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73 ラッキーとクッキー
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魚つかみ取り大会とキャンプを終えて、俺達は早起きの鳥の声に起こしてもらって、移動と体力温存の為、簡単に朝食を済ますことにした。
日本から買ってきておいたコンビニの卵のサンドを魔法のカバンから出して、
「これはいつも間違いない味で素晴らしい」
などと褒め称え、美味しく食べてから早朝のうちに出発した。
夏は朝早く移動しないと暑いからな。
帰りの道中にある街で、ランチ代わりにしようと、公園の中で串焼を売る屋台に立ち寄った。
味はなかなかだった。
ビールが欲しくなったが、ルルエに乗っての移動があるので、ここは我慢。
屋台のある公園ではクッキーを無料で配ってる男女二人組もいた。
子供達は嬉しそうにしてクッキーを配る人の側に集まっていた。
「ウーッ、ワンワン!」
急にラッキーが吠えた。
しかも、珍しく怒ってるような吠え方だった。
いつも大人しく賢いのに……妙だな?
俺とミレナもクッキーを受け取ると、またすんごい吠える。
ついでに俺のズボンの裾に嚙みついて引っ張る。
なにかよくない物がこのクッキーに入ってたりするのか?
「あの、このクッキー、何が入っているんですか?」
俺は配っていた人達にスバリと聞いてみたが、
「普通のジンジャークッキーだよ!」
「そうよ! 善意で配ってるだけなのに何ですか、あなた! 不愉快です!」
そう答えるだけだった。
なおもクッキーを配る人に吠えるラッキー。
「ちょっと、うるさいよ、あんたの犬!」
「ラッキーとりあえず止めなさい」
「クウン……」
ラッキーは悲しげな声を声をあげた後に、対象を変え、子供達に飛びかかった!
驚いてクッキーを取り落とし、泣きわめく子供達。
だけど泣くのも構わず、ラッキーはまだそのへんにいるクッキーを持つ人に飛びかかってはいるが、人に対する攻撃ではなく、クッキーを奪おうとしていた。
まるで麻薬捜査犬のようだと思ったので、俺はラッキーを止められないし、厳しく叱れなかった。
絶対あのクッキーが怪しい。
そして配ってる人たちの人相も善良そうには見えないのだ。
本来、人を見かけで判断してはいけないけれど、性格はある程度顔に出るものだ。
このクッキーには何かよくない物が入ってる!
そう直感した。
俺は一応クッキーを配る二人組をカメラで撮影しておいた。証拠は大事。
今度錬金術師さんに会うし、なんか変な成分混じってないか調べて貰おう。
俺は魔法のカバンに怪しいクッキーを食べずにしまった。
「ミレナ、それ多分食べないほうがいいから、俺にくれ」
「いいわよ。それにしても、どうするの、ラッキーは」
ラッキーはクッキーを手にしてる人のみに飛びかかっている。
皆ビックリして悲鳴や罵声を上げて逃げていく。
クッキーを配っていた二人組も逃げた。
「ラッキー、もういいだろう、戻れ」
「ワフ!」
とりあえず街の憲兵に怪しいお菓子を配る二人組がいたと報告はしたが、ただの善意だろうと、取り合ってくれなかった。
仕方ないから、とりあえず家に帰る事にした。
早朝にキャンプ地から出発し、昼ご夕方には自宅に戻れた。
ルルエが頑張ってくれたから。
ミレナが俺達の車代わりの足であるルルエをまとめて小屋に連れてってくれた。
ミラは俺の肩の上で、ラッキーは足元についてきている。
クッキー騒ぎの時と違い、既に落ち着いている。
ジェラルドが庭先で家庭菜園のバジルを洗っていた。
夕飯の準備をしていたのかな?
「お帰りショータ」
「ジェラルド、ただいま、何か変わったことはあった?」
「ショータの買ってきた人形なら今んとこ何も動いてはいなかったぞ、あ、それと夏野菜は朝に収穫しておいた」
「そっか、収穫ありがとう。あ、キュウリは浅漬けの素に漬けよう」
「あれに漬けると魔法のように美味しくなるな」
「そうなんだよー、あれ美味いから沢山食べられる」
ミレナが会話に混ざって来た。
「ねぇ、夕食のメニューは何? 何かキッチン方面からいい匂いはしてるけど」
「ショータに教わった照り焼き味のピザがあるぞ、作っておいた」
「「ピザ!!」」
ちょうど夕飯時だったので、俺達は大喜びでジェラルドの手料理の照り焼きピザを食べた。
超うめぇ~!
日本から買ってきておいたコンビニの卵のサンドを魔法のカバンから出して、
「これはいつも間違いない味で素晴らしい」
などと褒め称え、美味しく食べてから早朝のうちに出発した。
夏は朝早く移動しないと暑いからな。
帰りの道中にある街で、ランチ代わりにしようと、公園の中で串焼を売る屋台に立ち寄った。
味はなかなかだった。
ビールが欲しくなったが、ルルエに乗っての移動があるので、ここは我慢。
屋台のある公園ではクッキーを無料で配ってる男女二人組もいた。
子供達は嬉しそうにしてクッキーを配る人の側に集まっていた。
「ウーッ、ワンワン!」
急にラッキーが吠えた。
しかも、珍しく怒ってるような吠え方だった。
いつも大人しく賢いのに……妙だな?
俺とミレナもクッキーを受け取ると、またすんごい吠える。
ついでに俺のズボンの裾に嚙みついて引っ張る。
なにかよくない物がこのクッキーに入ってたりするのか?
「あの、このクッキー、何が入っているんですか?」
俺は配っていた人達にスバリと聞いてみたが、
「普通のジンジャークッキーだよ!」
「そうよ! 善意で配ってるだけなのに何ですか、あなた! 不愉快です!」
そう答えるだけだった。
なおもクッキーを配る人に吠えるラッキー。
「ちょっと、うるさいよ、あんたの犬!」
「ラッキーとりあえず止めなさい」
「クウン……」
ラッキーは悲しげな声を声をあげた後に、対象を変え、子供達に飛びかかった!
驚いてクッキーを取り落とし、泣きわめく子供達。
だけど泣くのも構わず、ラッキーはまだそのへんにいるクッキーを持つ人に飛びかかってはいるが、人に対する攻撃ではなく、クッキーを奪おうとしていた。
まるで麻薬捜査犬のようだと思ったので、俺はラッキーを止められないし、厳しく叱れなかった。
絶対あのクッキーが怪しい。
そして配ってる人たちの人相も善良そうには見えないのだ。
本来、人を見かけで判断してはいけないけれど、性格はある程度顔に出るものだ。
このクッキーには何かよくない物が入ってる!
そう直感した。
俺は一応クッキーを配る二人組をカメラで撮影しておいた。証拠は大事。
今度錬金術師さんに会うし、なんか変な成分混じってないか調べて貰おう。
俺は魔法のカバンに怪しいクッキーを食べずにしまった。
「ミレナ、それ多分食べないほうがいいから、俺にくれ」
「いいわよ。それにしても、どうするの、ラッキーは」
ラッキーはクッキーを手にしてる人のみに飛びかかっている。
皆ビックリして悲鳴や罵声を上げて逃げていく。
クッキーを配っていた二人組も逃げた。
「ラッキー、もういいだろう、戻れ」
「ワフ!」
とりあえず街の憲兵に怪しいお菓子を配る二人組がいたと報告はしたが、ただの善意だろうと、取り合ってくれなかった。
仕方ないから、とりあえず家に帰る事にした。
早朝にキャンプ地から出発し、昼ご夕方には自宅に戻れた。
ルルエが頑張ってくれたから。
ミレナが俺達の車代わりの足であるルルエをまとめて小屋に連れてってくれた。
ミラは俺の肩の上で、ラッキーは足元についてきている。
クッキー騒ぎの時と違い、既に落ち着いている。
ジェラルドが庭先で家庭菜園のバジルを洗っていた。
夕飯の準備をしていたのかな?
「お帰りショータ」
「ジェラルド、ただいま、何か変わったことはあった?」
「ショータの買ってきた人形なら今んとこ何も動いてはいなかったぞ、あ、それと夏野菜は朝に収穫しておいた」
「そっか、収穫ありがとう。あ、キュウリは浅漬けの素に漬けよう」
「あれに漬けると魔法のように美味しくなるな」
「そうなんだよー、あれ美味いから沢山食べられる」
ミレナが会話に混ざって来た。
「ねぇ、夕食のメニューは何? 何かキッチン方面からいい匂いはしてるけど」
「ショータに教わった照り焼き味のピザがあるぞ、作っておいた」
「「ピザ!!」」
ちょうど夕飯時だったので、俺達は大喜びでジェラルドの手料理の照り焼きピザを食べた。
超うめぇ~!
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