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05 川で朝食
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寝る間際には、お嬢様を探してる雰囲気の執事のことが気になってはいたが、異世界で寝不足で体調崩すとやっかいだから、頑張って寝た。
そして朝になった。
銅貨三枚の安い宿屋のベッドは硬かった。
しかもなんか虫に刺された。
刺されたとこが痒い!
ジェラルドが宿代節約しすぎたなと笑いながら、エルフ直伝の虫刺されの薬を出してきて、塗ってくれた。
そんで虫に刺されたのは何故か俺だけだった。
「しかしなんで同じベッドで俺だけ虫に刺されたんだろう?」
「俺は魔力で体を保護してるから」
「ええ!? エルフ凄いなぁ! いいなあ!」
そういやエルフの森の中の家ですら虫にはさされなかったのに。
人間の安宿では虫に刺される。
虫除けのバル◯ン炊きたい!
いや、早くこの安い宿を出よう!
「花街でも外の空気のがやっぱり美味いな! まだリュックにフリーズドライの食品入れてたから、お外でキャンプしよう!」
「フリーズドライがなんだかわからんが、虫宿から逃げたいんだな」
「当然だよ! 外なら火も炊けるし、若干マシな可能性もある! あと、フリーズドライはお湯をかけただけで食える優秀な保存食だよ」
「そうか、凄いな。あ、外では虫除けの草を燃やそう、持ってるから」
フリーズドライの説明が雑過ぎてよくわかってないみたいだが、とりあえず流してくれた。
だって異世界のエルフにフリーズドライ食品とは、食品を凍らせ、真空凍結乾燥機と呼ばれる機械で、真空に近い状態にして乾燥させたもの。とか言ってもな。
とりあえず虫除けの草もあるらしいから、早速川に向かう。
異世界に行くのに虫除けのスプレーとかもリュックに入れておくべきだった。
俺は後悔した。
花街を出て川の側に来た。
ここをキャンプ地とする!
春の陽光のもと、川はキラキラと輝いていた。
川っぺりにそれなりのサイズの石を使って簡易なカマドを作った。
キャンプ用の焚き火台もリュックの中にあるけど、この世界の人に見られたら目立つかもしれないから、とりあえず今回は石があるからそっちを使う。
ジェラルドは火に紫色の虫除けの草を入れた。
煙が出て、これが除虫菊みたいな役割をするんだろうな、多分。
俺はリュックから食材を出した。
「ジェラルド、これがフリーズドライの食品だよ、雑炊と味噌汁」
俺は飯盒と鍋でお湯を沸かした。
そして鍋に雑炊、飯盒にアオサの味噌汁のフリーズドライ商品を入れた。
味が苦手でなければいいが。
エルフは味噌汁の匂いを嗅いでいる。
「磯の香り?」
「アオサが入ってるせいかな、海藻の」
「どうかな? 食べられそう?」
俺は味噌汁にフーフーと息を吹きかけ、熱々を冷ましつつ先に食べて見せた。安全な食品ですよのアピールだ。
俺の様子を伺っていたジェラルドが味噌汁を飲んだ。さて、反応は?
「……食べられる」
「良かった」
やや不思議そうな顔をしているが、不味そうな顔はしてないから、良かった。
「こっちは鶏出汁味の雑炊な」
「……美味しいな」
良かった!
ジェラルドは目を輝かせ、目をパチパチさせて瞬きをしてる。
睫毛長いな、流石美形のエルフ。
雑炊も味噌汁を堪能してると、昨夜見かけた初老の執事が川っぺりで顔を洗っていた。
あの服で川で顔を洗ってるの、凄い違和感ある。
あの人ずっとお嬢様探して見つからなかったのかな。
でも没落しても貴族の令嬢が娼館に入ってるならその噂は界隈ですぐに広まるものではないのかな?
平民が元貴族の令嬢を抱ける機会なんて早々ないだろうし。
人気になりそう。
でもまだ見つけられないなら、まだ店で働いていないのかもな。
店主が先に味見しつつ、娼婦のあれそれを教えてる段階だったり……とか。
ぐうぅ~~。
突然響き渡る腹の虫の音。
執事さん、飯も食わずにお嬢様を探してた?
ここは武士の情けや。
「良ければ一緒に食べませんか?」
「え、あ、申し訳ない。お恥ずかしいところを」
俺は予備の雑炊を分けてあげた。
執事さんは申し訳ありませんと言いつつ、感謝して雑炊を食べた。
「温かいし、美味しいですね。お湯をかけたらほどけるように広がって、こんなに美味しい食事に」
「あ! 貰ったとうもろこしも有ったんだ! しかも三本!」
一本は茹でて、残り二本は焼きもろこしにして三人で、ナイフでカットして一本ずつ分食べた。
茹では瑞々しく、焼きは香ばしく甘く、美味しかった。
食事の終わる頃に、執事さんにお嬢様を探しているんですか? と、ついに訊いてしまった。
「絶対に冤罪なんです、ユスティナお嬢様がお労しくて……」
話を聞くと、執事さんはヘーレン子爵家に仕える執事さんだった。
どうやらヘーレン子爵家のユスティナお嬢様の婚約者だったハロウス伯爵令息がルジュラ令嬢に寝取られたって事のようだった。
そして男爵令嬢のルジェラを暴漢に襲わせたと、お嬢様が冤罪をかけられ、執事さんは取り調べを受けてる間に彼女がどこかの娼館送りになったらしいと聞いて、探していた。
ちなみにユスティナお嬢様が送られた娼館の名前は教えてもらえなかったらしい。
「きっと男爵令嬢の自作自演なんです!
襲われて傷物になってるなら伯爵令息とも破談になるはずですし、間一髪護衛騎士に見つかって暴漢は倒されて事なきを得たなんて、出来過ぎですから」
濡れ衣ってことか。
「そいつは大変だ」
「酒場に行けば情報は集まるかな?」
「娼婦に聞いたほうが早くないか? 娼婦内にも男から聞くのと娼婦仲間との情報があるだろう?」
娼館は普通に行けばお金はかかるけど、なんなら肖像画を描きますと娼館に営業に行くか?
そして朝になった。
銅貨三枚の安い宿屋のベッドは硬かった。
しかもなんか虫に刺された。
刺されたとこが痒い!
ジェラルドが宿代節約しすぎたなと笑いながら、エルフ直伝の虫刺されの薬を出してきて、塗ってくれた。
そんで虫に刺されたのは何故か俺だけだった。
「しかしなんで同じベッドで俺だけ虫に刺されたんだろう?」
「俺は魔力で体を保護してるから」
「ええ!? エルフ凄いなぁ! いいなあ!」
そういやエルフの森の中の家ですら虫にはさされなかったのに。
人間の安宿では虫に刺される。
虫除けのバル◯ン炊きたい!
いや、早くこの安い宿を出よう!
「花街でも外の空気のがやっぱり美味いな! まだリュックにフリーズドライの食品入れてたから、お外でキャンプしよう!」
「フリーズドライがなんだかわからんが、虫宿から逃げたいんだな」
「当然だよ! 外なら火も炊けるし、若干マシな可能性もある! あと、フリーズドライはお湯をかけただけで食える優秀な保存食だよ」
「そうか、凄いな。あ、外では虫除けの草を燃やそう、持ってるから」
フリーズドライの説明が雑過ぎてよくわかってないみたいだが、とりあえず流してくれた。
だって異世界のエルフにフリーズドライ食品とは、食品を凍らせ、真空凍結乾燥機と呼ばれる機械で、真空に近い状態にして乾燥させたもの。とか言ってもな。
とりあえず虫除けの草もあるらしいから、早速川に向かう。
異世界に行くのに虫除けのスプレーとかもリュックに入れておくべきだった。
俺は後悔した。
花街を出て川の側に来た。
ここをキャンプ地とする!
春の陽光のもと、川はキラキラと輝いていた。
川っぺりにそれなりのサイズの石を使って簡易なカマドを作った。
キャンプ用の焚き火台もリュックの中にあるけど、この世界の人に見られたら目立つかもしれないから、とりあえず今回は石があるからそっちを使う。
ジェラルドは火に紫色の虫除けの草を入れた。
煙が出て、これが除虫菊みたいな役割をするんだろうな、多分。
俺はリュックから食材を出した。
「ジェラルド、これがフリーズドライの食品だよ、雑炊と味噌汁」
俺は飯盒と鍋でお湯を沸かした。
そして鍋に雑炊、飯盒にアオサの味噌汁のフリーズドライ商品を入れた。
味が苦手でなければいいが。
エルフは味噌汁の匂いを嗅いでいる。
「磯の香り?」
「アオサが入ってるせいかな、海藻の」
「どうかな? 食べられそう?」
俺は味噌汁にフーフーと息を吹きかけ、熱々を冷ましつつ先に食べて見せた。安全な食品ですよのアピールだ。
俺の様子を伺っていたジェラルドが味噌汁を飲んだ。さて、反応は?
「……食べられる」
「良かった」
やや不思議そうな顔をしているが、不味そうな顔はしてないから、良かった。
「こっちは鶏出汁味の雑炊な」
「……美味しいな」
良かった!
ジェラルドは目を輝かせ、目をパチパチさせて瞬きをしてる。
睫毛長いな、流石美形のエルフ。
雑炊も味噌汁を堪能してると、昨夜見かけた初老の執事が川っぺりで顔を洗っていた。
あの服で川で顔を洗ってるの、凄い違和感ある。
あの人ずっとお嬢様探して見つからなかったのかな。
でも没落しても貴族の令嬢が娼館に入ってるならその噂は界隈ですぐに広まるものではないのかな?
平民が元貴族の令嬢を抱ける機会なんて早々ないだろうし。
人気になりそう。
でもまだ見つけられないなら、まだ店で働いていないのかもな。
店主が先に味見しつつ、娼婦のあれそれを教えてる段階だったり……とか。
ぐうぅ~~。
突然響き渡る腹の虫の音。
執事さん、飯も食わずにお嬢様を探してた?
ここは武士の情けや。
「良ければ一緒に食べませんか?」
「え、あ、申し訳ない。お恥ずかしいところを」
俺は予備の雑炊を分けてあげた。
執事さんは申し訳ありませんと言いつつ、感謝して雑炊を食べた。
「温かいし、美味しいですね。お湯をかけたらほどけるように広がって、こんなに美味しい食事に」
「あ! 貰ったとうもろこしも有ったんだ! しかも三本!」
一本は茹でて、残り二本は焼きもろこしにして三人で、ナイフでカットして一本ずつ分食べた。
茹では瑞々しく、焼きは香ばしく甘く、美味しかった。
食事の終わる頃に、執事さんにお嬢様を探しているんですか? と、ついに訊いてしまった。
「絶対に冤罪なんです、ユスティナお嬢様がお労しくて……」
話を聞くと、執事さんはヘーレン子爵家に仕える執事さんだった。
どうやらヘーレン子爵家のユスティナお嬢様の婚約者だったハロウス伯爵令息がルジュラ令嬢に寝取られたって事のようだった。
そして男爵令嬢のルジェラを暴漢に襲わせたと、お嬢様が冤罪をかけられ、執事さんは取り調べを受けてる間に彼女がどこかの娼館送りになったらしいと聞いて、探していた。
ちなみにユスティナお嬢様が送られた娼館の名前は教えてもらえなかったらしい。
「きっと男爵令嬢の自作自演なんです!
襲われて傷物になってるなら伯爵令息とも破談になるはずですし、間一髪護衛騎士に見つかって暴漢は倒されて事なきを得たなんて、出来過ぎですから」
濡れ衣ってことか。
「そいつは大変だ」
「酒場に行けば情報は集まるかな?」
「娼婦に聞いたほうが早くないか? 娼婦内にも男から聞くのと娼婦仲間との情報があるだろう?」
娼館は普通に行けばお金はかかるけど、なんなら肖像画を描きますと娼館に営業に行くか?
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