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庶民の我々、ついに伯爵令嬢に会う。
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タコのお刺身と亀の手とワカメ入り味噌汁。
そして筑前煮と白米のご飯が今夜のメニューだった。
私は自宅の夕食時、恒例のミーティングで竹細工職人はどうやって探すかを議題に上げた。
「竹細工の下請けを探すってどうする? またポスターを作って募集かける?
それか雑貨屋とか木工工房のような所を探す?」
「ひとまず、水筒と器のサンプルをいくつか俺が作るんで、それから同じ物を作れる人を探す……雑貨屋に行って聞いてみるか?
食器とか作ってる職人がどっかにいるから商品が店に並んでる訳だし」
「分かった、じゃあまずコウタはサンプル制作を頑張って」
「ああ、まず糸ノコギリとノミセットとかも買う」
「あーね、ギコギコやって切るやつね。頑張って」
「あ、思い出した。今回はタコをお刺身で食べてるけど、たこ焼き器みたいなのも買ってくれると嬉しい」
「あー、たこ焼き器か、安いのあればいいけど……あ、これでいいか」
コウタはスキルショップを開いてポチポチと購入していった。
そんな事をしていると、コンコンと、扉のノック音と、おーい! と言うリックさんの声が聞こえた。
コウタはさっき買った物を速攻でアイテムボックス内にしまい込んだ。
そして玄関に向かい、扉を開けてお客様を迎え入れる。
「らっしゃ~せ~! リックさん、今日はラウルさんをつけてくれてあざました!」
紗耶香ちゃんが一番にお出迎えの声をかけた。
「おう! ん? なんか良い匂いする」
「ちょうど夕飯を食べてたので、バンブーの情報料も払わないとだし、良ければ一緒にどうぞ」
私もおもてなしをしよう。
「やった! 飯時に間に合った! あ、お貴族様の件だが、やっぱりまた胡椒が欲しいらしいぞ」
「はい! 在庫を用意してきます!」
私は玄関から自室へ向かった。
そしてこっそりとスキルショップを開いて胡椒をひとまず30個仕入れた。
「ひとまず30個在庫ありました~~」
私は胡椒の小袋をトレイに乗せて、リビングに運び、舞い戻った。
リックさんはすでに食卓に着席していて、テーブルにはコウタがリックさんの目の前に料理を並べていた。
「おう、もう胡椒は揃っていたのか。
お貴族様だし、当然全部買い取るだろうけど、すまないが今は俺の方で金貨の持ち合わせが無い。
お前達、引っ越したばかりで忙しそうだったし、既に用意があると思ってなかった」
「あはは! そうでしたか!」
私は笑って誤魔化した。仕入れが爆速過ぎた。
胡椒はひとまず傍に置いた。
「今度お前達が貴族に直接納品に行って顔を売っとくか?
化粧品も売りたいんだろ?」
わ! ついに来た!
「ついに……貴族と会う時が来てしまったか」
「緊張する~~」
「でもせっかく綺麗目の服も買ったしね、気合い入れて行こう!」
私達三人は緊張しつつもやる気を見せた。
金の匂いには敏感なので。
「ところで、これ食っていいのか?」
「あ、どうぞ、どうぞ、これが煮物で、こっちがタコの刺身、ご飯と味噌汁です」
「煮物……美味いな」
シンプルに美味いよね。筑前煮。
「こっちのタコの刺身はこの黒い醤油をかけて食べて下さい」
「……良い歯応えと弾力」
元の世界で見た目からして悪魔みたいに見えるタコを食べる事を嫌がる外国人もいるけど、冒険者はそんな贅沢な食わず嫌いはあまりしないようだ、普通に食べてる。
オオコウモリがイケるならタコだって……多分イケる。
「汁物も貝から良い出汁が出てて、美味しいですよ」
コウタがせっせとリックさんに本日の料理を勧めている。
「本当だ、美味いよ、これ」
「そうでしょう。俺もそう思います」
ははは、自分達で作った物だけどね。
リックさんは満足そうに出された物を綺麗に完食した。
「じゃあ、お前達も、後日俺と一緒にスキア伯爵令嬢に会いに行くって事でいいな?」
ファイナルアンサー!
「はい」
「了解しました」
「りょ……いえ、分かりました」
後日我々もとうとう自ら貴族の屋敷に胡椒を届けに行くって事で話はまとまって、リックさんは帰っていった。
私はリビングのテーブルの上に、海での戦利品の羽根とカッターナイフを並べた。
「カナデっち、カッターナイフで何するの?」
「例の海鳥の白い羽根で羽根ペンをね、先っぽを加工しないと字が細く綺麗に書けないから」
「あーね。なる。
サヤは羽根飾り用にリボンや造花が欲しいな。
こっちにも造花って有るのかな」
「貴族がいるなら普通にあると思ったけど、どうなんだろ?
あ、ついに貴族に会うんだった。
敬語ですわよ、サヤ嬢」
「ええ、もちろん気をつけますわよ。
お貴族様に無礼があってはこの首が飛んでしまいますもの。
ホホホ。
うわ、怖」
冗談っぽくそんな事を言いつつも、その時に備えて、紗耶香ちゃんは風呂上がりの素肌に乳液を塗りこんで念入りにケアしている。
もちろん貴族に売り込む為に、売り物用の化粧品もしっかりと準備した。
* *
貴族のお嬢様に会う日が来た。当日、家の前まで馬車の迎えが来てくれて、親切だった。
しばらく馬車に揺られ、我々は伯爵家に到着した。
流石伯爵家! お屋敷がでかい! 豪華で立派!
本物のメイドや執事がいる!
感動だわ~~。
「こちらでお待ちください」
私達はメイドさんに通されたお部屋で、行儀よくお嬢様が来るのを待つ。
ややして執事が扉を開き、伯爵令嬢登場! うわ! 美人!
「初めまして。当方、商人をやっております。コウタと申します。
以後、よろしくお願いいたします」
コウタが先に挨拶してくれた、私もしっかりしなきゃ!
「スキア伯爵令嬢にご挨拶申しあげます。
私の個人名は奏と申します。
我々は屋号も暫定的によろず屋と名乗っております若輩者ですが、よろしくお願いいたします」
「初めまして、本日はお招きありがとうございます。
名をサヤと申します。
お会いできて光栄でございます」
「よろず屋の皆さん、今日は招待に応じて下さってありがとう。
あまり硬くならずに、気楽に接してちょうだい」
そうもいかんやろ!
でも気さくな雰囲気の伯爵令嬢で良かった!
そして筑前煮と白米のご飯が今夜のメニューだった。
私は自宅の夕食時、恒例のミーティングで竹細工職人はどうやって探すかを議題に上げた。
「竹細工の下請けを探すってどうする? またポスターを作って募集かける?
それか雑貨屋とか木工工房のような所を探す?」
「ひとまず、水筒と器のサンプルをいくつか俺が作るんで、それから同じ物を作れる人を探す……雑貨屋に行って聞いてみるか?
食器とか作ってる職人がどっかにいるから商品が店に並んでる訳だし」
「分かった、じゃあまずコウタはサンプル制作を頑張って」
「ああ、まず糸ノコギリとノミセットとかも買う」
「あーね、ギコギコやって切るやつね。頑張って」
「あ、思い出した。今回はタコをお刺身で食べてるけど、たこ焼き器みたいなのも買ってくれると嬉しい」
「あー、たこ焼き器か、安いのあればいいけど……あ、これでいいか」
コウタはスキルショップを開いてポチポチと購入していった。
そんな事をしていると、コンコンと、扉のノック音と、おーい! と言うリックさんの声が聞こえた。
コウタはさっき買った物を速攻でアイテムボックス内にしまい込んだ。
そして玄関に向かい、扉を開けてお客様を迎え入れる。
「らっしゃ~せ~! リックさん、今日はラウルさんをつけてくれてあざました!」
紗耶香ちゃんが一番にお出迎えの声をかけた。
「おう! ん? なんか良い匂いする」
「ちょうど夕飯を食べてたので、バンブーの情報料も払わないとだし、良ければ一緒にどうぞ」
私もおもてなしをしよう。
「やった! 飯時に間に合った! あ、お貴族様の件だが、やっぱりまた胡椒が欲しいらしいぞ」
「はい! 在庫を用意してきます!」
私は玄関から自室へ向かった。
そしてこっそりとスキルショップを開いて胡椒をひとまず30個仕入れた。
「ひとまず30個在庫ありました~~」
私は胡椒の小袋をトレイに乗せて、リビングに運び、舞い戻った。
リックさんはすでに食卓に着席していて、テーブルにはコウタがリックさんの目の前に料理を並べていた。
「おう、もう胡椒は揃っていたのか。
お貴族様だし、当然全部買い取るだろうけど、すまないが今は俺の方で金貨の持ち合わせが無い。
お前達、引っ越したばかりで忙しそうだったし、既に用意があると思ってなかった」
「あはは! そうでしたか!」
私は笑って誤魔化した。仕入れが爆速過ぎた。
胡椒はひとまず傍に置いた。
「今度お前達が貴族に直接納品に行って顔を売っとくか?
化粧品も売りたいんだろ?」
わ! ついに来た!
「ついに……貴族と会う時が来てしまったか」
「緊張する~~」
「でもせっかく綺麗目の服も買ったしね、気合い入れて行こう!」
私達三人は緊張しつつもやる気を見せた。
金の匂いには敏感なので。
「ところで、これ食っていいのか?」
「あ、どうぞ、どうぞ、これが煮物で、こっちがタコの刺身、ご飯と味噌汁です」
「煮物……美味いな」
シンプルに美味いよね。筑前煮。
「こっちのタコの刺身はこの黒い醤油をかけて食べて下さい」
「……良い歯応えと弾力」
元の世界で見た目からして悪魔みたいに見えるタコを食べる事を嫌がる外国人もいるけど、冒険者はそんな贅沢な食わず嫌いはあまりしないようだ、普通に食べてる。
オオコウモリがイケるならタコだって……多分イケる。
「汁物も貝から良い出汁が出てて、美味しいですよ」
コウタがせっせとリックさんに本日の料理を勧めている。
「本当だ、美味いよ、これ」
「そうでしょう。俺もそう思います」
ははは、自分達で作った物だけどね。
リックさんは満足そうに出された物を綺麗に完食した。
「じゃあ、お前達も、後日俺と一緒にスキア伯爵令嬢に会いに行くって事でいいな?」
ファイナルアンサー!
「はい」
「了解しました」
「りょ……いえ、分かりました」
後日我々もとうとう自ら貴族の屋敷に胡椒を届けに行くって事で話はまとまって、リックさんは帰っていった。
私はリビングのテーブルの上に、海での戦利品の羽根とカッターナイフを並べた。
「カナデっち、カッターナイフで何するの?」
「例の海鳥の白い羽根で羽根ペンをね、先っぽを加工しないと字が細く綺麗に書けないから」
「あーね。なる。
サヤは羽根飾り用にリボンや造花が欲しいな。
こっちにも造花って有るのかな」
「貴族がいるなら普通にあると思ったけど、どうなんだろ?
あ、ついに貴族に会うんだった。
敬語ですわよ、サヤ嬢」
「ええ、もちろん気をつけますわよ。
お貴族様に無礼があってはこの首が飛んでしまいますもの。
ホホホ。
うわ、怖」
冗談っぽくそんな事を言いつつも、その時に備えて、紗耶香ちゃんは風呂上がりの素肌に乳液を塗りこんで念入りにケアしている。
もちろん貴族に売り込む為に、売り物用の化粧品もしっかりと準備した。
* *
貴族のお嬢様に会う日が来た。当日、家の前まで馬車の迎えが来てくれて、親切だった。
しばらく馬車に揺られ、我々は伯爵家に到着した。
流石伯爵家! お屋敷がでかい! 豪華で立派!
本物のメイドや執事がいる!
感動だわ~~。
「こちらでお待ちください」
私達はメイドさんに通されたお部屋で、行儀よくお嬢様が来るのを待つ。
ややして執事が扉を開き、伯爵令嬢登場! うわ! 美人!
「初めまして。当方、商人をやっております。コウタと申します。
以後、よろしくお願いいたします」
コウタが先に挨拶してくれた、私もしっかりしなきゃ!
「スキア伯爵令嬢にご挨拶申しあげます。
私の個人名は奏と申します。
我々は屋号も暫定的によろず屋と名乗っております若輩者ですが、よろしくお願いいたします」
「初めまして、本日はお招きありがとうございます。
名をサヤと申します。
お会いできて光栄でございます」
「よろず屋の皆さん、今日は招待に応じて下さってありがとう。
あまり硬くならずに、気楽に接してちょうだい」
そうもいかんやろ!
でも気さくな雰囲気の伯爵令嬢で良かった!
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