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97 カツサンドとカプレーゼ
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フェリの狸寝入りも分かったし、俺は夜の街に1人でこっそりと繰り出した。
新しい花街で美女探しだ!
動画や写真撮影は飯の種だし、これは仕方ない。
ちゃんと本人の許可はとるしな。
夜の街でなかなか立派な建物の娼館に向かった。
高そうな場所には容姿レベルの高い女性がいるはずだ。
旅先だし、安いとこで掘り出し物ように原石を発掘してる時間はないからな。
新しく入った娼館でもゴムとかスイーツを手土産にして三人の違うタイプの女性と交渉して写真や動画を撮らせて貰った。
俺が声をかけた嬢の中にすごく肌が白くて滑らかで綺麗な子がいた。
もち肌ってやつかな?
美肌ちゃんはとても人気がありそうだから予約が取れないかと思ったけど、たまたま空いててオッケーだったから良かった。
「最近店の客が減ってる? どうして?」
「近隣で流行り病が出たせいみたい」
「流行り病……どんな?」
ペストやエボラとかだと怖いな。
「肌に変な紫色のミミズ腫れのような症状がでるのだそうよ、怖いわね。怪しい症状がないか客が脱いだらしっかり確認しておけって店でも言われたわ」
ミミズ腫れの症状の病気は知らないな。
この世界特有のものかな?
俺も多くの病気を知ってるわけではないけど。
「俺にはそんな肌症状はないです」
「そうね、お客さんの肌は男のわりにかなり綺麗だわ」
美肌ちゃんは俺の素肌の鎖骨あたりに触れながら言った。くすぐったい。
「取材許可、ありがとうございます。これ、秘密ですけど、どんな病気でも治す貴重なお薬です。何かうっかりやばい病気にかかったら、使ってください」
「凄い……貴方、実は貴族様?」
俺は感謝を伝える為に小さな小瓶に入れたエリクサーを分けた。
娼婦はいつも危険と隣合わせの仕事をしているから。
「いいえ、ただのえちちな絵描きの商人です」
「これがあれば難病のお母さんの病気も治せるってこと?」
「え? はい、お母さんが病気だったんですか?」
「ええ、お薬代が高いわりにあまり効き目がないから、実入りのいいこんな仕事を始めたんだけど」
なんて健気で献身的な娘さんだ!
お母さんを助けたくて体を売っていたとは!
お母さんを助けたらこの子はもう体を売る必要なくなる? ってことは、このお店の売り上げは下がるかも……すみません、店長さん。
でも、親切に対応してくれた人が病気になるのは嫌だったんだ。
エリクサーは大きい容器で出したから、まだある。
煙突掃除の子達にも少しずつしか渡してないからな。
俺は三人分の取材を終えて店を出た。
取材を了承してくれた三人の女性には皆こっそりエリクサーをあげてきた。
梅毒やエイズが怖いよな、体を売る仕事は。
夜明け近くにこっそりと宿屋に帰った。
そのせいで起きるのが遅くなり、朝の10時くらいまで寝た。
三時間は寝れたからまあ、いいか。
ミレナには遅いと朝食の時間に怒られた。
先に食べてて良かったのに……。
* *
「それで、今日の予定はどうするの?」
朝食を宿提供の食事の硬いパンとスープで済ませている時に、ミレナに問われた。
まだちょっと不機嫌だな?
喋り方というか、声がやや不機嫌そう。
夜中に歓楽街に行ったのバレてるのかな?
「この辺に何か遊べる場所はあるかな?」
とりまジェラルドに助けを求める俺。
「果物を安価で採れる場所がある」
「フルーツ狩りか! いいね!」
そしてその現場に向かったら、柿だった!!
ジェラルドの案内でたどり着いた場所には柿が実っている果樹園だったのだ。
「いい柿の選び方は、実とヘタの隙間がないもの、ヘタが緑のもの、均等にオレンジの色がついているもの……だった気がする」
「わりと翔太は物知りだよね」
「物書きは色々な情報をストックしようとする癖があるんだ、いずれ何かの役に立つかもと」
「ふうん、そんなものなのね」
ミレナも機嫌が治ったのか、わざわざ広い果樹園で俺の近くにいて、真剣な顔で柿を選びつつ、俺とカナタの会話に混ざってきた。
「それと、母が柿が好きなんだよな、とくに熟した甘いやつ」
「ここのはまだそこまではいってないな」
ジェラルドも会話に混ざってきた。
「でも母は普通の柿も好きだし、お土産にしようかな」
「そんで案外親孝行なとこあるよね」
「本当に親孝行ならエロ漫画は描かないから、
それで生活しようとはしないから……な。あはは」
自分で言っておいて思わず苦笑いである。
「人にあんまり会わずに出来る仕事だし、漫画はそこはいいよね」
「カナタ、もしかして雑貨屋の接客嫌だったのか?」
「あ! 違うごめん、前の職場の事! こっちは楽しいよ! いい人ばかりだし!」
カナタがミレナと比較的仲良くできててよかった!
何かキツイこと言われなくてよかった!
最初にソフトクリームの件で味方させておいてよかった!!
食べ物の恨みは深いと言うくらいだし、食べ物の恩義も長く忘れずにいて欲しい。
「せっかくだし、この柿をオシャレ料理にでもしようか?
普通に剥いてで食べても美味しいだろうけど」
「どんな風に?」
カナタが興味深げな顔をして訊いてきた。
「柿とチーズのカプレーゼだ。モッツァレラチーズと組み合わせるやつ」
カプレーゼといえば、モッツァレラチーズとトマトの組み合わせが定番だろうけど、モッツァレラチーズと柿の組み合わせも美味しいと以前姉が言っていた。
今回、ミレナだけどせっかく女性もいるし、試してみよう。
「へえ、チーズか」
「カプレーゼって何よ?」
「カプレーゼはスライスしたトマトにモッツァレラチーズ、バジリコなどを合わせ、塩や黒胡椒、オリーブオイルなどで味付けしたサラダの一種だ。ただカプレーゼの語源は異世界の俺達の世界にあるカプリ島が由来だから、ミレナが知らなくても無理はないな」
「なんだ、つまりはサラダなのね」
「ああ」
「でもチーズはともかく黒胡椒は普通は真似できないわよ」
「うちは黒胡椒は手に入るから大丈夫だ」
異世界の定番、胡椒のような調味料が高い問題だが、俺の場合日本に戻った時にスーパーで余裕で買える。
そんな訳で収穫した柿を近くの空き地でキャンプセットを使い料理をすることにした。
柿を剥いてカプレーゼに。
今回はオリーブオイルの他にバルサミコ酢も使った。
材料は柿、モッツァレラチーズ、チャービル、オリーブオイル
バルサミコ酢、レモン汁、塩、黒胡椒だ。
チャービルはなくても良いが、あればオシャレに散らすといい。
セリ科の植物でパセリに似てる。
「うん、モッツァレラチーズはクセがないので、柿の甘みを引き立ててくれてる」
「ああ、見た目も華やかでいいな」
「うん、オシャレな上に美味しいよ!」
ジェラルドとカナタはカプレーゼを褒めてくれた。
「カツサンド美味しい!」
俺はカプレーゼだけではまんぷくになれないだろうとカツサンドも市販品を出したが、ミレナは肉が好きなので、カプレーゼよりカツサンドの方に夢中になっている。
オシャレサラダより肉か、まあ普通はそうか。
ミラはカプレーゼを映えてますよと言って撮影してくれてる。
優しいなぁ。
新しい花街で美女探しだ!
動画や写真撮影は飯の種だし、これは仕方ない。
ちゃんと本人の許可はとるしな。
夜の街でなかなか立派な建物の娼館に向かった。
高そうな場所には容姿レベルの高い女性がいるはずだ。
旅先だし、安いとこで掘り出し物ように原石を発掘してる時間はないからな。
新しく入った娼館でもゴムとかスイーツを手土産にして三人の違うタイプの女性と交渉して写真や動画を撮らせて貰った。
俺が声をかけた嬢の中にすごく肌が白くて滑らかで綺麗な子がいた。
もち肌ってやつかな?
美肌ちゃんはとても人気がありそうだから予約が取れないかと思ったけど、たまたま空いててオッケーだったから良かった。
「最近店の客が減ってる? どうして?」
「近隣で流行り病が出たせいみたい」
「流行り病……どんな?」
ペストやエボラとかだと怖いな。
「肌に変な紫色のミミズ腫れのような症状がでるのだそうよ、怖いわね。怪しい症状がないか客が脱いだらしっかり確認しておけって店でも言われたわ」
ミミズ腫れの症状の病気は知らないな。
この世界特有のものかな?
俺も多くの病気を知ってるわけではないけど。
「俺にはそんな肌症状はないです」
「そうね、お客さんの肌は男のわりにかなり綺麗だわ」
美肌ちゃんは俺の素肌の鎖骨あたりに触れながら言った。くすぐったい。
「取材許可、ありがとうございます。これ、秘密ですけど、どんな病気でも治す貴重なお薬です。何かうっかりやばい病気にかかったら、使ってください」
「凄い……貴方、実は貴族様?」
俺は感謝を伝える為に小さな小瓶に入れたエリクサーを分けた。
娼婦はいつも危険と隣合わせの仕事をしているから。
「いいえ、ただのえちちな絵描きの商人です」
「これがあれば難病のお母さんの病気も治せるってこと?」
「え? はい、お母さんが病気だったんですか?」
「ええ、お薬代が高いわりにあまり効き目がないから、実入りのいいこんな仕事を始めたんだけど」
なんて健気で献身的な娘さんだ!
お母さんを助けたくて体を売っていたとは!
お母さんを助けたらこの子はもう体を売る必要なくなる? ってことは、このお店の売り上げは下がるかも……すみません、店長さん。
でも、親切に対応してくれた人が病気になるのは嫌だったんだ。
エリクサーは大きい容器で出したから、まだある。
煙突掃除の子達にも少しずつしか渡してないからな。
俺は三人分の取材を終えて店を出た。
取材を了承してくれた三人の女性には皆こっそりエリクサーをあげてきた。
梅毒やエイズが怖いよな、体を売る仕事は。
夜明け近くにこっそりと宿屋に帰った。
そのせいで起きるのが遅くなり、朝の10時くらいまで寝た。
三時間は寝れたからまあ、いいか。
ミレナには遅いと朝食の時間に怒られた。
先に食べてて良かったのに……。
* *
「それで、今日の予定はどうするの?」
朝食を宿提供の食事の硬いパンとスープで済ませている時に、ミレナに問われた。
まだちょっと不機嫌だな?
喋り方というか、声がやや不機嫌そう。
夜中に歓楽街に行ったのバレてるのかな?
「この辺に何か遊べる場所はあるかな?」
とりまジェラルドに助けを求める俺。
「果物を安価で採れる場所がある」
「フルーツ狩りか! いいね!」
そしてその現場に向かったら、柿だった!!
ジェラルドの案内でたどり着いた場所には柿が実っている果樹園だったのだ。
「いい柿の選び方は、実とヘタの隙間がないもの、ヘタが緑のもの、均等にオレンジの色がついているもの……だった気がする」
「わりと翔太は物知りだよね」
「物書きは色々な情報をストックしようとする癖があるんだ、いずれ何かの役に立つかもと」
「ふうん、そんなものなのね」
ミレナも機嫌が治ったのか、わざわざ広い果樹園で俺の近くにいて、真剣な顔で柿を選びつつ、俺とカナタの会話に混ざってきた。
「それと、母が柿が好きなんだよな、とくに熟した甘いやつ」
「ここのはまだそこまではいってないな」
ジェラルドも会話に混ざってきた。
「でも母は普通の柿も好きだし、お土産にしようかな」
「そんで案外親孝行なとこあるよね」
「本当に親孝行ならエロ漫画は描かないから、
それで生活しようとはしないから……な。あはは」
自分で言っておいて思わず苦笑いである。
「人にあんまり会わずに出来る仕事だし、漫画はそこはいいよね」
「カナタ、もしかして雑貨屋の接客嫌だったのか?」
「あ! 違うごめん、前の職場の事! こっちは楽しいよ! いい人ばかりだし!」
カナタがミレナと比較的仲良くできててよかった!
何かキツイこと言われなくてよかった!
最初にソフトクリームの件で味方させておいてよかった!!
食べ物の恨みは深いと言うくらいだし、食べ物の恩義も長く忘れずにいて欲しい。
「せっかくだし、この柿をオシャレ料理にでもしようか?
普通に剥いてで食べても美味しいだろうけど」
「どんな風に?」
カナタが興味深げな顔をして訊いてきた。
「柿とチーズのカプレーゼだ。モッツァレラチーズと組み合わせるやつ」
カプレーゼといえば、モッツァレラチーズとトマトの組み合わせが定番だろうけど、モッツァレラチーズと柿の組み合わせも美味しいと以前姉が言っていた。
今回、ミレナだけどせっかく女性もいるし、試してみよう。
「へえ、チーズか」
「カプレーゼって何よ?」
「カプレーゼはスライスしたトマトにモッツァレラチーズ、バジリコなどを合わせ、塩や黒胡椒、オリーブオイルなどで味付けしたサラダの一種だ。ただカプレーゼの語源は異世界の俺達の世界にあるカプリ島が由来だから、ミレナが知らなくても無理はないな」
「なんだ、つまりはサラダなのね」
「ああ」
「でもチーズはともかく黒胡椒は普通は真似できないわよ」
「うちは黒胡椒は手に入るから大丈夫だ」
異世界の定番、胡椒のような調味料が高い問題だが、俺の場合日本に戻った時にスーパーで余裕で買える。
そんな訳で収穫した柿を近くの空き地でキャンプセットを使い料理をすることにした。
柿を剥いてカプレーゼに。
今回はオリーブオイルの他にバルサミコ酢も使った。
材料は柿、モッツァレラチーズ、チャービル、オリーブオイル
バルサミコ酢、レモン汁、塩、黒胡椒だ。
チャービルはなくても良いが、あればオシャレに散らすといい。
セリ科の植物でパセリに似てる。
「うん、モッツァレラチーズはクセがないので、柿の甘みを引き立ててくれてる」
「ああ、見た目も華やかでいいな」
「うん、オシャレな上に美味しいよ!」
ジェラルドとカナタはカプレーゼを褒めてくれた。
「カツサンド美味しい!」
俺はカプレーゼだけではまんぷくになれないだろうとカツサンドも市販品を出したが、ミレナは肉が好きなので、カプレーゼよりカツサンドの方に夢中になっている。
オシャレサラダより肉か、まあ普通はそうか。
ミラはカプレーゼを映えてますよと言って撮影してくれてる。
優しいなぁ。
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