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40 女子と買い物
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そう言えば伯爵様に俺のお店は五日後に開店しますと伝えておいた。
なのでこの間にやれることをやる。
「ショータ、じゃあ俺はこの庭の畑の手入れをするぞ」
「うん、ありがとう、よろしく」
ジェラルドが家庭菜園の畑いじりをしてる間に、俺とミレナは平民街の朝市に向かった。
日本の食材や物価が高くなってるから肉と野菜はこっちで買おうかと思って。
市場に向かう途中の道。
竹で編んだカゴを背負って、更にカゴの上に大きな麻袋を横たえて運んでる女性を見かけた。
すごく重そうなのにたくましいな。
「すげー重そう、荷車も使わず働きものでえらいなぁ。あ、でも売りきったら帰りは荷車ない方が身軽か」
「その辺の農家の女性はだいたいあんな感じよ、冒険者なら稀に魔法の鞄を使うけど」
「あれは高価だもんな。しかし重そうだから運びますよと声をかけて、さっと魔法の鞄に入れたら泥棒されるかとびっくりされるよな」
「そうよ、魔法の鞄はびっくりされるからやめなさい」
代わりに背負うには重すぎる気がするし、万が一袋が破れたら中身が落ちて大損害になるかも。
……軟弱な俺を許してくれ。
* *
市場に到着した。
市場には竹で編んだカゴに行きたままの鶏やアヒルを入れで売ってたりもした。
地球のベトナムの市場とかでもあれはよく見る。
「新鮮だけどあれ自分でシメる必要があるんだよな、難易度が高い」
人を襲う魔物なら敵や害の獣と割り切れるけど、普通の動物は心情的にハードだ。
「ヘタレ、そんなの普通でしょ」
「ミレナは生きた鶏をシメられるのか?」
「当たり前でしょ、私を何だと思ってるの」
「あ、冒険者だったな」
そんで狐娘だな。ワイルドだぜ。
鶏をシメるのにまず、首をポキっとやるのは知っている。辛い。
──あ、さっきの女性だ。
「あー、あの荷物はキャベツだったのか、あれは重いわ」
「買うの?」
「キャベツは使い勝手も悪くないし、胃にもいいから買おう、とんかつの付け合せの定番だし」
キャベジ◯もキャベツに含まれる「cabbage in(キャベッジ イン)」を転じて 「キャベ◯ン」と名づけられたくらいだし。
代わりに背負うのは無理だったから売上に貢献しよう。
俺は女性の路上販売の店の前に立ち、キャベツを指差した。
「これを三……いえ、六つください」
「はい、ありがとうございます」
俺は銅貨数枚で支払いをし、キャベツは魔法の鞄にぽいぽいっと入れた。
竹カゴに緩衝材の籾殻を入れてくるスタイルの卵売りもいた。
平民街の朝市は大きな麻袋を敷布かわりにして、その上に売り物を置くスタイルが多い。
他はテントときちんとしたお店を構えてるか、ゴザなどを敷いている。
森の川までは行かないから今回はここで卵を買おう。
「えーと、卵を二十個ください」
「店でも使うなら四、五十でもいいんじゃないの?」
ミレナに言われてそれもそうだと思い直した。
卵はホットケーキにも使える。
「やはり卵を五十個ください」
「はいよ」
ワッフルメーカーとホットケーキミックスで作りたてのが出来るんだよな。
後は業務用スーパーで買ったホイップや冷凍フルーツなんか添えたらそれなりに見映えがする。
あ、でも市場だし、ここにもフルーツは多いな。
フレッシュフルーツってやっぱりいいよな。
歩きながら色んな店を見ていく。
「どうだい、お嬢さん、新鮮で甘くて美味しい果物だよ! かわいいから安くしとくよ」
こいつはどう見ても柄がスイカだ!
ラグビーボールみたいな形をしてるが。
夏の森みたいな場所で、育ててるのかな。
「じゃあ五個ほどいただこうかしら」
「毎度あり」
ミレナはスイカらしき果物を魔法の鞄に入れた。
俺はミレナにお金を渡しておくことにした。
代理で安く買ってもらうためだ。
「お嬢さんキレイだね!
美味しい夏野菜、安くしとくよ!」
トマトやキュウリだな。
「いただくわ」
「これは潰したばかりの新鮮ないい肉だよ! お嬢さん綺麗だから安くしとくよ!」
「買うわ」
ミレナのおかげで美味しそうなフルーツと夏野菜と豚肉もなかなかお安く仕入れることができた。
パン粉はスーパーで買ってきたものがあるから今度とんかつを作ろう。
市場から帰って、明日は実際に水着の性能を試す為にも水場に行くことにした。
俺は疑ってないけど、ジェラルドもせっかく夏だしと、言うので。
「海よりは川や池の方が近いがどうする?」
「池は流れがないから川の方が水が綺麗なはず、川にしよう、海は海水だから上がった後にまた水で体を洗う必要があるし」
「じゃあ川の方な」
「わ、私も行くわよ、水着を実際に売るのは私なんでしょ」
「ああ、じゃあミレナはサイズの合うやつから好きな水着を選んでいいぞ、黒が嫌なんだったよな」
「……」
ミレナの謎の沈黙。
やはり水着が恥ずかしいのかな? 丈の短いショートパンツはいてるのにな。
なのでこの間にやれることをやる。
「ショータ、じゃあ俺はこの庭の畑の手入れをするぞ」
「うん、ありがとう、よろしく」
ジェラルドが家庭菜園の畑いじりをしてる間に、俺とミレナは平民街の朝市に向かった。
日本の食材や物価が高くなってるから肉と野菜はこっちで買おうかと思って。
市場に向かう途中の道。
竹で編んだカゴを背負って、更にカゴの上に大きな麻袋を横たえて運んでる女性を見かけた。
すごく重そうなのにたくましいな。
「すげー重そう、荷車も使わず働きものでえらいなぁ。あ、でも売りきったら帰りは荷車ない方が身軽か」
「その辺の農家の女性はだいたいあんな感じよ、冒険者なら稀に魔法の鞄を使うけど」
「あれは高価だもんな。しかし重そうだから運びますよと声をかけて、さっと魔法の鞄に入れたら泥棒されるかとびっくりされるよな」
「そうよ、魔法の鞄はびっくりされるからやめなさい」
代わりに背負うには重すぎる気がするし、万が一袋が破れたら中身が落ちて大損害になるかも。
……軟弱な俺を許してくれ。
* *
市場に到着した。
市場には竹で編んだカゴに行きたままの鶏やアヒルを入れで売ってたりもした。
地球のベトナムの市場とかでもあれはよく見る。
「新鮮だけどあれ自分でシメる必要があるんだよな、難易度が高い」
人を襲う魔物なら敵や害の獣と割り切れるけど、普通の動物は心情的にハードだ。
「ヘタレ、そんなの普通でしょ」
「ミレナは生きた鶏をシメられるのか?」
「当たり前でしょ、私を何だと思ってるの」
「あ、冒険者だったな」
そんで狐娘だな。ワイルドだぜ。
鶏をシメるのにまず、首をポキっとやるのは知っている。辛い。
──あ、さっきの女性だ。
「あー、あの荷物はキャベツだったのか、あれは重いわ」
「買うの?」
「キャベツは使い勝手も悪くないし、胃にもいいから買おう、とんかつの付け合せの定番だし」
キャベジ◯もキャベツに含まれる「cabbage in(キャベッジ イン)」を転じて 「キャベ◯ン」と名づけられたくらいだし。
代わりに背負うのは無理だったから売上に貢献しよう。
俺は女性の路上販売の店の前に立ち、キャベツを指差した。
「これを三……いえ、六つください」
「はい、ありがとうございます」
俺は銅貨数枚で支払いをし、キャベツは魔法の鞄にぽいぽいっと入れた。
竹カゴに緩衝材の籾殻を入れてくるスタイルの卵売りもいた。
平民街の朝市は大きな麻袋を敷布かわりにして、その上に売り物を置くスタイルが多い。
他はテントときちんとしたお店を構えてるか、ゴザなどを敷いている。
森の川までは行かないから今回はここで卵を買おう。
「えーと、卵を二十個ください」
「店でも使うなら四、五十でもいいんじゃないの?」
ミレナに言われてそれもそうだと思い直した。
卵はホットケーキにも使える。
「やはり卵を五十個ください」
「はいよ」
ワッフルメーカーとホットケーキミックスで作りたてのが出来るんだよな。
後は業務用スーパーで買ったホイップや冷凍フルーツなんか添えたらそれなりに見映えがする。
あ、でも市場だし、ここにもフルーツは多いな。
フレッシュフルーツってやっぱりいいよな。
歩きながら色んな店を見ていく。
「どうだい、お嬢さん、新鮮で甘くて美味しい果物だよ! かわいいから安くしとくよ」
こいつはどう見ても柄がスイカだ!
ラグビーボールみたいな形をしてるが。
夏の森みたいな場所で、育ててるのかな。
「じゃあ五個ほどいただこうかしら」
「毎度あり」
ミレナはスイカらしき果物を魔法の鞄に入れた。
俺はミレナにお金を渡しておくことにした。
代理で安く買ってもらうためだ。
「お嬢さんキレイだね!
美味しい夏野菜、安くしとくよ!」
トマトやキュウリだな。
「いただくわ」
「これは潰したばかりの新鮮ないい肉だよ! お嬢さん綺麗だから安くしとくよ!」
「買うわ」
ミレナのおかげで美味しそうなフルーツと夏野菜と豚肉もなかなかお安く仕入れることができた。
パン粉はスーパーで買ってきたものがあるから今度とんかつを作ろう。
市場から帰って、明日は実際に水着の性能を試す為にも水場に行くことにした。
俺は疑ってないけど、ジェラルドもせっかく夏だしと、言うので。
「海よりは川や池の方が近いがどうする?」
「池は流れがないから川の方が水が綺麗なはず、川にしよう、海は海水だから上がった後にまた水で体を洗う必要があるし」
「じゃあ川の方な」
「わ、私も行くわよ、水着を実際に売るのは私なんでしょ」
「ああ、じゃあミレナはサイズの合うやつから好きな水着を選んでいいぞ、黒が嫌なんだったよな」
「……」
ミレナの謎の沈黙。
やはり水着が恥ずかしいのかな? 丈の短いショートパンツはいてるのにな。
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