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20話: 緑の屋根の家

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「あった、緑色の屋根! ここが商人さんの家かあ、二階建てで想像以上に広い、ありがたいな」
 
 コウタが地図を片手にナビしてたら、無事たどり着いた。

「ホントだ、イイ家じゃん! サヤ、ここ気に入った!」
「可愛い家! 草ぼうぼうだけど、本当に畑もある!」

 家庭菜園ができる!

「アレ? コータ君、鍵はもう持ってるの?」
「風呂屋で会ったおじさんによればあの窓の下の植木鉢の下だって」
「雑ぅ! セキュリティは大丈夫なの?」
 
 私は不安になって訊いた。


「家に入ってみて荒らされて無ければそこまで治安悪く無いんじゃないか」
「ホントだ! 鍵あったよ!」

 紗耶香ちゃんが走って行ったと思ったら、植木鉢の下を漁って鍵を見つけて来た。

 まあ、いいや、とにかくお家探索してみましょ。
 紗耶香ちゃんが鍵を差し込んで扉を開けた。

「開いた!」
「お邪魔しまーす」
「失礼しまーす」

 誰もいないの分かってても、つい言ってしまう。

「どの部屋を誰が使うとかは?」

 私は気になる事をまず訊いた。

「確かに、部屋割りはどうするか」
「公平にじゃんけんで良くない?」

「流石に主の部屋は、だめじゃないかな?、客間が3つあればいいけど」
「流石にそれは一つだと思うが」

「絶対触るなって、物はあるかな?」
「そんなの有るっておじさんに言われてないな」
「後で行商から戻って来た息子さんがキレたりしないの?」

「あー、そこまで気が回らなかった。
好きに使っていいと言われたから。
最低限、手紙と日記を見つけても見ないってのは、常識でいいな?」

「それは、そうね」
「オケ」

「やっぱ、他人の家って不在でも色々気にするね。 
基本的に綺麗に使えばいいとは思うけど。
書斎が主の部屋って事で、大事な書類在るとみなしてノータッチでいく?」

 私は揉めたくないので、慎重に行きたくて訊いた。

「そうだな。そこは開かずの間にしておこう。
下手に掃除とかして大事な何かが無くなったとか騒ぎになるのは怖い。
俺はなんなら居間で寝てもいい」

「寝るだけなら、ベッドくらいは借りてもいいのでは?」
「親族でもない、他所の男が寝るのは嫌かもしれん。   
俺は床に布団敷けばいける」
「まあ、コウタが床で良いなら、好きにすればいいと思う」

 お部屋探索。

「二人とも! 客間にベッドが二つあるよ!」

「じゃあこのゲストルームをカナデっちとサヤが使う?」
「それが無難な気がするね」
  
 続、お部屋探索。

「お風呂有る! 猫脚のバスタブが!」

 紗耶香ちゃんも大喜びだ。

「もしや樽にお湯貯める系かと思ってたわ。 良かった!」
 
 我々はリビングに戻って来た。

「幸い我々荷物はアイテムボックスに入るから、家の中を荷物だらけにしてゴチャゴチャにする危険は無いよね」

「ああ、基本的なルールとして、ゴミはちゃんと処理する。  
黒い羽根つきのあいつやハエを発生させないようにする。
家主に迷惑をかけない」

「りょ」
「オッケー。家主の逆鱗に触れないようになるべく綺麗にね」
  
「てなわけで、俺は敷布団は、買ってこようと思う、毛布くらいは借りるとして。
マットが欲しいけど無いよなー」

「毛布を何枚か重ねたら?」
 
「うーん、そうなるかな。一番上がシーツで」

「あ、ねえ、ご飯どうする? 惣菜買う? 作る?」
「俺は簡単に蕎麦でいいよ」
「あ! 引っ越し蕎麦的な……?」
「それそれ」

「じゃあ、ネギか天ぷら入れる?」
「ネギだけのかけ蕎麦でいいよ。一応節約」

「りょ」
「分かった」

 スキルで蕎麦と麺つゆとネギを購入っと!

 そして我々は引っ越し蕎麦をリビングで食べた。
 食べながら畑の相談をする。

「畑で何育てる?」
「種って食材? カナデっちのスキルで買える?」
「カボチャやヒマワリの種なら食べられるけど」
「マ!? ヒマワリってハムスター以外もてか、人間も食べれるの?」

「うん。シマシマの殻は剥いて食べれるよ」
「初耳」

「再生栽培って言えば豆苗が一番楽なのは知ってる。過去に4回は収穫したわ」

「アボカドも種から植える事が可能だ。
芽が出るまではペットボトル栽培でいける」

「へー、二人とも物知りだね」

 紗耶香ちゃんが感心してくれた。

 コウタはアボカドの話をしてくれたけど、実は私は
 アボカドはあんま好きじゃない。 
 けど、わがまま言ってる場合じゃないよね。

「根っこ付きの野菜を買えばいけるやつがある」

 冬には大根とか白菜とかを食べたいけど、これらは買ったほうが早い気もする。
 じゃがいもはこっちの世界でも買える。

 でもトマトとナスとキュウリは苗があれば、家で作ったことあるから、苗がゲット出来たら作ってみたいな。

「今すでに秋だからな。じきに冬が来る。畑は春からでいいんじゃないか?」
「うーん、そうだね……」

 私も少し残念に思いながらも頷いた。
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