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次はハンバーガー屋
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宿屋のコウタの部屋に集まって私達はミーティング。
「これが、ハンドミシンだ。糸も5本付いてた」
コウタはスキルで買ったハンドミシンを私達に見せてくれた。
「買ってすぐ壊れなきゃいいけどネ」
突如不吉な事を言う紗耶香ちゃん。
「買ったばかりですぐ壊れたら泣くしかないな」
「あ、サヤの買ってる生地で試し縫いしてもいい?」
「どうぞ、どうぞ」
「か、カナデっち、これの使い方知ってたら教えてくれる?」
「あ、うん。いいよ」
なるほど、使い方を知らないから不安なんだね。
私は紗耶香ちゃんのスカートをハンドミシンを使って代わりに縫ってみた。
ホチキスのように片手で扱える重さだった。
「え~~やばい、早い! 手縫いの比じゃない!」
「おお、わりとしっかり縫えるもんだな」
「ただの直線縫いで良かった。ほら、紗耶香ちゃん、この側面は終わったよ、この長方形の布、あと三箇所縫うとこ残ってるから、試してみて?」
「ありがと! よし、やる!」
ただの直線縫いなので、ハンドミシン初心者の紗耶香ちゃんでもなんとかなった。
「後はこの安全ピンで留める」
「お試しで今から着替えて着てもいい?」
紗耶香ちゃんは早速着てみる事にしたようだ。
ワクワクしてるのか、瞳がキラキラだ。
やはりオシャレが好きな女の子だね。
「「いーよー」」
紗耶香ちゃんは一瞬女子部屋に戻って着替えて来た。花柄のスカートだ。
「ほら、カナデっちとオソロになったよ!」
「うん、巻きスカート仲間だね! 可愛い!」
「水木さん、完成おめでとう」
そこは似合ってるとか可愛いとか言うとこでしょ! コウタ!
朴念仁~~。
「ありがと!」
紗耶香ちゃんは特に気にしてないみたいだけど。
「じゃあ次にハンバーガー屋をするならハンバーガーのタネを仕込む必要があるな。
自分でオーブンとか持って無いし、パンを焼く手間は省いてパンは買ってしまおう」
「あ、次は私がスキルで食材買うターンだね」
私はスキルでハンバーガー用の食材を注文した。
「どうする? サヤも口紅も買って売り物を増やす?」
「そうだね、貝殻口紅せめて15個くらい並べようか。あんまり少なくて限定商法かとキレられるといけない」
「あ!!」
「紗耶香ちゃん、どうかした?」
「今この口紅と化粧水が魅力数値80以上の人は200円引きだって!」
「え、じゃあ水木さん、チャンスじゃん!!」
「じゃあいくつ買えばいい?」
「とはいえ、口紅7で化粧水5とかで良くない? 慎重に行こう。
市場の客層は貴族じゃないもん」
「そうだな、まだ夜の街に営業かける訳じゃないし」
「割引適用にして日本円で合計9800円だけど、全部銀貨で払うけどいい?」
「良いよ」
「来た! ガラス瓶可愛い! メーカー名とか無いから良かった!」
「じゃあ口紅を貝殻に移す作業とハンバーグのタネ作り、どっちを先にする?」
「そういや売り物用のスカート分はまだ生地を買って無いな。
俺が市場でハンバーガー作ってる間に、市場で巻きスカート用の布地を二人が買って来るといい。
ハンバーグの種は俺が今から作るから、化粧品の方を頼む」
「ハンバーガー屋の方はコウタ一人に任せていいの?」
「なるべく早めに戻ってくれたらいい。
あ、売り物のハンバーグはすぐに焼けるように薄めに作るつもりだ。
鉄板かフライパン買わないとな」
「まあ、鉄板が無駄になる事は無いはず……よね」
「だよね~~、焼きそばやお好み焼きも作れるじゃん」
コウタは鉄板、金属バットトレー、ボウル、フライ返しなどの必要な物を買った。
女子組は貝殻口紅の準備を、コウタは明日のハンバーグの仕込みなどをした。
* *
翌日の市場。
晴れてて良かった。テントの設営もスムーズで客足にも影響あるだろうから。
鉄板の上で美味しそうに焼けるハンバーグの匂いに釣られて、道行くお客さんが振り返る。
ソースは照り焼き味、マヨネーズとレタス追加でパンに挟み込む。
チーズとピクルスは経費削減で今回はついて無い。
チーズのお安い業者でも見つかれば、豪華版としてそのうち売っても良いけど。
早速お客様が来た。先日の冒険者風の男性だ。
「あれ? 今日は串焼きじゃないのか?」
「そうなんですよ、申し訳ありません、でもこっちのハンバーガーも美味しいと思います。
パンもついててお得!」
コウタはガッカリ顔の客に謝罪しつつも、ハンバーガーも美味しいとアピールをした。
「じゃあそれ一つ」
「毎度!」
しばらく心配で見守っていたけど、そろそろ行こう。
「じゃあ私達は布屋に行って来るね」
「コータ君、頑張ってネ~~」
「ああ、行ってら」
私と紗耶香ちゃんは布屋に行って10着分くらいの布地を購入して来た。
値切り交渉もそこそこ上手くいった。
「ただいま! コウタ、一人で大丈夫だった!?」
「ただいま~、乙~~」
私は小走りで帰って来てコウタに状況を訊いた。
「お帰り! お客さんにはめちゃくちゃ美味いって言われたよ。
ハンバーガーを食う前はなんで串焼きやって無いのって何回か言われたけど」
「串に刺す作業がきつかったから……」
「それをバカ正直に言う訳にはいかないから、毎回同じで飽きられ無いようにって言っておいた」
「ははは」
根性無しで笑うしか無い。
「ここか、パンにすげー美味しい肉が挟まったもの売ってる店ってのは?」
「はい!」
わ! 冒険者風の団体客が来た!
「これが、ハンドミシンだ。糸も5本付いてた」
コウタはスキルで買ったハンドミシンを私達に見せてくれた。
「買ってすぐ壊れなきゃいいけどネ」
突如不吉な事を言う紗耶香ちゃん。
「買ったばかりですぐ壊れたら泣くしかないな」
「あ、サヤの買ってる生地で試し縫いしてもいい?」
「どうぞ、どうぞ」
「か、カナデっち、これの使い方知ってたら教えてくれる?」
「あ、うん。いいよ」
なるほど、使い方を知らないから不安なんだね。
私は紗耶香ちゃんのスカートをハンドミシンを使って代わりに縫ってみた。
ホチキスのように片手で扱える重さだった。
「え~~やばい、早い! 手縫いの比じゃない!」
「おお、わりとしっかり縫えるもんだな」
「ただの直線縫いで良かった。ほら、紗耶香ちゃん、この側面は終わったよ、この長方形の布、あと三箇所縫うとこ残ってるから、試してみて?」
「ありがと! よし、やる!」
ただの直線縫いなので、ハンドミシン初心者の紗耶香ちゃんでもなんとかなった。
「後はこの安全ピンで留める」
「お試しで今から着替えて着てもいい?」
紗耶香ちゃんは早速着てみる事にしたようだ。
ワクワクしてるのか、瞳がキラキラだ。
やはりオシャレが好きな女の子だね。
「「いーよー」」
紗耶香ちゃんは一瞬女子部屋に戻って着替えて来た。花柄のスカートだ。
「ほら、カナデっちとオソロになったよ!」
「うん、巻きスカート仲間だね! 可愛い!」
「水木さん、完成おめでとう」
そこは似合ってるとか可愛いとか言うとこでしょ! コウタ!
朴念仁~~。
「ありがと!」
紗耶香ちゃんは特に気にしてないみたいだけど。
「じゃあ次にハンバーガー屋をするならハンバーガーのタネを仕込む必要があるな。
自分でオーブンとか持って無いし、パンを焼く手間は省いてパンは買ってしまおう」
「あ、次は私がスキルで食材買うターンだね」
私はスキルでハンバーガー用の食材を注文した。
「どうする? サヤも口紅も買って売り物を増やす?」
「そうだね、貝殻口紅せめて15個くらい並べようか。あんまり少なくて限定商法かとキレられるといけない」
「あ!!」
「紗耶香ちゃん、どうかした?」
「今この口紅と化粧水が魅力数値80以上の人は200円引きだって!」
「え、じゃあ水木さん、チャンスじゃん!!」
「じゃあいくつ買えばいい?」
「とはいえ、口紅7で化粧水5とかで良くない? 慎重に行こう。
市場の客層は貴族じゃないもん」
「そうだな、まだ夜の街に営業かける訳じゃないし」
「割引適用にして日本円で合計9800円だけど、全部銀貨で払うけどいい?」
「良いよ」
「来た! ガラス瓶可愛い! メーカー名とか無いから良かった!」
「じゃあ口紅を貝殻に移す作業とハンバーグのタネ作り、どっちを先にする?」
「そういや売り物用のスカート分はまだ生地を買って無いな。
俺が市場でハンバーガー作ってる間に、市場で巻きスカート用の布地を二人が買って来るといい。
ハンバーグの種は俺が今から作るから、化粧品の方を頼む」
「ハンバーガー屋の方はコウタ一人に任せていいの?」
「なるべく早めに戻ってくれたらいい。
あ、売り物のハンバーグはすぐに焼けるように薄めに作るつもりだ。
鉄板かフライパン買わないとな」
「まあ、鉄板が無駄になる事は無いはず……よね」
「だよね~~、焼きそばやお好み焼きも作れるじゃん」
コウタは鉄板、金属バットトレー、ボウル、フライ返しなどの必要な物を買った。
女子組は貝殻口紅の準備を、コウタは明日のハンバーグの仕込みなどをした。
* *
翌日の市場。
晴れてて良かった。テントの設営もスムーズで客足にも影響あるだろうから。
鉄板の上で美味しそうに焼けるハンバーグの匂いに釣られて、道行くお客さんが振り返る。
ソースは照り焼き味、マヨネーズとレタス追加でパンに挟み込む。
チーズとピクルスは経費削減で今回はついて無い。
チーズのお安い業者でも見つかれば、豪華版としてそのうち売っても良いけど。
早速お客様が来た。先日の冒険者風の男性だ。
「あれ? 今日は串焼きじゃないのか?」
「そうなんですよ、申し訳ありません、でもこっちのハンバーガーも美味しいと思います。
パンもついててお得!」
コウタはガッカリ顔の客に謝罪しつつも、ハンバーガーも美味しいとアピールをした。
「じゃあそれ一つ」
「毎度!」
しばらく心配で見守っていたけど、そろそろ行こう。
「じゃあ私達は布屋に行って来るね」
「コータ君、頑張ってネ~~」
「ああ、行ってら」
私と紗耶香ちゃんは布屋に行って10着分くらいの布地を購入して来た。
値切り交渉もそこそこ上手くいった。
「ただいま! コウタ、一人で大丈夫だった!?」
「ただいま~、乙~~」
私は小走りで帰って来てコウタに状況を訊いた。
「お帰り! お客さんにはめちゃくちゃ美味いって言われたよ。
ハンバーガーを食う前はなんで串焼きやって無いのって何回か言われたけど」
「串に刺す作業がきつかったから……」
「それをバカ正直に言う訳にはいかないから、毎回同じで飽きられ無いようにって言っておいた」
「ははは」
根性無しで笑うしか無い。
「ここか、パンにすげー美味しい肉が挟まったもの売ってる店ってのは?」
「はい!」
わ! 冒険者風の団体客が来た!
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