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審査員は私達
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「美味しいか美味しくないかは、どうやって決めるの」
アーシェラ嬢と呼ばれてた令嬢に問われたので、私が代表で説明する。
「当方、フルリールの者が味の審査員を致します。焼いた肉にかけるだけで大抵の肉は美味しくなるスパイス……調味料を使って味をみます。その中でも一番美味しいお肉が優勝です」
「分かったわ。でもソフィアナ嬢の所の商人だからと贔屓はしないでしょうね?」
「もちろんです。商人は誠実でなければ信用されませんから」
「アーシェラ様、私は既に持っているレースがありますので、今回は遠慮致します、五人でどうぞ」
「ソフィアナ嬢がそう、参加しないのね、なら良いわ」
アーシェラ様はニヤリと笑った。正直な方だ。
ライバルが減って喜んでいる。
ランチタイムになった。
令嬢達は自分のテントに帰ってそれぞれ食事をする。
「サングリアのグラスは洗った後に名前を書いたメモをそばに置いておきますね」
淑女演技中のよそ行きモードの紗耶香ちゃんがレースの側のメモに書かれた名前で令嬢を記憶したようだ。
「ありがとう紗耶香ちゃん……いえ、紗耶香さん」
「どういたしまして」
グラスはレースを買った人に差し上げると言ってるから、購入後までこちらが預かる。
私達は伯爵家の方用に用意したお食事を出す。
「こちらの段は海老フライで、こちらはだし巻き卵、アスパラのベーコン巻き。
きゅうりの浅漬け。この下の段はサンドイッチです」
ソフィアナ様は私の説明にほうほうと言いながら頷く。
紗耶香ちゃんが別のテーブルに用意したのは、騎士や使用人用の弁当である。
ソフィアナ様のお弁当が重箱サイズなら他は個別サイズである。
騎士は交代で食べに来たので、紗耶香ちゃんが対応した。
「騎士様達のお弁当はこちらに、メイドさんや使用人の方はこちらの箱にあります」
「ふむ、これを貰っていくぞ」
「はい、お飲み物はこちらに」
紗耶香ちゃんが竹筒の水筒を渡した。
「ああ。変わった容器に入っているな」
「竹製です」
などと言う会話に聞き耳を立てつつも、私がソフィアナ様用に現場で焼くのは下準備をしていたピザ。
こそっとアイテムボックスから出したキャンプセットを使って焼いていく。
ソフィアナ様はピザが焼けるまではサンドイッチや海老フライを食べている。
「この卵のサンドイッチ、滑らかでとても美味しいわねえ。海老の揚げ物も絶品だわ」
「ありがとうございます」
ゴクリ。
ソフィアナ様のお付きの執事がうっかり生唾を飲んだ音がする。
慌てて何も無かった様な顔をしている。
こちらも気がつかなかったフリをしてあげる。
今は休憩時間じゃないからお弁当が食べられないのね、後で食べてね。
ソフィアナ様の海老フライとサイズは違えど、使用人用のお弁当にも海老は入っているよ。
アイテムボックスに入れて来たので、海老フライも出来立ての美味しさをそのままお届けである。
「今焼いているのは何?」
「はい、ソフィアナ様、こちらはピザです。
素手、もしくはフォーク、あるいはこの紙で掴んで食べていただけたらと」
「素手は熱そうだからフォークでいただくわ」
「はい、お皿にお取り分け致します」
メイドがソフィアナ様に温かい紅茶を淹れているから、私は飲み物を出さなくて良いのかな?
でも一応聞いておこう。
「一応、りんごジュースとホットミルク、レモン水等の用意もありますので、ご入用の時はお申し付けください」
「メイドが今、紅茶を淹れてくれているから、ひとまずはそれでいいわ」
「かしこまりました」
焼き上がった照り焼きピザを提供したら、これも美味しいと絶賛された。
私と紗耶香ちゃんはソフィアナ様が一人では食べきれない分を少しだけ食べさせて貰った。
後で狩りの獲物の味を審査するお仕事が残っているので、軽くだけ食べておくのだ。
やがて狩猟大会が終わった。
大会主催側は強くて大きな獲物を狩った人を優勝者とする。
レディ達の前には狩って来た戦利品の魔獣が積み上げられる。
ドヤ顔するレディ達と誇らしげな男性陣。
あまり良い獲物が取れなかった令息はションボリ、レディも同様にションボリ。
様々である。
「ガイナス小侯爵様の優勝です! 王家からの豪華な宝剣と金貨、その他が下賜されます!」
わ────!
人々が喝采する。
ここまでは通常の大会側の審査が終わった。
だが、五人の令嬢の戦いはここから。
「この変わった色の角の鹿、美味しいのです?」
「ええ、美味しいと聞き及んでおります」
「この角ウサギは美味しいのですか?」
「毛皮も綺麗ですし、肉の味も良いと聞いてます」
「この大きな鳥は美味しいのでしょうね?」
「多分、狩った中では一番美味しそうですし」
「多分!?」
「なんで巨黒熊なんか狩って来たのです!?」
「手強い相手でしたが、貴女のために」
「今回は味で勝負ですのよ!?」
「この巨大キノコの魔物が美味しいのですか!? これは肉判定出ますの!?」
「はい、森の珍味と言われております。あ、肉の方が良ければ青オオカミの魔獣も狩っております」
「青い毛並み……食欲をそそらない色ですわ」
「この青い毛皮のコートは人気ですよ」
「今回は味が大事なのです!」
令嬢に問い詰められる紳士達がちょっと気の毒。
ソフィアナ様の婚約者は味の審査には参加しないけど、大きな鹿を狩っていた。角が立派!
いつの間にかいたリックさんは紗耶香ちゃんが用意した弁当を端っこで美味しそうに食べていた。
コウタとライ君も戻って来た。
手には大きな鳥があった。
「これは何の騒ぎだ?」
「今から説明をするわ」
アーシェラ嬢と呼ばれてた令嬢に問われたので、私が代表で説明する。
「当方、フルリールの者が味の審査員を致します。焼いた肉にかけるだけで大抵の肉は美味しくなるスパイス……調味料を使って味をみます。その中でも一番美味しいお肉が優勝です」
「分かったわ。でもソフィアナ嬢の所の商人だからと贔屓はしないでしょうね?」
「もちろんです。商人は誠実でなければ信用されませんから」
「アーシェラ様、私は既に持っているレースがありますので、今回は遠慮致します、五人でどうぞ」
「ソフィアナ嬢がそう、参加しないのね、なら良いわ」
アーシェラ様はニヤリと笑った。正直な方だ。
ライバルが減って喜んでいる。
ランチタイムになった。
令嬢達は自分のテントに帰ってそれぞれ食事をする。
「サングリアのグラスは洗った後に名前を書いたメモをそばに置いておきますね」
淑女演技中のよそ行きモードの紗耶香ちゃんがレースの側のメモに書かれた名前で令嬢を記憶したようだ。
「ありがとう紗耶香ちゃん……いえ、紗耶香さん」
「どういたしまして」
グラスはレースを買った人に差し上げると言ってるから、購入後までこちらが預かる。
私達は伯爵家の方用に用意したお食事を出す。
「こちらの段は海老フライで、こちらはだし巻き卵、アスパラのベーコン巻き。
きゅうりの浅漬け。この下の段はサンドイッチです」
ソフィアナ様は私の説明にほうほうと言いながら頷く。
紗耶香ちゃんが別のテーブルに用意したのは、騎士や使用人用の弁当である。
ソフィアナ様のお弁当が重箱サイズなら他は個別サイズである。
騎士は交代で食べに来たので、紗耶香ちゃんが対応した。
「騎士様達のお弁当はこちらに、メイドさんや使用人の方はこちらの箱にあります」
「ふむ、これを貰っていくぞ」
「はい、お飲み物はこちらに」
紗耶香ちゃんが竹筒の水筒を渡した。
「ああ。変わった容器に入っているな」
「竹製です」
などと言う会話に聞き耳を立てつつも、私がソフィアナ様用に現場で焼くのは下準備をしていたピザ。
こそっとアイテムボックスから出したキャンプセットを使って焼いていく。
ソフィアナ様はピザが焼けるまではサンドイッチや海老フライを食べている。
「この卵のサンドイッチ、滑らかでとても美味しいわねえ。海老の揚げ物も絶品だわ」
「ありがとうございます」
ゴクリ。
ソフィアナ様のお付きの執事がうっかり生唾を飲んだ音がする。
慌てて何も無かった様な顔をしている。
こちらも気がつかなかったフリをしてあげる。
今は休憩時間じゃないからお弁当が食べられないのね、後で食べてね。
ソフィアナ様の海老フライとサイズは違えど、使用人用のお弁当にも海老は入っているよ。
アイテムボックスに入れて来たので、海老フライも出来立ての美味しさをそのままお届けである。
「今焼いているのは何?」
「はい、ソフィアナ様、こちらはピザです。
素手、もしくはフォーク、あるいはこの紙で掴んで食べていただけたらと」
「素手は熱そうだからフォークでいただくわ」
「はい、お皿にお取り分け致します」
メイドがソフィアナ様に温かい紅茶を淹れているから、私は飲み物を出さなくて良いのかな?
でも一応聞いておこう。
「一応、りんごジュースとホットミルク、レモン水等の用意もありますので、ご入用の時はお申し付けください」
「メイドが今、紅茶を淹れてくれているから、ひとまずはそれでいいわ」
「かしこまりました」
焼き上がった照り焼きピザを提供したら、これも美味しいと絶賛された。
私と紗耶香ちゃんはソフィアナ様が一人では食べきれない分を少しだけ食べさせて貰った。
後で狩りの獲物の味を審査するお仕事が残っているので、軽くだけ食べておくのだ。
やがて狩猟大会が終わった。
大会主催側は強くて大きな獲物を狩った人を優勝者とする。
レディ達の前には狩って来た戦利品の魔獣が積み上げられる。
ドヤ顔するレディ達と誇らしげな男性陣。
あまり良い獲物が取れなかった令息はションボリ、レディも同様にションボリ。
様々である。
「ガイナス小侯爵様の優勝です! 王家からの豪華な宝剣と金貨、その他が下賜されます!」
わ────!
人々が喝采する。
ここまでは通常の大会側の審査が終わった。
だが、五人の令嬢の戦いはここから。
「この変わった色の角の鹿、美味しいのです?」
「ええ、美味しいと聞き及んでおります」
「この角ウサギは美味しいのですか?」
「毛皮も綺麗ですし、肉の味も良いと聞いてます」
「この大きな鳥は美味しいのでしょうね?」
「多分、狩った中では一番美味しそうですし」
「多分!?」
「なんで巨黒熊なんか狩って来たのです!?」
「手強い相手でしたが、貴女のために」
「今回は味で勝負ですのよ!?」
「この巨大キノコの魔物が美味しいのですか!? これは肉判定出ますの!?」
「はい、森の珍味と言われております。あ、肉の方が良ければ青オオカミの魔獣も狩っております」
「青い毛並み……食欲をそそらない色ですわ」
「この青い毛皮のコートは人気ですよ」
「今回は味が大事なのです!」
令嬢に問い詰められる紳士達がちょっと気の毒。
ソフィアナ様の婚約者は味の審査には参加しないけど、大きな鹿を狩っていた。角が立派!
いつの間にかいたリックさんは紗耶香ちゃんが用意した弁当を端っこで美味しそうに食べていた。
コウタとライ君も戻って来た。
手には大きな鳥があった。
「これは何の騒ぎだ?」
「今から説明をするわ」
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