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花カフェのように
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夕食後、風呂に入ってそれから、自宅内のリビングにてジュースを飲みながら、ナッツをおやつに三人でミーティング中。
ライ君は今、クリスの面倒を見てくれていて、子供部屋で一緒に積み木遊びをしている。
里子に出した孤児の中に木工職人の家にいる子がいて、積み木を依頼したら作ってくれたのだ。
ミーティング中に静かに遊んでてくれて助かる。
「ところでカナデ、何でお嬢様達を家に呼んだんだ?
貴族相手なら普通商人の方から館に出向くだろう?」
「あまり親しくない貴族の家は怖いし、こっちが訪ねて行く順番を把握されて優劣つけたと嫌われたくないし、新作のレースを出すまで屋敷から出さないとか言われたらコウタが困ると思って。修行どころじゃなくなるし」
相手の陣地で拘束されると逃げるのがすごく困難だと思う。
オタクの脳内で魔術師の工房のイメージは強固な物だ。
高位貴族は屋敷内に優秀な魔法の使い手も抱えてる可能性がある。
「か、監禁? たかがレースの為に屋敷に監禁されんの俺?」
「お貴族様にとって我々庶民の命の価値など美しいレースより下だと思われ……」
「そ、そこまでレースに執着を!?」
「ありうる話よ、この時代レースなんてとても時間をかけた職人の手縫いでしょうし、高級品よ。
なめてはいけない」
「うわ~~」
「でもそのレースでずいぶん稼げた。今度鍛冶屋に薙刀を作って欲しいって依頼出来そう」
「カナデは薙刀が欲しいのか」
「あーね、リーチの短い武器での接近戦はまだ怖いもんね。サヤも薙刀欲しい」
「俺はレベルが上がって、ある程度の恐怖耐性ってのがついた」
「うわ、こやつ恐れ知らずか」
「こやつって……」
コウタが私の言い回しに苦笑いをした。
「でもこんな庶民の食堂系の店にお嬢様をお招きして大丈夫か?」
「可愛いくデコれば良くない?」
「水木さん、可愛くって?」
コウタは私が仕入れたコーラを片手に紗耶香ちゃんに向き直った。
「ほら~例えば地球にいた時に、天井からぶわ────っと、花が、スワッグが吊り下げられたカフェ見た事ない? ああいうのめちゃ女子受けしそうじゃん?」
「天井にあるあれって、お嬢様方の頭上に千切れて落ちたりしたら怖くないか?」
「え~~、何で落ちる前提ぇ?」
「万が一の事を想定すると端っこの方が良くないかなって」
「天井を覆い尽くすレベルのが迫力なんだけどぉ」
「わかるけど、俺は心配だ」
「じゃあ壁や窓に近い場所とコーナーに集中的にドライフラワーのスワッグを吊るすから、ほら、キッチンの壁とかにある……調理器具吊るすアレ、バーベキューの網みたいな……アレと麻紐、輪ゴム、クリップの類いがコウタのスキルのショップで買えるか見て?」
コウタが目の前にステータス画面を呼び出して、ポチポチと操作をする。
「輪ゴム……メッシュパネル……あー、あるわ」
「そういやコータ君の狩りの獲物のでかい鳥は?」
「あの雉っぽい鳥はアイテムボックスにあるよ。食う時に出す予定。
実はライと大きなサーベルタイガーに似たのも狩ったけど、貴族より目立ちたくないからそれもアイテムボックスに隠してある」
「サーベルタイガーを狩った!? 凄いじゃないの!!」
これには私と紗耶香ちゃんも驚愕。
「怖~~。あの森ってそんなのもいたんだ~」
紗耶香ちゃんの顔はやや引き攣っている。
「ライがいなきゃ流石に一人でアレ仕留めるのは無理だったわ」
コウタってば、しれっとわりとやばそうなのと遭遇してたんだね。
「ほい、これでいいか?」
「オッケー、ありがとうコウタ」
コウタが雑貨の類いをスキルショップで買ってくれた。
レベルアップに伴い、買える物が何気に増えてるのはありがたい。
「肝心の店の飾りの花はどうすんだ? 冬だぞ」
「サヤが明日の朝イチでドライフラワーを売ってる店に行くよ。
以前風呂屋で会った女性から聞いて、密かに行ってみたかったんだ」
「ああ、ビニールハウスもない世界の冬でも、ドライフラワーならあるのか」
「魔法使いの工房に薬草とかいっぱい吊るしてるの見た事ある!
ああいうの好き! 私も行く!」
「うん、カナデっちも一緒に行こう。
御者の技術を学びたいから、ライ君ももう少し借りるけどいい?」
紗耶香ちゃんがコウタを見ながら聞いた。
「もちろん、いいよ。俺も運転……馬車の御者技術を覚えないとな」
「私も覚えるべきよね。頑張ろう」
明日は花屋でドライフラワーを買って、それから鍛冶屋で薙刀を依頼して、帰宅してドライフラワーのスワッグを作り、店舗の天井から吊るして飾り付け、そういう作業をしよう。
「コウタ、天井にメッシュパネルを設置してくれる? DIY!」
「ああ、それくらいなら大工呼ばずに自分で出来るからいいよ」
「んじゃ、それで決まりって事で、明日はヨロ~~」
ライ君は今、クリスの面倒を見てくれていて、子供部屋で一緒に積み木遊びをしている。
里子に出した孤児の中に木工職人の家にいる子がいて、積み木を依頼したら作ってくれたのだ。
ミーティング中に静かに遊んでてくれて助かる。
「ところでカナデ、何でお嬢様達を家に呼んだんだ?
貴族相手なら普通商人の方から館に出向くだろう?」
「あまり親しくない貴族の家は怖いし、こっちが訪ねて行く順番を把握されて優劣つけたと嫌われたくないし、新作のレースを出すまで屋敷から出さないとか言われたらコウタが困ると思って。修行どころじゃなくなるし」
相手の陣地で拘束されると逃げるのがすごく困難だと思う。
オタクの脳内で魔術師の工房のイメージは強固な物だ。
高位貴族は屋敷内に優秀な魔法の使い手も抱えてる可能性がある。
「か、監禁? たかがレースの為に屋敷に監禁されんの俺?」
「お貴族様にとって我々庶民の命の価値など美しいレースより下だと思われ……」
「そ、そこまでレースに執着を!?」
「ありうる話よ、この時代レースなんてとても時間をかけた職人の手縫いでしょうし、高級品よ。
なめてはいけない」
「うわ~~」
「でもそのレースでずいぶん稼げた。今度鍛冶屋に薙刀を作って欲しいって依頼出来そう」
「カナデは薙刀が欲しいのか」
「あーね、リーチの短い武器での接近戦はまだ怖いもんね。サヤも薙刀欲しい」
「俺はレベルが上がって、ある程度の恐怖耐性ってのがついた」
「うわ、こやつ恐れ知らずか」
「こやつって……」
コウタが私の言い回しに苦笑いをした。
「でもこんな庶民の食堂系の店にお嬢様をお招きして大丈夫か?」
「可愛いくデコれば良くない?」
「水木さん、可愛くって?」
コウタは私が仕入れたコーラを片手に紗耶香ちゃんに向き直った。
「ほら~例えば地球にいた時に、天井からぶわ────っと、花が、スワッグが吊り下げられたカフェ見た事ない? ああいうのめちゃ女子受けしそうじゃん?」
「天井にあるあれって、お嬢様方の頭上に千切れて落ちたりしたら怖くないか?」
「え~~、何で落ちる前提ぇ?」
「万が一の事を想定すると端っこの方が良くないかなって」
「天井を覆い尽くすレベルのが迫力なんだけどぉ」
「わかるけど、俺は心配だ」
「じゃあ壁や窓に近い場所とコーナーに集中的にドライフラワーのスワッグを吊るすから、ほら、キッチンの壁とかにある……調理器具吊るすアレ、バーベキューの網みたいな……アレと麻紐、輪ゴム、クリップの類いがコウタのスキルのショップで買えるか見て?」
コウタが目の前にステータス画面を呼び出して、ポチポチと操作をする。
「輪ゴム……メッシュパネル……あー、あるわ」
「そういやコータ君の狩りの獲物のでかい鳥は?」
「あの雉っぽい鳥はアイテムボックスにあるよ。食う時に出す予定。
実はライと大きなサーベルタイガーに似たのも狩ったけど、貴族より目立ちたくないからそれもアイテムボックスに隠してある」
「サーベルタイガーを狩った!? 凄いじゃないの!!」
これには私と紗耶香ちゃんも驚愕。
「怖~~。あの森ってそんなのもいたんだ~」
紗耶香ちゃんの顔はやや引き攣っている。
「ライがいなきゃ流石に一人でアレ仕留めるのは無理だったわ」
コウタってば、しれっとわりとやばそうなのと遭遇してたんだね。
「ほい、これでいいか?」
「オッケー、ありがとうコウタ」
コウタが雑貨の類いをスキルショップで買ってくれた。
レベルアップに伴い、買える物が何気に増えてるのはありがたい。
「肝心の店の飾りの花はどうすんだ? 冬だぞ」
「サヤが明日の朝イチでドライフラワーを売ってる店に行くよ。
以前風呂屋で会った女性から聞いて、密かに行ってみたかったんだ」
「ああ、ビニールハウスもない世界の冬でも、ドライフラワーならあるのか」
「魔法使いの工房に薬草とかいっぱい吊るしてるの見た事ある!
ああいうの好き! 私も行く!」
「うん、カナデっちも一緒に行こう。
御者の技術を学びたいから、ライ君ももう少し借りるけどいい?」
紗耶香ちゃんがコウタを見ながら聞いた。
「もちろん、いいよ。俺も運転……馬車の御者技術を覚えないとな」
「私も覚えるべきよね。頑張ろう」
明日は花屋でドライフラワーを買って、それから鍛冶屋で薙刀を依頼して、帰宅してドライフラワーのスワッグを作り、店舗の天井から吊るして飾り付け、そういう作業をしよう。
「コウタ、天井にメッシュパネルを設置してくれる? DIY!」
「ああ、それくらいなら大工呼ばずに自分で出来るからいいよ」
「んじゃ、それで決まりって事で、明日はヨロ~~」
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