上 下
66 / 108

ちょっと内職みたいに

しおりを挟む
 貴族の館から三人で自宅に帰宅した。

「コウタ、ただいま~~」
「レースが金貨に化けたよ~~! 全部売れた! テンアゲ!」

 紗耶香ちゃんはじゃらじゃらという、ときめく音をさせてレースの売り上げである金貨の入った袋をテーブルに置いた。
 私も菓子パンの売り上げ袋をテーブル置いた。

「二人ともでかした! ライも御者お疲れ様!」
「ハイ」

「コータ君の、市場の方はどうだった?」

「菓子パンも化粧品とかも全部売れたし、職人が竹細工の出来た分を納品しに来てくれたよ」

 コウタは売り上げと竹の細工をアイテムボックスから取り出した。
 曲げワッパ弁当箱とお皿とコップ形の汁物の器と竹筒の水筒の完成した物が7個ずつある。

 広いテーブルの上が賑やかだ。

「わあ、器が増えた!」

 竹だと凄い和風な雰囲気。

 竹を半分に割って横にして置く感じのお皿はお蕎麦を入れたくなるカンジで、蓋付き曲げワッパ弁当箱は味噌を入れたくなるし、コップみたいになった物は緑茶を入れたいし、竹水筒はお茶かお水を入れたい。

「コップだ~~、これで汁物が出せるじゃん」
「そうだね、もうおでんの美味しい季節だし、良いかも」


「おでんもいいけど、俺は今夜の夕食のメニュー、自分達用に、なんとなく辛いのが食べたいな。
麻婆豆腐か麻婆茄子とか」
「じゃあ今夜は麻婆豆腐にでもしようか」

「ああ、ライはやや辛いの平気か? パンもあるから辛かったら、そっちを食べると良い」
「大丈夫デス。何でも食べられマス」


 コウタと二人でネギとひき肉と玉ねぎと、豆腐と麻婆豆腐の素を買ってお手軽に作った。
 紗耶香ちゃんはライ君とお風呂の用意をしてくれてる。

 麻婆豆腐は素を使うけど、ちょっとだけ豆板醤を追加すれば更に美味しくなると知り合いに聞いたのでそれも買った。
 基本的に味のベースはプロ企業のやつだから失敗は無い。

 コウタは自分の分に豆板醤を多めに入れて辛味を調整していた。


 私のはやや辛くて美味ーい! 白米が進む。


 ご馳走様でした!


 夕食に麻婆豆腐を四人で美味しく食べて、お風呂の後に羽根ペン作りの続きをする事にした。


 雑貨作りの内職みたいに紗耶香ちゃんと一緒にリビングでやってる。
 紗耶香ちゃんの方は羽根ペンではなく、帽子を飾り付けてる。

 私は羽根の部分に紗耶香ちゃんが貸してくれたキラキラのラメカラーのマニキュアと小さな宝石みたいなラインストーンを飾りつけた。

 うん、我ながら可愛いくできたと思う。


「カナデっち、すごーい、可愛いくデコれたじゃん!」

「ありがとう、けど、グリップ部分というか、インクが垂れて羽根の所まで行かないように、ストッパーの役割のする、何かが欲しいな。
金や銀の装飾がカッコいいのは分かるけど、コストと技術的な問題が……」

「包帯みたいに布巻いてるの見たよ、ギルドで」
「布ねえ……インクで真っ黒になりそう。せめて汚れるにしても粘土とか無いかな」

「レースが売れてがっぽり金貨貰ったし、いっそデザイン画を描いて金細工師に依頼してさ、仕上げて貰ったら? 自分へのご褒美に」

「出た~~必殺自分へのご褒美!」

 心惹かれるフレーズではある。

「いーじゃん、たまにはさぁ」

「そうかな? それもいい気がして来た」
「うん、うん」

「てか、紗耶香ちゃんの帽子の飾り付けも華やかで可愛いね。
特に花弁の端っこに追加されたマニキュアのキラキラ可愛くて好き」
「でしょ!? 羽根と布花が効いてるカンジ」

「二人とも頑張ってるな」

 コウタがリビングに顔を出して来た。
 水を飲みに台所へ来たついでに来たみたいだ、手に飲み物を持っている。


「コウタ、ほら、私の羽根ペン可愛いでしょ? これは売り物じゃないけど」
「うん、売れるデザインになってると思うけど。見本にして量産したらどうだ?」

「うーん、マニキュアって紗耶香ちゃんのスキルショップの売り物にあった?」
「あ、どうかな」


 紗耶香ちゃんがステータス画面からスキルショップを開いた。


「あ! 商人レベル30でマニキュア解放!って書いてある 今、サヤの商人レベルは20だよ」


 なんでやねん!! 

 って、私は思わず大阪人でもないのに心の中で突っ込んだ。

 はー、レベルが足らないとまだ買えないとは!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。 ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。 夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。 そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。 そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。 新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...