上 下
11 / 108

11話: 軽く相場リサーチと商業ギルドへ

しおりを挟む
 朝食後に宿で三人集って、ちょっとミーティングをする事にした。

「なあ、商人ギルド行こうって話したけど、具体的に何を売りたいのか?
って、商品見せろってなった場合、口紅貝殻5個だけだとなめとんのか? ってなるような気がして来た」

「あ! 商人やるなら、いきなり商品見せろ展開は確かに有るかも!」
「よし、仕方ない、何か他にも売り物を探そう! コスパ良くて価値のあるもの!」

「定番だと、砂糖、塩、胡椒かな? 食品枠に余裕で有るし、容器だけ入れ替えれば。
あれ、容器前回入れ替えてくれてたんだった」

 私はハンバーグを料理する時に注文した時の事を思い出した。

「よし、とりあえず、塩は利権が絡んでると怖いから、砂糖と胡椒にしよう」

「コータ君、利権ってなに? どゆこと? サヤあんま頭良くないから教えて?」

「塩とかは国の専売品の可能性があって、ちょっと怖いんだよ」
「あ──なるほど、お国から怒られるの怖いよね。りょ」

「後は、市場とか使えるなら、焼き鳥屋やるのはどうかって紗耶香ちゃんと昨夜寝る前に話してたの」
「なるほど、じゃあ焼き物セットをスキルで買うか」

「物入りだから、私の制服ジャケット売るよ」
「あ! カナデっちの売るなら、サヤの制服も良いよ! 
着替え用に同じデザインのを一緒に買う人いるかも!」

「分かった、先に資金調達しよう」
「でも調味料は今すぐに買っておくわ。人目を避けて室内でのが良いでしょ」
「分かった」

 私は画面を開いて胡椒と砂糖を買った。

「あ、やっぱり蓋付きの素焼きの壺に入れてくれてるよ。
外装は紙で包まれてるし、紙の上部を捻って絞って麻紐で結んで有るから、このまま買われても、中身が溢れたりしない」

「ちゃんと配慮されてて凄いな」
「カナデっち、ラッキーだね、このまま売れちゃうじゃん」

「口紅の価格市場調査だけど、出がけに下のおばさんにでも一応聞いておく?」
「朝からだと、口紅使いそうな若い女性ほぼいないかもだけど、おばさんにも若い時代はあったはずだよね」

 私達は食堂を見渡すも、若い女性は居なかった。
 宿に女性泊まってたら、って思ったけど。

「口紅? お高い物だからね、若い頃しか付けなかったよ。
銀貨一枚から~~五枚とか?
お貴族様用はもっと高いと思うよ!」

「ここらの女は旦那を捕まえたら油断して化粧しなくなるんだよ~」
店主のおじさんがそんな事を言うと、女将さんが反論した。

「あんたらの稼ぎが良けりゃあもっと頑張れたんだよ。
もしくはプレゼントしてくれたって良かったんだよ!?」

 あらら……。

「紗耶香ちゃん、コウタ、やっぱり、うちらのは量的にも少ないし、銀貨一枚で売ってみよ?」
「そうだね、多分デートとか気合い入れる時にしか使ってないっぽい雰囲気有るしね」
「ああ、分かった」

 * 

 私達は街道を歩き、先に古着も扱う服屋に寄って、制服のジャケットを買い取って貰った。

 二着で金貨6枚だった。
 コウタのも前回金貨三枚だったから、このくらいが相場なんだろう。

 学校の制服を手放したのはちょっと寂しいけど、今はお金の方が大事。
 生きないといけないから。


 次に商人ギルドを目指して表通りを歩いて行く。

「毎回歩きってのもきっつー!」
「もう少し、あの角を曲がれば、乗り合い馬車てのが出てるらしいから、水木さん、頑張って」

 お? コウタってば、もしやそれも風呂屋で得た情報?

「あ、馬車に乗れんの? やった──!」

 私達は道を歩き、角を曲がった。すると、見えた!

「あ、あの馬車の看板、もしかして停留所みたいな?」
「そう、あれだ」
「あ! 馬車が来る! 走るよ!」

 私達は慌てて走って馬車に乗り込みに行ったけど、乗り合い馬車は三分くらい他の客を待っていた。
 手を振りながら乗せて~~!って、やればいいのか。

「私は病院前で降ります」
「薬局前で降ろしておくれ」
「青空市場まで」

「あ、俺達は商業ギルド前で降ります!」

 コウタも御者のおじさんに近付いて行ったと思えば、行き先を言ってた。

「はいよ~~」

 へー、御者に行き先告げておけばいいのか。覚えた。
 バスと違ってピンポン無いから申告制なのね。
 しばらく馬車に揺られる私達。

 乗り合い馬車の中では色んな雑談、噂話が飛び交っている。
 どこそこの飯が美味いとか、人気の歌姫が近くで公演やるとか。


「あー、商業ギルド前、到着です~~お代は銅貨二枚です~~」
「「「ありがとうございました」」」

 私達はお礼を言って、チャリン、チャリンと、一人ずつ、銅貨二枚を御者に払った。

 来たわ! 商業ギルド前。

「カゴバッグ内に調味料ヨシ!」
「麻のバッグに貝殻口紅もヨシ!」

 私が持ち物チェック宣言をすると、紗耶香ちゃんもノッてくれた。

「よし、じゃあ行くぞ……」

 コウタが蔦の絡まる薄茶色の建物の扉を3回ノックした後、扉を開いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい

こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。 社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。 頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。 オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。 ※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ

ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。 ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。 夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。 そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。 そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。 新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

処理中です...