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65話: 貴族の館で売り込みを。
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サツマイモでリックさんを釣って、今度一緒に森へ行って貰う事にした。
「あ! 鳩が来た!! 紗耶香ちゃん! コウタ! ほら、あそこ!」
朝から家の窓の外に鳩が飛んで来るのが見えた!
「本当に足に手紙付いてるじゃん! ヤバい、かわたん」
「感動だね~~」
「へー、これが噂の鳩かぁ」
その前に鳩が本当に来たので、レースを売りにまた貴族の館へ、紗耶香ちゃんと二人で行く事になった。
馬車は御者のライ君ごと借りる。
私と紗耶香ちゃんはコウタに頼まれた売り物をスキルショップで買った。
「コウタはほんとにソフィアナ様の屋敷に来ないの?」
「ああ、今日は俺一人で市場に行って雑貨と菓子パンを売って来るよ。
暇だったら地味に筋トレしながら」
「筋トレ……なるほど、分かった」
お客を待ちながらスクワットでもするのかな?
市場のお客様、うちの子が待機中に変な動きをしてたらすみません。
ただの筋トレです。
──まあ、なんにせよ体力つくといいよね。
*
ソフィアナ様のお屋敷に着いた。
今日もお貴族様に会うので綺麗目のワンピースで来た。
「ライ、久しぶりね、そちらの生活はどう?」
「良くシテ貰ってイマス」
「そう、良かったわ」
ちゃんとライ君を気使ってくれている。
お嬢様、いい人。
「それで、今回売りたい物はレースだったわね」
「はい、こちらでございます」
本日は貴族相手なので、紗耶香ちゃんがギャル言葉を封印して真面目に接客してる。
「まあ! なんて見事で綺麗なのかしら! こんなの、王族の姫君でも持っているか分からないわ!」
や、 ヤバイかな?
「そ、そうでございましょう、滅多にお目にかかれない逸品でございます」
「神業か妖精の仕事としか思えないわ、いったい、どこで仕入れたの?」
──う、やはり、仕入れ元を聞かれた。
一瞬固まった紗耶香ちゃんに代わり、ここは私が嘘を吐こう。
「偶然、行商人のエルフと出会いまして、まさに妖精のお仕事としか思えぬシロモノで、当方も驚きました。
故に次回の入荷はほぼ不可能でしょう、偶然ですので」
紗耶香ちゃんがレベルアップ報酬でたまたま仕入れただけだから、次回も同じ商品があるとは限らない。
──行商人のエルフだの、妖精の仕事だのは当然、嘘である。
本当の事を言えずにすみません。
「おいくらかしら?」
「レース一種、1ロールにつき、金貨20枚でいかがでしょうか?」
「そんなに安くていいの!? 王族に献上できるレベルよ!?」
やっば! またも安すぎた!?
「ソフィアナ様にはお世話になっておりますので」
もうこう言うしか無い。
「五種類、全部買わせていただくわ! 爺や!」
「はい!」
爺やと呼ばれる執事がお金をすぐさま用意してくれて、即金で払ってくれた。
速攻で全部売れた!
屋敷のメイド長さんらしき人が出て来てレースを大事そうに受け取って、運んで行った。
「あ、化粧品も追加で買いたかったの、肌の調子が良いし、口紅の色も評判が良いから、知り合いの令嬢にも頼まれていて」
そうくる事も予想して、紗耶香ちゃんも仕入れていた。
化粧品を鞄から取り出し、テーブルに出す。
本当はアイテムボックスから出してるけど。
「あ、レースは無理ですが、代わりにこちらのパンはまた仕入れが出来ます」
私はバスケットに入れた菓子パンを差し出した。
「これは……?」
「菓子パンです。こちらがメロンパン、こちらがクリームパン、アンパンでございます」
「それも甘いので、少しずつ食べていただけたらと」
私は一つのパンを三つに千切って、毒見ですと、断り、一口食べてみせた。
「良ければ、お味を確認してください」
ソフィアナ様は最初にクリームパンを手に取った。
「……まあ、甘くて美味しい! クリームが滑らかで……パンは柔らかい」
「こちらもどうぞ。メロンパンです」
「面白い食感ね、表面がカリッとしていて、中は柔らかい。美味しいわ!」
「最後はアンパン、餡子が入っています」
大丈夫かな? たまに日本人でも餡子ダメな人がいる。
「まあ、これもとっても美味しいわ!」
全部美味しいをいただいた。
「こちらはおいくら?」
「メロンパンが銀貨1枚、アンパンとクリームパンは銅貨五枚です」
「え!? こちらもお安い!」
「平民でも買える価格の物にしております」
「次のお茶会に出したいくらい美味しいわ。すぐに入荷できるの?」
「食べ物は賞味期限がありますので……当方、今、少し危険な森やダンジョンに行くために修行中なのですが、その戦いが終われば、お茶会などでご入用の際は、申し付けていただければと思います」
「え、商人なのに、なぜ自らそんな場所に?」
「コウタの行方不明だった両親が、バジリスクの森で、石化していると情報を得まして……」
「まあ、そう言う事……、なんならうちの騎士を貸すので、絶対に無事に帰って来なさい」
「え!? 貴重な騎士様を!?」
「そこらのガラの悪い冒険者より信頼出来るでしょう?」
リックさんは冒険者の中でも凄い信頼されてる方なんだろうな。
やはり人柄は大事。
「それはそうですが……」
「それともちゃんとした、評判の良い冒険者を雇うの?」
「お一人は、ついて来てくださるそうです」
ラウルさんが!
「そうなの? 護衛がいる時は言ってちょうだい」
誇りある騎士に庶民の護衛をさせるくらいなら、自分達で冒険者を数人雇った方が良いかもしれない。
緊張するから。
「あ! 鳩が来た!! 紗耶香ちゃん! コウタ! ほら、あそこ!」
朝から家の窓の外に鳩が飛んで来るのが見えた!
「本当に足に手紙付いてるじゃん! ヤバい、かわたん」
「感動だね~~」
「へー、これが噂の鳩かぁ」
その前に鳩が本当に来たので、レースを売りにまた貴族の館へ、紗耶香ちゃんと二人で行く事になった。
馬車は御者のライ君ごと借りる。
私と紗耶香ちゃんはコウタに頼まれた売り物をスキルショップで買った。
「コウタはほんとにソフィアナ様の屋敷に来ないの?」
「ああ、今日は俺一人で市場に行って雑貨と菓子パンを売って来るよ。
暇だったら地味に筋トレしながら」
「筋トレ……なるほど、分かった」
お客を待ちながらスクワットでもするのかな?
市場のお客様、うちの子が待機中に変な動きをしてたらすみません。
ただの筋トレです。
──まあ、なんにせよ体力つくといいよね。
*
ソフィアナ様のお屋敷に着いた。
今日もお貴族様に会うので綺麗目のワンピースで来た。
「ライ、久しぶりね、そちらの生活はどう?」
「良くシテ貰ってイマス」
「そう、良かったわ」
ちゃんとライ君を気使ってくれている。
お嬢様、いい人。
「それで、今回売りたい物はレースだったわね」
「はい、こちらでございます」
本日は貴族相手なので、紗耶香ちゃんがギャル言葉を封印して真面目に接客してる。
「まあ! なんて見事で綺麗なのかしら! こんなの、王族の姫君でも持っているか分からないわ!」
や、 ヤバイかな?
「そ、そうでございましょう、滅多にお目にかかれない逸品でございます」
「神業か妖精の仕事としか思えないわ、いったい、どこで仕入れたの?」
──う、やはり、仕入れ元を聞かれた。
一瞬固まった紗耶香ちゃんに代わり、ここは私が嘘を吐こう。
「偶然、行商人のエルフと出会いまして、まさに妖精のお仕事としか思えぬシロモノで、当方も驚きました。
故に次回の入荷はほぼ不可能でしょう、偶然ですので」
紗耶香ちゃんがレベルアップ報酬でたまたま仕入れただけだから、次回も同じ商品があるとは限らない。
──行商人のエルフだの、妖精の仕事だのは当然、嘘である。
本当の事を言えずにすみません。
「おいくらかしら?」
「レース一種、1ロールにつき、金貨20枚でいかがでしょうか?」
「そんなに安くていいの!? 王族に献上できるレベルよ!?」
やっば! またも安すぎた!?
「ソフィアナ様にはお世話になっておりますので」
もうこう言うしか無い。
「五種類、全部買わせていただくわ! 爺や!」
「はい!」
爺やと呼ばれる執事がお金をすぐさま用意してくれて、即金で払ってくれた。
速攻で全部売れた!
屋敷のメイド長さんらしき人が出て来てレースを大事そうに受け取って、運んで行った。
「あ、化粧品も追加で買いたかったの、肌の調子が良いし、口紅の色も評判が良いから、知り合いの令嬢にも頼まれていて」
そうくる事も予想して、紗耶香ちゃんも仕入れていた。
化粧品を鞄から取り出し、テーブルに出す。
本当はアイテムボックスから出してるけど。
「あ、レースは無理ですが、代わりにこちらのパンはまた仕入れが出来ます」
私はバスケットに入れた菓子パンを差し出した。
「これは……?」
「菓子パンです。こちらがメロンパン、こちらがクリームパン、アンパンでございます」
「それも甘いので、少しずつ食べていただけたらと」
私は一つのパンを三つに千切って、毒見ですと、断り、一口食べてみせた。
「良ければ、お味を確認してください」
ソフィアナ様は最初にクリームパンを手に取った。
「……まあ、甘くて美味しい! クリームが滑らかで……パンは柔らかい」
「こちらもどうぞ。メロンパンです」
「面白い食感ね、表面がカリッとしていて、中は柔らかい。美味しいわ!」
「最後はアンパン、餡子が入っています」
大丈夫かな? たまに日本人でも餡子ダメな人がいる。
「まあ、これもとっても美味しいわ!」
全部美味しいをいただいた。
「こちらはおいくら?」
「メロンパンが銀貨1枚、アンパンとクリームパンは銅貨五枚です」
「え!? こちらもお安い!」
「平民でも買える価格の物にしております」
「次のお茶会に出したいくらい美味しいわ。すぐに入荷できるの?」
「食べ物は賞味期限がありますので……当方、今、少し危険な森やダンジョンに行くために修行中なのですが、その戦いが終われば、お茶会などでご入用の際は、申し付けていただければと思います」
「え、商人なのに、なぜ自らそんな場所に?」
「コウタの行方不明だった両親が、バジリスクの森で、石化していると情報を得まして……」
「まあ、そう言う事……、なんならうちの騎士を貸すので、絶対に無事に帰って来なさい」
「え!? 貴重な騎士様を!?」
「そこらのガラの悪い冒険者より信頼出来るでしょう?」
リックさんは冒険者の中でも凄い信頼されてる方なんだろうな。
やはり人柄は大事。
「それはそうですが……」
「それともちゃんとした、評判の良い冒険者を雇うの?」
「お一人は、ついて来てくださるそうです」
ラウルさんが!
「そうなの? 護衛がいる時は言ってちょうだい」
誇りある騎士に庶民の護衛をさせるくらいなら、自分達で冒険者を数人雇った方が良いかもしれない。
緊張するから。
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