35 / 108
ミステリアスな魔道具店。
しおりを挟む
帰り道に歩きながら紗耶香ちゃんが見つけたどんぐりの殻を剥いて食べてみた。
生食可能らしいので。
「このどんぐり、普通にピーナッツみたいに美味しいじゃん」
「いいおやつになる、得したな」
「本当だ、紗耶香ちゃん、お手柄~~。私なんか草刈っただけよ」
草!
「そういやカナデっち、家帰ってからあの草で椅子作るの?」
「休憩所用の椅子が中古で安く有れば、草は焚き付け用にしてもいいんだけどね。
商人さんの家からよそに移るなら、多分魔道具の冷蔵庫やオーブンとか生活用品を買い直す必要があるし、店で品物を見るだけ見て、めぼしだけ付けてても良いかも」
じゃあ帰宅前に魔道具屋に寄るかって意見にまとまった。
森を抜けて、私達はそのままリックさん達の案内で魔道具屋を教えて貰い、魔道具屋に到着。
かつてネットの写真で見たエジプトのモザイクランプ店みたいに幻想的な雰囲気が有る。
魔道具屋は電気の代わりに魔石を動力とした不思議な道具が沢山あって、ファンタジー好きにはワクワクする場所だった。
魔石で灯りを灯すランタンも沢山有る。
差し当たって欲しいのは冷蔵庫や冷凍庫だ。
アイテムボックス内に入れたら食材などは腐らないにしても、冷やして使いたい物はある。
冷蔵庫にコンロ、オーブンなどを見て値段等を確認した。
「良いお値段だけど、胡椒が沢山売れたらイケルよね」
私は胡椒が金貨になる様を想像して言った。
「そう言えば、俺達が今いるこの地って貴族の領地って事ですか」
「そうだ、今まで知らなかったのか、ここはスキア伯爵領だぞ」
コウタの言葉にリックさんがやや呆れながら言った。
私は異世界だなあって思ってて、国名がバルド国って情報だけ入れて、誰の領地とかって言うを気にしていなかった。
最初の村は第一村人情報でビニゴ村とか言ってたのは覚えているんだけど。
紗耶香ちゃんがしれっと冷蔵庫などの値段をメモる代わりに値札の写真をスマホで撮影してた。
「これでおけまる」
OKって意味ね。
「水木さん、念の為、万が一、貴族の方と話す時は、頑張って敬語を使ってくれる?
俺達しかいない普段はいつもの口調でいいけど、不敬罪で無礼打ちは嫌だろう?」
「コウタ、大丈夫よ、紗耶香ちゃんは女優よ、良いとこの令嬢の役! って言っておけば……大丈夫ですわよね?」
私は後半芝居かがった口調で紗耶香ちゃんに問いかけた。
「おほほ! よくってよ!」
のってきた。
「随分高飛車なお嬢様だ、出来れば礼儀正しい清楚可憐系のお嬢様で頼みます」
「それならまずは~~綺麗目のドレスとか着せてくれないと~~」
「う、形から入るタイプか」
「まあ、リックさんルートで胡椒が売れたら綺麗目ワンピースくらい買えるでしょ。
あるいはブラウスは制服のがあるし、丈の長いエレガントなスカートとか、いい感じに合わせられるの今度探してみよ」
「りょ」
「じゃあ、今回は森での護衛とこの店の案内、ありがとうございました」
「お祭りの時は何時頃、迎えに行けば良い? 緑の屋根の商人の家だよな」
「えっと、昼ちょっと前あたりで」
「分かった」
そういえばお祭りデートがあった!
11時くらいならお祭の屋台でお昼ご飯に出来て良いかなって思った。
「胡椒の受け渡しもお前達が今住んでるとこでいいのか?」
リックがコウタの方を見て言った。
三人の中で唯一の男子なので代表者だと思ってるんだろう。
別に良いけど。
「そうですね、そんなに重い物でもないので、リックさんが大丈夫なら今の家で」
「了解した。とりあえず伯爵令嬢に面会申請をして話をつけておくし、引っ越し先も俺とラウルで探しておく」
「「何から何まですみません、ありがとうございます」」
私とコウタのセリフが見事に被った。
「あざす!」
「リックは人の世話焼くのが好きだから気にするな」
「はは、お互い様なんだよなあ」
ラウルさんはわざわざ病人のお友達を心配してお見舞いに行くような人なんだよね。
感染る病気かもしれないのに。
徳が積めそうな優しい人達だなぁ。
*
商人さんの家に帰宅してから、私は家の前のウッドデッキの上で葦っぽい植物をアイテムボックスからわさっと取り出し、椅子を試作品でひとまず一個作ってみたりした。
魔道具屋には寄ったけど、中古の家具屋に寄るのを忘れたのだ。
「まあまあの出来では? ちゃんと座れるし、痛く無いし」
「サヤも座ってみてもいい?」
「どうぞ、マドモアゼル」
「なかなかの出来ですわね」
「ドレスが無くてもお嬢様ごっこが出来るじゃ無いか」
「バレたわ。ウケる~~」
コウタに聞きつけられた紗耶香ちゃんは楽しそうに笑った。
生食可能らしいので。
「このどんぐり、普通にピーナッツみたいに美味しいじゃん」
「いいおやつになる、得したな」
「本当だ、紗耶香ちゃん、お手柄~~。私なんか草刈っただけよ」
草!
「そういやカナデっち、家帰ってからあの草で椅子作るの?」
「休憩所用の椅子が中古で安く有れば、草は焚き付け用にしてもいいんだけどね。
商人さんの家からよそに移るなら、多分魔道具の冷蔵庫やオーブンとか生活用品を買い直す必要があるし、店で品物を見るだけ見て、めぼしだけ付けてても良いかも」
じゃあ帰宅前に魔道具屋に寄るかって意見にまとまった。
森を抜けて、私達はそのままリックさん達の案内で魔道具屋を教えて貰い、魔道具屋に到着。
かつてネットの写真で見たエジプトのモザイクランプ店みたいに幻想的な雰囲気が有る。
魔道具屋は電気の代わりに魔石を動力とした不思議な道具が沢山あって、ファンタジー好きにはワクワクする場所だった。
魔石で灯りを灯すランタンも沢山有る。
差し当たって欲しいのは冷蔵庫や冷凍庫だ。
アイテムボックス内に入れたら食材などは腐らないにしても、冷やして使いたい物はある。
冷蔵庫にコンロ、オーブンなどを見て値段等を確認した。
「良いお値段だけど、胡椒が沢山売れたらイケルよね」
私は胡椒が金貨になる様を想像して言った。
「そう言えば、俺達が今いるこの地って貴族の領地って事ですか」
「そうだ、今まで知らなかったのか、ここはスキア伯爵領だぞ」
コウタの言葉にリックさんがやや呆れながら言った。
私は異世界だなあって思ってて、国名がバルド国って情報だけ入れて、誰の領地とかって言うを気にしていなかった。
最初の村は第一村人情報でビニゴ村とか言ってたのは覚えているんだけど。
紗耶香ちゃんがしれっと冷蔵庫などの値段をメモる代わりに値札の写真をスマホで撮影してた。
「これでおけまる」
OKって意味ね。
「水木さん、念の為、万が一、貴族の方と話す時は、頑張って敬語を使ってくれる?
俺達しかいない普段はいつもの口調でいいけど、不敬罪で無礼打ちは嫌だろう?」
「コウタ、大丈夫よ、紗耶香ちゃんは女優よ、良いとこの令嬢の役! って言っておけば……大丈夫ですわよね?」
私は後半芝居かがった口調で紗耶香ちゃんに問いかけた。
「おほほ! よくってよ!」
のってきた。
「随分高飛車なお嬢様だ、出来れば礼儀正しい清楚可憐系のお嬢様で頼みます」
「それならまずは~~綺麗目のドレスとか着せてくれないと~~」
「う、形から入るタイプか」
「まあ、リックさんルートで胡椒が売れたら綺麗目ワンピースくらい買えるでしょ。
あるいはブラウスは制服のがあるし、丈の長いエレガントなスカートとか、いい感じに合わせられるの今度探してみよ」
「りょ」
「じゃあ、今回は森での護衛とこの店の案内、ありがとうございました」
「お祭りの時は何時頃、迎えに行けば良い? 緑の屋根の商人の家だよな」
「えっと、昼ちょっと前あたりで」
「分かった」
そういえばお祭りデートがあった!
11時くらいならお祭の屋台でお昼ご飯に出来て良いかなって思った。
「胡椒の受け渡しもお前達が今住んでるとこでいいのか?」
リックがコウタの方を見て言った。
三人の中で唯一の男子なので代表者だと思ってるんだろう。
別に良いけど。
「そうですね、そんなに重い物でもないので、リックさんが大丈夫なら今の家で」
「了解した。とりあえず伯爵令嬢に面会申請をして話をつけておくし、引っ越し先も俺とラウルで探しておく」
「「何から何まですみません、ありがとうございます」」
私とコウタのセリフが見事に被った。
「あざす!」
「リックは人の世話焼くのが好きだから気にするな」
「はは、お互い様なんだよなあ」
ラウルさんはわざわざ病人のお友達を心配してお見舞いに行くような人なんだよね。
感染る病気かもしれないのに。
徳が積めそうな優しい人達だなぁ。
*
商人さんの家に帰宅してから、私は家の前のウッドデッキの上で葦っぽい植物をアイテムボックスからわさっと取り出し、椅子を試作品でひとまず一個作ってみたりした。
魔道具屋には寄ったけど、中古の家具屋に寄るのを忘れたのだ。
「まあまあの出来では? ちゃんと座れるし、痛く無いし」
「サヤも座ってみてもいい?」
「どうぞ、マドモアゼル」
「なかなかの出来ですわね」
「ドレスが無くてもお嬢様ごっこが出来るじゃ無いか」
「バレたわ。ウケる~~」
コウタに聞きつけられた紗耶香ちゃんは楽しそうに笑った。
70
お気に入りに追加
482
あなたにおすすめの小説

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~
カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。
気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。
だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう――
――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-
ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!!
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。
しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。
え、鑑定サーチてなに?
ストレージで収納防御て?
お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。
スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。
※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。
またカクヨム様にも掲載しております。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる