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72 モフモフとふみふみ
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フサフサの尻尾をフリフリしつつ、器用に素早く魚を取るミレナを俺は撮影をした。
映えるからだ。邪な他意はない。
とりあえず前からも撮影しようと俺はミレナの前方に回った。
あ、前からだとシャツの間から、たわわな谷間が!!
これは怒られる!!
慌てて彼女の前方から離れる俺。
そんな感じでしばらくミレナや周囲の祭りの様子を楽しく撮影した後に、自分でも前かがみになって、鯉に似た魚を鷲掴み!! っと、トライしてはみたが、これがなかなか難しい。
俺がどんくさいだけかもしれないが。
ならばと、鮭を狩る熊の手法で魚を弾くように取ってはどうか!? と、思った。
一瞬だけ俺は素振りをしてみた。
クマっぽく。
しゃっと手を振った。
しかし、これは弾かれた魚が人にぶつからないよう配慮せねばならないと思い至り、俺の中ですぐさま却下となった。
何しろ囲いの中では祭りに参加している人が沢山いるわけだ。
大自然の中、クマが一匹狩りをしてる状況とはだいぶん違う。
「ショータ、あなたいったい、なにをしているの?」
ヤバイ、今のをミレナに見られてた!?
「く、クマのモノマネ?」
「あはは! クマですって!? どんくさいクマね! 何も狩れてないじゃないの!」
いい笑顔で笑われた。
くそう。でも笑顔が可愛いから許す。
「さっきのは素振りだったから仕方ない、人に魚がぶつかってはいけないからだな!」
「ハイハイ、あ、そっち行ったわよ」
!!
「とうっ!!」
バシャン!!
飛沫を上げつつ水に手を突っ込み、俺もようやく魚を一匹捕まえた!!
──しかし、もはや腰が限界だった!
これは、かなり腰に来る、前かがみの作業は……おじさんだから、これ以上は無理だ。
俺は一匹だけ捕った魚をミカンネットに似た網に入れて、
「すまないミレナ、俺はここまでのようだ」
冒険者パーティの、激戦後の死ぬ間際のかっこいい男みたいなセリフをナチュラルに言ってしまった。
「あなたお魚、一匹しか獲ってないじゃないの」
「腰がもう……限界でな」
「おじさん……」
己の腰をトントンと自分で叩く俺を見て、ミレナが呆れつつそう言った。
「はい、おじさんです、紛うことなき。しからば、これにてごめん。……離脱する」
俺は川から上がって、敷布の上に座ってこちらを見守っていたミラのもとに戻った。
するとミラはカバンからタオルを出してくれた。
気が利くいい子である。
俺は網に入れた魚をあらかじめ用意していたバケツの中に入れてから、濡れた手足をミラから受け取ったタオルで拭いて、ミラの隣に腰掛けた。
「ハァ、ハァ、なかなか……ハードだった。姿勢的な意味で」
「お疲れ様でした」
しばらくして囲いの中の魚は狩られ尽くして、祭りは終わった。
俺は腰がしんどいので近くでキャンプして一泊することにした。
川の近くにある開けた場所だ。
俺が腰が痛くてヨボヨボしていたので、焚き火の準備はミレナがやってくれた。
俺は火の粉が飛ばないように少し離れた場所に
敷布を敷いた。
そしてその上にマットレスを置いて、寝そべり、ミラにあるお願いをしてみた。
「ミラ、俺の背中の腰のあたりに乗ってみてくれ、そんで少し足踏みをしてみてくれ」
「はい?」
ミラは一応言われたとおりに俺の腰の上でトントンと足踏みをしてくれたのだが、軽い。
「だめだ、やはりドールでは軽すぎる、小学生の低学年くらいが多分ちょうどいい重さだな」
「えっと、すみません」
「ミラが謝る事はない、ごめん、ありがとな」
次に焚き火で魚を串に刺して塩をふって焼いていたミレナをじっと見る俺。
「なに? まさか私に背中に乗って欲しいの?」
「いや、流石に成人女性に全体重かけられるのはしんどいから、足だけでトントンしてくれないか?」
「はぁ?」
「こう、サンダルは脱いで座ったまま」
体操座りみたいにして足だけ上下に、と、俺は見本の動きを見せた。
「普通に手で腰を揉んでって頼めばよくない?」
「それはちょっと偉そうで申し訳ないから、足で雑にトントンしてくれないかなって」
「足で雑に……変な気の使い方をする男ね」
「手で揉めとか偉そう過ぎるから……」
「仕方ないわね、じゃあそこのマットに寝そべりなさい」
「ああ、よろしく、」
しばらくミレナに生足でトントンしてもらった。
……これはなかなか、悪くない。
絵面が妙だが。
──ん!? って、今気がついたが!
こら、何故今カメラを回しているんだ、ミラは。
足でトントンされたりグリグリされたりしてる俺の姿を撮影している!
これはおもしろいのか!? この情けない姿が!!
「おーい、撮影するなら焚き火の方にしなさい、ほら、お魚が焼けてきただろ」
「あ! 魚!」
ミレナが慌てて焼き魚の様子を見に行ったので、美脚のトントンマッサージタイムは終った。
俺は魔法のカバンからおにぎりと漬物とお茶と日本酒を取り出し、キャンプ用テーブルの上に並べた。
そしていい感じに焼けた魚を食う。
「見た目は鯉に似てるが、あのヤバそうな返しのある小骨が無くていいな、この魚。味もいい、サバっぽい味がする」
骨の構造的にわりと食べやすい川魚だった。
「白身の魚ね、名前はクルルンよ」
可愛い名前だ。
日が暮れて、夕日を眺めて、河原でキャンプし、日本酒と魚とおにぎりを楽しみ、ラッキーには犬用ジャーキーをあげた。
それから夏の綺麗な夜空を見て、贅沢な時間だなと思いつつ、テントの中で眠りについた。
しばらく普通に眠っていたが、夜中にパシャパシャと水音がして、なんかいるなって、ちよっとテントの隙間から川の方を覗いたら、ミレナが水浴びをしていた!
び、ビキニを着ていたからセーフ!!
きっとお風呂の代わりに川に入っていたんだな。
あー、ビックリした!!
俺はドキドキしながらも、もう一回寝ることにした。
今度は……なかなか寝付けなかったけど。
映えるからだ。邪な他意はない。
とりあえず前からも撮影しようと俺はミレナの前方に回った。
あ、前からだとシャツの間から、たわわな谷間が!!
これは怒られる!!
慌てて彼女の前方から離れる俺。
そんな感じでしばらくミレナや周囲の祭りの様子を楽しく撮影した後に、自分でも前かがみになって、鯉に似た魚を鷲掴み!! っと、トライしてはみたが、これがなかなか難しい。
俺がどんくさいだけかもしれないが。
ならばと、鮭を狩る熊の手法で魚を弾くように取ってはどうか!? と、思った。
一瞬だけ俺は素振りをしてみた。
クマっぽく。
しゃっと手を振った。
しかし、これは弾かれた魚が人にぶつからないよう配慮せねばならないと思い至り、俺の中ですぐさま却下となった。
何しろ囲いの中では祭りに参加している人が沢山いるわけだ。
大自然の中、クマが一匹狩りをしてる状況とはだいぶん違う。
「ショータ、あなたいったい、なにをしているの?」
ヤバイ、今のをミレナに見られてた!?
「く、クマのモノマネ?」
「あはは! クマですって!? どんくさいクマね! 何も狩れてないじゃないの!」
いい笑顔で笑われた。
くそう。でも笑顔が可愛いから許す。
「さっきのは素振りだったから仕方ない、人に魚がぶつかってはいけないからだな!」
「ハイハイ、あ、そっち行ったわよ」
!!
「とうっ!!」
バシャン!!
飛沫を上げつつ水に手を突っ込み、俺もようやく魚を一匹捕まえた!!
──しかし、もはや腰が限界だった!
これは、かなり腰に来る、前かがみの作業は……おじさんだから、これ以上は無理だ。
俺は一匹だけ捕った魚をミカンネットに似た網に入れて、
「すまないミレナ、俺はここまでのようだ」
冒険者パーティの、激戦後の死ぬ間際のかっこいい男みたいなセリフをナチュラルに言ってしまった。
「あなたお魚、一匹しか獲ってないじゃないの」
「腰がもう……限界でな」
「おじさん……」
己の腰をトントンと自分で叩く俺を見て、ミレナが呆れつつそう言った。
「はい、おじさんです、紛うことなき。しからば、これにてごめん。……離脱する」
俺は川から上がって、敷布の上に座ってこちらを見守っていたミラのもとに戻った。
するとミラはカバンからタオルを出してくれた。
気が利くいい子である。
俺は網に入れた魚をあらかじめ用意していたバケツの中に入れてから、濡れた手足をミラから受け取ったタオルで拭いて、ミラの隣に腰掛けた。
「ハァ、ハァ、なかなか……ハードだった。姿勢的な意味で」
「お疲れ様でした」
しばらくして囲いの中の魚は狩られ尽くして、祭りは終わった。
俺は腰がしんどいので近くでキャンプして一泊することにした。
川の近くにある開けた場所だ。
俺が腰が痛くてヨボヨボしていたので、焚き火の準備はミレナがやってくれた。
俺は火の粉が飛ばないように少し離れた場所に
敷布を敷いた。
そしてその上にマットレスを置いて、寝そべり、ミラにあるお願いをしてみた。
「ミラ、俺の背中の腰のあたりに乗ってみてくれ、そんで少し足踏みをしてみてくれ」
「はい?」
ミラは一応言われたとおりに俺の腰の上でトントンと足踏みをしてくれたのだが、軽い。
「だめだ、やはりドールでは軽すぎる、小学生の低学年くらいが多分ちょうどいい重さだな」
「えっと、すみません」
「ミラが謝る事はない、ごめん、ありがとな」
次に焚き火で魚を串に刺して塩をふって焼いていたミレナをじっと見る俺。
「なに? まさか私に背中に乗って欲しいの?」
「いや、流石に成人女性に全体重かけられるのはしんどいから、足だけでトントンしてくれないか?」
「はぁ?」
「こう、サンダルは脱いで座ったまま」
体操座りみたいにして足だけ上下に、と、俺は見本の動きを見せた。
「普通に手で腰を揉んでって頼めばよくない?」
「それはちょっと偉そうで申し訳ないから、足で雑にトントンしてくれないかなって」
「足で雑に……変な気の使い方をする男ね」
「手で揉めとか偉そう過ぎるから……」
「仕方ないわね、じゃあそこのマットに寝そべりなさい」
「ああ、よろしく、」
しばらくミレナに生足でトントンしてもらった。
……これはなかなか、悪くない。
絵面が妙だが。
──ん!? って、今気がついたが!
こら、何故今カメラを回しているんだ、ミラは。
足でトントンされたりグリグリされたりしてる俺の姿を撮影している!
これはおもしろいのか!? この情けない姿が!!
「おーい、撮影するなら焚き火の方にしなさい、ほら、お魚が焼けてきただろ」
「あ! 魚!」
ミレナが慌てて焼き魚の様子を見に行ったので、美脚のトントンマッサージタイムは終った。
俺は魔法のカバンからおにぎりと漬物とお茶と日本酒を取り出し、キャンプ用テーブルの上に並べた。
そしていい感じに焼けた魚を食う。
「見た目は鯉に似てるが、あのヤバそうな返しのある小骨が無くていいな、この魚。味もいい、サバっぽい味がする」
骨の構造的にわりと食べやすい川魚だった。
「白身の魚ね、名前はクルルンよ」
可愛い名前だ。
日が暮れて、夕日を眺めて、河原でキャンプし、日本酒と魚とおにぎりを楽しみ、ラッキーには犬用ジャーキーをあげた。
それから夏の綺麗な夜空を見て、贅沢な時間だなと思いつつ、テントの中で眠りについた。
しばらく普通に眠っていたが、夜中にパシャパシャと水音がして、なんかいるなって、ちよっとテントの隙間から川の方を覗いたら、ミレナが水浴びをしていた!
び、ビキニを着ていたからセーフ!!
きっとお風呂の代わりに川に入っていたんだな。
あー、ビックリした!!
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