俺って何故か押入れから異世界へ行き来ができるっぽい！〜 商人であり聖者でもある男の異世界を巡る日々 〜

50 ミレナ視点「甘い蜜の貢物」

　＊　＊　【ミレナ視点】　＊　＊

　私の名前はミレナ。

　美しく長い髪の狐族の獣人の美女！

　狐族の女性には多いけど、例に漏れず、私も異性にはとてもモテるわ、可愛くて綺麗だから！

　道行く多くの雄は私見て振り返るほどよ。

　最近気になる人族の男がいて、結構サービスしてるのに、まだ求婚をしてこない！

　この私があんなに恥ずかしい金ピカの水着まで着てやったというのに！　

　好みだって言ってたじゃないのよ！

　あんなの誘惑と同じなのに！

　あの男ったら、お人好しで赤の他人の老婆にもせっかく獲った魚もあげるし、親兄弟でもない友人の為に眠り草を集めたり、本当に変な男。

　最初にたまたま出会った時も、誰にでも優しいなら壁にハマって動けない私を助けても、運命的なものも感じないのかしら？

　普通なら恩人だと恩にきせて、男ならいいよってくるものなのに。

　いや、あれは罠とかじゃなくて本当に困っていたんだけど、あのエルフのせいで自作自演でも疑っているのかしら？　あれは正直ちゃんと私だって感謝はしてたんだけど……。


　私は胸元に吊るしてるお守りのボーンナイフを握った。

「何が良縁をよ。だったらさっさと気付きなさいよ、鈍い男……」


　──別に珍しい食べ物や物だけに惹かれてる訳じゃない。

　ふにゃふにゃしてえちちな絵を描いて売るような変な男だし、魚は捌けるけど動物だと怖がるし、異世界人だし、でも、ろくに戦闘力もないあの男が放っておけないのよ。

　弱いくせに……お人好しだからいつどんな危険にさらされるか分からない。

　私が、守ってあげないと。
　頼りないし。

　今回はあいつが行くって言うから私も海底都市へ旅行に来た。
　入り口の海龍の口のとこで噛まれはしないかとショータはビビっていたわ。
　なんかやましいことでもあったの？　ちょっとウケたわ。

　海底都市は周りが海で不思議で綺麗だった。
　この海底都市の旅行でなんとか進展させたいけど、なんとかならないかしら？

　恋愛の神様じゃないけど、私は海の神に祈った。
　自分の幸せと、あの男の幸せを。

　貢ぎ物を置く祭壇には甘くて美味しい蜂蜜を置いてきた。
　海の幸以外の方が嬉しいかと思って。

　今夜の部屋は別れたわ、でもエルフとショータは同じ部屋だから、夜這いもできないわね。
　そもそもドールのミラもあちらの部屋にいるし、夜は静かに寝るしかないわね。

　ところでお土産屋で買っていたあの踊り子の衣装は花街の女に着せるつもりかしら？
　つまり、花街の女を買って抱くつもりなのかしら？

　……考えてたらムカついてきたわ。

　眠り草を使って無理やり寝よう。

　そのうちきっと、必ず私の魅力に陥落するはず！