちら方面へ向かう貴人の護衛の用事もあったので」
「そうだったのですね。ありがとうございました!」
その後、ワイバーンに乗った配達人の腰に掴まっていた人から箱を一つ受け取りました。
ああ。そうか、ワイバーンを扱う人は手綱を持ってるから、背後の人が荷物を受け渡すものなのかも。
ともかく旦那様の為の誕生日プレゼントの特注懐中時計が届きました!
金色に輝く宝石もはめ込んであります。
私のような呪い持ちのちんちくりんなど、旦那様の妻にふさわしくないと思うけど、おいそれと愛してるとか好きだとか口に出しては言えないくらいに……私の中で大事な人になっています。
なので、プレゼントには密かに思いを込めました。
これから先の未来も、あなたと時を刻んでいきたいと。
ワイバーン便の手綱を握った方が船から離れていったのに、もう一人は何故か華麗に看板に降り立ちました!
「!?」
この方も船旅をするのかしら?
「ああっ! エリアナ!」
「旦那様? どうされました?」
旦那様が甲板にいる私の元に駆けつけて来て、私を背に庇い、立ちはだかりました。
フードを被った仮面の男との間に。
確かにフードに仮面でまるで不審者のようですが、この方はワイバーン便の……
「なんのおつもりですが?」
ん? 旦那様が敬語を使っておられます。
貴人とは、もしやこの方が……
「やあ、小公爵殿、よく見ぬいたな」
!!
この声は……聞き覚えが
「皇太子殿下、何故ここにおられるのですか? 護衛もつけずに」
皇太子殿下!!
「さっきワイバーン便の者がいただろう?」
「たった、今帰ったではないですか!」
すでに空の中で遠く小さくなっていくワイバーン便の方を指さした旦那様。
そして仮面を外し、ドヤ顔で微笑む皇太子殿下は、
「これからはクリストロ公爵家の君達が守ってくれるだろう?」
などと言われました。
「正気ですか? 我々がどこに向かっているかお分かりなのですか?」
「ヒイズル国に向かうと国に申請が有ったが、たいして交流が無かったところゆえ、外交の面でも、皇族がいたほうがいいかと思ってな」
そうかしら!? かえって大げさな訪問になってしまう気がします!
「いえ、無用な気遣いです、これは一応新婚旅行なのですよ」
旦那様はあからさまに不機嫌オーラをだしています!
「まあ、まあ、夜はそっとしておくからね」
それで許されると思っているのが流石の一言皇族の傲慢さです!
何故か食材をもとめた旅に、皇太子殿下が加わりました!
強制的に!
皇族を護衛なしで放り出せませんから!
憧れていた物語の中の登場人物みたいに、浜辺で貝殻を探したりもできました。
貝殻は布で包んでから大切に箱の中にしまいました。
そういえば、金色の宝石を埋め込んだ特注の懐中時計の仕上がりはどうなっただろうか?
旦那様の誕生日には間にあわないかしら?
刺繍入りのハンカチの方はもう完成していますが。
などと考えていると、上空から声がかかりました。
「こんにちはレディ! ワイバーン便です! ヴェローナ時計店様よりのご依頼でご注文の御品をお届けしました!」
「わあっ! こんな遠いところにすみません」
なんと!
海上の船にもワイバーン便は届くのですね!
絶対に誕生日にプレゼントを間に合わせると言ってくれた店主と職人さんのプライドを感じました!
でも、この方の後ろに何故かフードを目深に被った挙げ句に仮面をつけた人が乗っています……。
バディか護衛かしら?
「いいえ、こちら方面へ向かう貴人の護衛の用事もあったので」
「そうだったのですね。ありがとうございました!」
その後、ワイバーンに乗った配達人の腰に掴まっていた人から箱を一つ受け取りました。
ああ。そうか、ワイバーンを扱う人は手綱を持ってるから、背後の人が荷物を受け渡すものなのかも。
ともかく旦那様の為の誕生日プレゼントの特注懐中時計が届きました!
金色に輝く宝石もはめ込んであります。
私のような呪い持ちのちんちくりんなど、旦那様の妻にふさわしくないと思うけど、おいそれと愛してるとか好きだとか口に出しては言えないくらいに……私の中で大事な人になっています。
なので、プレゼントには密かに思いを込めました。
これから先の未来も、あなたと時を刻んでいきたいと。
ワイバーン便の手綱を握った方が船から離れていったのに、もう一人は何故か華麗に看板に降り立ちました!
「!?」
この方も船旅をするのかしら?
「ああっ! エリアナ!」
「旦那様? どうされました?」
旦那様が甲板にいる私の元に駆けつけて来て、私を背に庇い、立ちはだかりました。
フードを被った仮面の男との間に。
確かにフードに仮面でまるで不審者のようですが、この方はワイバーン便の……
「なんのおつもりですが?」
ん? 旦那様が敬語を使っておられます。
貴人とは、もしやこの方が……
「やあ、小公爵殿、よく見ぬいたな」
!!
この声は……聞き覚えが
「皇太子殿下、何故ここにおられるのですか? 護衛もつけずに」
皇太子殿下!!
「さっきワイバーン便の者がいただろう?」
「たった、今帰ったではないですか!」
すでに空の中で遠く小さくなっていくワイバーン便の方を指さした旦那様。
そして仮面を外し、ドヤ顔で微笑む皇太子殿下は、
「これからはクリストロ公爵家の君達が守ってくれるだろう?」
などと言われました。
「正気ですか? 我々がどこに向かっているかお分かりなのですか?」
「ヒイズル国に向かうと国に申請が有ったが、たいして交流が無かったところゆえ、外交の面でも、皇族がいたほうがいいかと思ってな」
そうかしら!? かえって大げさな訪問になってしまう気がします!
「いえ、無用な気遣いです、これは一応新婚旅行なのですよ」
旦那様はあからさまに不機嫌オーラをだしています!
「まあ、まあ、夜はそっとしておくからね」
それで許されると思っているのが流石の一言皇族の傲慢さです!
何故か食材をもとめた旅に、皇太子殿下が加わりました!
強制的に!
皇族を護衛なしで放り出せませんから!
94
お気に入りに追加
462
あなたにおすすめの小説
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
愛を知らない「頭巾被り」の令嬢は最強の騎士、「氷の辺境伯」に溺愛される
守次 奏
恋愛
「わたしは、このお方に出会えて、初めてこの世に産まれることができた」
貴族の間では忌み子の象徴である赤銅色の髪を持って生まれてきた少女、リリアーヌは常に家族から、妹であるマリアンヌからすらも蔑まれ、その髪を隠すように頭巾を被って生きてきた。
そんなリリアーヌは十五歳を迎えた折に、辺境領を収める「氷の辺境伯」「血まみれ辺境伯」の二つ名で呼ばれる、スターク・フォン・ピースレイヤーの元に嫁がされてしまう。
厄介払いのような結婚だったが、それは幸せという言葉を知らない、「頭巾被り」のリリアーヌの運命を変える、そして世界の運命をも揺るがしていく出会いの始まりに過ぎなかった。
これは、一人の少女が生まれた意味を探すために駆け抜けた日々の記録であり、とある幸せな夫婦の物語である。
※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」様にも短編という形で掲載しています。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。
ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。
ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。
竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。
*魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。
*お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。
*本編は完結しています。
番外編は不定期になります。
次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。
【完結】うっかり異世界召喚されましたが騎士様が過保護すぎます!
雨宮羽那
恋愛
いきなり神子様と呼ばれるようになってしまった女子高生×過保護気味な騎士のラブストーリー。
◇◇◇◇
私、立花葵(たちばなあおい)は普通の高校二年生。
元気よく始業式に向かっていたはずなのに、うっかり神様とぶつかってしまったらしく、異世界へ飛ばされてしまいました!
気がつくと神殿にいた私を『神子様』と呼んで出迎えてくれたのは、爽やかなイケメン騎士様!?
元の世界に戻れるまで騎士様が守ってくれることになったけど……。この騎士様、過保護すぎます!
だけどこの騎士様、何やら秘密があるようで――。
◇◇◇◇
※過去に同名タイトルで途中まで連載していましたが、連載再開にあたり設定に大幅変更があったため、加筆どころか書き直してます。
※アルファポリス先行公開。
※表紙はAIにより作成したものです。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる