俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい!〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

長船凪

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104 うわ! まじかよ!

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 通販でも折りたたみ自転車が買えると気がついた。
 五台くらい売り物用も買っておくことにした。

 レンタカーを借りて自転車屋の前に下着屋と手芸屋に女装のカナタに行ってもらい、俺は生活雑貨やケーキや弁当などを買い漁った。

 その後に自転車屋に行った。
 実店舗でも2軒ハシゴして仲間の分も購入した。

 カナタの分も俺が金を出すと言ったけど家まで世話してもらってるから自分で払うと言って聞かなかった。
 仕方ないので好きにさせた。


 自転車をゲットして数日間通販の荷物を待ちながらパソコン作業をして過ごしていた。

 * *

 数日経ってほぼ必要な荷物は受け取って魔法の風呂敷に入れた所ではあったが、事件が起こった。

 夕方に何か焦げ臭い匂いがした。

「火事だ!!」

 外からそんな叫び声が聞こえた途端にカナタが外に飛び出し、すぐに戻ってきた!

「大変だ! このアパートが火事!」
「まじかよ! どの部屋が火事!?」


「二階の反対側の角部屋あたりから煙が出てる!」
「ええ!? カナタは先に逃げろ!」

 そう叫びつつ俺は慌ててパソコンのコード類をコンセントから外した。


「何言ってんの!? 早く逃げないと!」
「俺はパソコンを外して魔法の風呂敷に入れる!」
「ああっ、もう! 貴重品はパソコンだけ!?
 通帳や貴重品はどこ!?」

「それは枕元のリュックの中だから大丈夫だ!」
「ええと、じゃあ入りそうなものだけ魔法のアレにしまうよ!」
「先に逃げろと言ってるのに!」
「無理!!」


 外からサイレンの音が近づいていた。
 消防車がこっちに来るんだろう。

 カナタを巻き込むわけにいかないからパソコンと液晶タブレットと貴重品入りリュックだけ安全な魔法の風呂敷に突っ込んで、他を諦める覚悟で慌てて外に飛び出た。

「煙は吸うなよ!」
「うん!」

 俺達は燃えてる側と反対側の階段を駆け下りた。


 消防が来た。
 三階建ての建物二階の、端っこの部屋から火が出ていたが、ややして鎮火した。
 消防の人達、ありがとうございました。


 幸い建物全体を覆うほどの勢いはなかったが、これはやばいな。

 古い建物だし、この事件のせいで近いうちに取り壊しするって通達が来そうだ。
 別荘を本拠地にする必要が出てきた気がする。


「よく考えたら商売道具とはいえ、翔太にはタブレットもあるからそこまでパソコンに生命かけなくても良かったのでは?」
「こっちにも大事なデータがより多く詰まってるんだ」

「はあ、まったく、データより命が大事だろ?」

 うっ!!

「いざとなったら押し入れから脱出もできるし、帳面で絶対に燃えない結界とか書こうかと」
「そんな使い方なら鎮火とか消火とか書いてよ」
「鎮火か消火……その手があったか、軽くパニクってたから」

「はー、もう、今回は許すけど大きな地震のときは絶対に逃げてよ、デスクトップパソコンは諦めて」
「ああ、地震の時は天井が崩れたりするかもだしな」


 あ、次に買う時はノートパソコンにしようか。
 大きいと動かしにくいから。


「火事だってガス爆発とかもある可能性あるし、僕は天涯孤独の身の上だからまだいいけど翔太には家族もいるし、ミレナさんやジェラルドさんも翔太に何かあったら悲しむよ、ミラちゃんやフェリちゃんも、ラッキーも」

 カナタの説教と心配はまだ続いてた。

「あ! 火事の事、皆には内緒にしてくれ、特にフェリの耳に入らないように」
「まったくもう……仕方ないな、赤の他人の子供や娼婦に惜しみなくエリクサーあげる人なのにパソコンなんかに執着して」
「エリクサーはでも小瓶で少量ずつだったよ」

「もー、言い訳はいいよ」
「ごめんごめん」

 鎮火したからひとまず自分の部屋に戻ったが、
 出火の原因は住人の寝タバコらしい。
 危ないなぁ。

 しかし、直前にバタバタしてしまったが、ちょうど今夜は異世界へ向かう予定だった。
 暗くなって人目につかない時間に帰ろうとしたんだよな。
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