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出発前に。
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「四人で登録お願いします」
「おお、イジュール平原のドラゴン退治に行くのか、ドラゴンは最強種だ、十分に気をつけろよ」
「はい」
イジュール平原へ行く前に冒険者ギルドに来た。
そして、ドラゴン討伐に参加する為に申請登録をした。
私達とライ君の四人分だ。
必要な手続きを終わらせて、クリスを初期にお世話になった赤星と言う、宿屋兼食堂のおばさんに預けて行くお願いをした。
養育費も預けておいた。
「いい、クリス、養育費はおばさんに預けているけれど、誰かが病気になったり、お薬代とか、どうしても困ったら、御守り袋の中を見るのよ」
お金がどうしても必要な、もしもの時用にお守り袋に宝石も買って、忍ばせておいた。
「うん……」
「良い子にしててね」
私はクリスの頭を優しく撫でた。クリスの目は潤んでいた。
「これはピーラーと言って、ジャガイモやリンゴの皮が剥ける道具だ。
一緒に使ってみよう。これで食堂でお手伝いも出来るから」
コウタはスキルショップで購入したピーラーを使ってジャガイモの皮剥きをクリスに仕込んでいる。
ピーラーは厨房の人達も使えるように10個も仕入れていた。
クリスが預けられた先で厄介者扱いされないように、出来る事を少しでも増やす考えだろう。
気の良いおばさんだから、多分大丈夫だと思うけど、何かが原因で経営が傾くとかあり得ない事ではない。
ほら、突然の鳥インフルエンザとか狂牛病とか、疫病とかで廃業に追い込まれる店って、あるだろうし。
里親トライアルに行かせていた男の子達も、無事養子にして貰える事になった。
良かった。
ドラゴン退治に行く前に決まって。
注文していた薙刀も工房から受け取った。
とはいえ、ドラゴン相手に薙刀では無理だろう。
コウタからは私と紗耶香ちゃんは魔法で後方支援をしろと言われている。
そうだね……。
* *
コウタは世話になった人や顔見知りに挨拶に行くと、赤星からの帰りにライ君と風呂屋に行った。
私と紗耶香ちゃんは二人で自宅に戻って来た。
すると、今がチャンスとばかりに紗耶香ちゃんからお願いをされた。
「カナデっち、肉じゃがの作り方を教えてくれる? メモ取るし」
「ん? コウタにあげるお弁当に肉じゃがを入れるの?」
「お弁当とは別なんだけど、男が女に作って貰いたい料理ランキング上位になかった? 肉じゃが」
「うーん、好きな相手からならパスタでも喜ぶと思うけど、まあ良いわ、教える」
「サンキュ」
私は紗耶香ちゃんがせっかくやる気を出しているので、教えながらも料理中の紗耶香ちゃんをスマホで動画撮影をした。
「カナデっち、なんでこんなん撮ってんの?」
「料理してる人の動画、日本で良く見てたんだ」
「面白い?」
「うん、作った後に、美味しそうに食べるところもセットで、私は楽しんで見ていたよ」
「ふーん。
あ、おじさんが一人で飯を食いまくるだけのドラマとか好きだったタイプ?」
「よく分かったねえ。あれ、春巻き食べる音とか最高だったのよ、パリっと」
「あーね、漬物食べる時のポリポリ音とかね」
「そうそう」
「できた!」
「紗耶香ちゃん、お疲れ~~。美味しそうにできたじゃない」
「ありがと! 味見したけど、マジ指導のおかげで美味しいよ!」
コウタとライ君が風呂屋から戻って、一緒に肉じゃがを食べた。
「え? この美味しい肉じゃが、カナデじゃなくて水木さんが作ったんだ?」
「うん、カナデっちに教えてもらった!」
「そうよ、証拠の動画もあるから」
「マジで? 後で見せて」
「コータ君、サヤの手作りを疑うの~~?」
コウタをジト目で見る紗耶香ちゃんと焦るコウタ。
「違う違う! わざわざ動画撮影してるって言うから見たいだけ!
マジで美味いよ、この肉じゃが! ご飯も美味しく炊けてるし!」
「あはは! まあイイケド!」
なごやかに、私達は食事を済ました。
私は伝書鳥の白雪に手紙を手紙を持たせ、ラウルさんにイジュール平原のドラゴン退治に向かうと伝えて貰う事にした。
──もし、死んだら、永遠のお別れなんだよ。
だから挨拶くらいはね、しておこうって。
「よし! 行って!」
「ピイ!」
白雪はひと声鳴いて、空に向かって飛んで行った。
「あ、俺も貴族のお嬢様にドラゴン退治に行くって手紙、ギリギリで出そう」
コウタは貴重なレースの仕入れ元の商人だからなあ。
「危ないって、全力で止められたら困るから、ギリギリで出すの?」
「そうそう」
色んな準備を終えて、翌日の朝、私達は転移魔法が出来る神殿へ馬車で向かった。
馬車は神殿に預かって貰える。
出発は朝10時。
我々は9時半には到着したけど、そこには既に冒険者達が複数いた。
転移魔法はかなりの魔力を使うから、10人位集まってから送るらしい。
あまりにも少数で送るともったいないみたいな……。
「よう、来たな」
「ラ、ラウルさん!? まさかお見送りに来てくれたんですか!?」
「何言ってるんだ、俺もリックも討伐隊の一員だ」
「よっす!」
陽気な声が聞こえたと思ったら、神殿の柱の裏からリックさんが顔を出した。
「リックの兄貴まで! そうだったんですか。二人の先輩もいるなんて、これは心強いな!」
コウタは二人の出現に驚きつつも、嬉しそう。
やはり緊張はしてるみたい。
「じゃ、イジュール平原行き、10人揃ったので、転移陣の中にお入り下さい!」
神官の声が聞こえた。
我々はドキドキしながら転移陣に向かった。
ファンタジーアニメで見るような魔法陣の上に立つ。
ドラゴン討伐を行う現地の領地の街で一晩過ごしてから、討伐に行くスケジュールだ。
「ラ、ラウルさん、私……実は転移魔法……初なんで、ちょっと怖くて、服の裾を掴んでもいいですか?」
「裾なんて掴まずに、腕にでも掴まれ」
「は、はい」
許された!
紗耶香ちゃんも初の転移魔法が怖いのか、コウタのシャツをしっかりと掴んでいる。
私は、ドキドキしながら、ラウルさんの腕に掴まらせて貰った。
ガッシリとしている。
体温も感じる。
温かい……。
そんな事を考えていると、魔法陣が眩く光り始めた。
神官が声を響かせた。
【ゲートオープン!!】
「おお、イジュール平原のドラゴン退治に行くのか、ドラゴンは最強種だ、十分に気をつけろよ」
「はい」
イジュール平原へ行く前に冒険者ギルドに来た。
そして、ドラゴン討伐に参加する為に申請登録をした。
私達とライ君の四人分だ。
必要な手続きを終わらせて、クリスを初期にお世話になった赤星と言う、宿屋兼食堂のおばさんに預けて行くお願いをした。
養育費も預けておいた。
「いい、クリス、養育費はおばさんに預けているけれど、誰かが病気になったり、お薬代とか、どうしても困ったら、御守り袋の中を見るのよ」
お金がどうしても必要な、もしもの時用にお守り袋に宝石も買って、忍ばせておいた。
「うん……」
「良い子にしててね」
私はクリスの頭を優しく撫でた。クリスの目は潤んでいた。
「これはピーラーと言って、ジャガイモやリンゴの皮が剥ける道具だ。
一緒に使ってみよう。これで食堂でお手伝いも出来るから」
コウタはスキルショップで購入したピーラーを使ってジャガイモの皮剥きをクリスに仕込んでいる。
ピーラーは厨房の人達も使えるように10個も仕入れていた。
クリスが預けられた先で厄介者扱いされないように、出来る事を少しでも増やす考えだろう。
気の良いおばさんだから、多分大丈夫だと思うけど、何かが原因で経営が傾くとかあり得ない事ではない。
ほら、突然の鳥インフルエンザとか狂牛病とか、疫病とかで廃業に追い込まれる店って、あるだろうし。
里親トライアルに行かせていた男の子達も、無事養子にして貰える事になった。
良かった。
ドラゴン退治に行く前に決まって。
注文していた薙刀も工房から受け取った。
とはいえ、ドラゴン相手に薙刀では無理だろう。
コウタからは私と紗耶香ちゃんは魔法で後方支援をしろと言われている。
そうだね……。
* *
コウタは世話になった人や顔見知りに挨拶に行くと、赤星からの帰りにライ君と風呂屋に行った。
私と紗耶香ちゃんは二人で自宅に戻って来た。
すると、今がチャンスとばかりに紗耶香ちゃんからお願いをされた。
「カナデっち、肉じゃがの作り方を教えてくれる? メモ取るし」
「ん? コウタにあげるお弁当に肉じゃがを入れるの?」
「お弁当とは別なんだけど、男が女に作って貰いたい料理ランキング上位になかった? 肉じゃが」
「うーん、好きな相手からならパスタでも喜ぶと思うけど、まあ良いわ、教える」
「サンキュ」
私は紗耶香ちゃんがせっかくやる気を出しているので、教えながらも料理中の紗耶香ちゃんをスマホで動画撮影をした。
「カナデっち、なんでこんなん撮ってんの?」
「料理してる人の動画、日本で良く見てたんだ」
「面白い?」
「うん、作った後に、美味しそうに食べるところもセットで、私は楽しんで見ていたよ」
「ふーん。
あ、おじさんが一人で飯を食いまくるだけのドラマとか好きだったタイプ?」
「よく分かったねえ。あれ、春巻き食べる音とか最高だったのよ、パリっと」
「あーね、漬物食べる時のポリポリ音とかね」
「そうそう」
「できた!」
「紗耶香ちゃん、お疲れ~~。美味しそうにできたじゃない」
「ありがと! 味見したけど、マジ指導のおかげで美味しいよ!」
コウタとライ君が風呂屋から戻って、一緒に肉じゃがを食べた。
「え? この美味しい肉じゃが、カナデじゃなくて水木さんが作ったんだ?」
「うん、カナデっちに教えてもらった!」
「そうよ、証拠の動画もあるから」
「マジで? 後で見せて」
「コータ君、サヤの手作りを疑うの~~?」
コウタをジト目で見る紗耶香ちゃんと焦るコウタ。
「違う違う! わざわざ動画撮影してるって言うから見たいだけ!
マジで美味いよ、この肉じゃが! ご飯も美味しく炊けてるし!」
「あはは! まあイイケド!」
なごやかに、私達は食事を済ました。
私は伝書鳥の白雪に手紙を手紙を持たせ、ラウルさんにイジュール平原のドラゴン退治に向かうと伝えて貰う事にした。
──もし、死んだら、永遠のお別れなんだよ。
だから挨拶くらいはね、しておこうって。
「よし! 行って!」
「ピイ!」
白雪はひと声鳴いて、空に向かって飛んで行った。
「あ、俺も貴族のお嬢様にドラゴン退治に行くって手紙、ギリギリで出そう」
コウタは貴重なレースの仕入れ元の商人だからなあ。
「危ないって、全力で止められたら困るから、ギリギリで出すの?」
「そうそう」
色んな準備を終えて、翌日の朝、私達は転移魔法が出来る神殿へ馬車で向かった。
馬車は神殿に預かって貰える。
出発は朝10時。
我々は9時半には到着したけど、そこには既に冒険者達が複数いた。
転移魔法はかなりの魔力を使うから、10人位集まってから送るらしい。
あまりにも少数で送るともったいないみたいな……。
「よう、来たな」
「ラ、ラウルさん!? まさかお見送りに来てくれたんですか!?」
「何言ってるんだ、俺もリックも討伐隊の一員だ」
「よっす!」
陽気な声が聞こえたと思ったら、神殿の柱の裏からリックさんが顔を出した。
「リックの兄貴まで! そうだったんですか。二人の先輩もいるなんて、これは心強いな!」
コウタは二人の出現に驚きつつも、嬉しそう。
やはり緊張はしてるみたい。
「じゃ、イジュール平原行き、10人揃ったので、転移陣の中にお入り下さい!」
神官の声が聞こえた。
我々はドキドキしながら転移陣に向かった。
ファンタジーアニメで見るような魔法陣の上に立つ。
ドラゴン討伐を行う現地の領地の街で一晩過ごしてから、討伐に行くスケジュールだ。
「ラ、ラウルさん、私……実は転移魔法……初なんで、ちょっと怖くて、服の裾を掴んでもいいですか?」
「裾なんて掴まずに、腕にでも掴まれ」
「は、はい」
許された!
紗耶香ちゃんも初の転移魔法が怖いのか、コウタのシャツをしっかりと掴んでいる。
私は、ドキドキしながら、ラウルさんの腕に掴まらせて貰った。
ガッシリとしている。
体温も感じる。
温かい……。
そんな事を考えていると、魔法陣が眩く光り始めた。
神官が声を響かせた。
【ゲートオープン!!】
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