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 夜を徹して行われた交わりに、耐えきれなかったソフィアはその後、数日間寝込んでしまった。

 そうしてやっと体を起こすことができて、城の中を見渡すと。

 そこには異様な空気が漂っていた。

 侍女たちは抱き合って涙し、騎士たちはやり場のない怒りを紛らすように剣を振り続け、文官たちは城内を駆け回っている。

「ああ、ソフィア姫。体調はいかがですか。この間は無理をさせてしまい、失礼いたしました」
 にやっと笑いながら近づいてきたのは、アレクサンダー将軍だった。

「アレクサンダー将軍」
 ソフィアが挨拶代わりに膝を曲げると、将軍はソフィアの手を取り、ちゅっと口付ける。

「姫君にお伝えせねばならない事があります。どうぞこちらに」

 そうして連れられたのは。

「いやああああ! お父さま、お母さま!!」
 城壁にさらされた首は、夏場の今、既に腐り始めてはいたが、間違いなく両親のものだった。
「これで生き残ったアルバ国王家の人間は、貴女だけです。私が貴女を正式に妻として娶り、アルバ国を領主として引き継ぐこととなりましたよ」

 がく、と崩れ落ちたソフィアは、座り込んでしまう。だが、この戦乱の世の中、国王夫妻の命が奪われるのは当然といえば当然だった。
 実際のところ、アレクサンダー将軍は野卑なブリタニア軍の中では比較的、おおらかで穏健な統治で有名でもあった。

「お願い……、私も殺して」
「何を、わがままな。貴女が死ねば、この国はどうなりますか。私の慈悲を請うことだけが、今のこの国に残された唯一の希望です」

 言いながら、アレクサンダー将軍はソフィアの手をつかみ、優しく撫でる。

「私の姫君。一生大切にしますよ」
 そう言うと、アレクサンダー将軍はソフィアの瞳をじっと見つめた。
 ソフィアの瞳から、つうっ、と涙が流れる。

「ブリタニア国の横暴から、貴女の国民を、守りましょう」

 駄目押しとばかりに告げられた言葉に、ソフィアは顔を俯けた。

 ブリタニア国の法律では、妻の持つ統治権は妻のものであり、おいそれと手出しはできない。なおかつ、妾ではなく将軍の正式な妻となることで、ブリタニア国もこの土地に侵略を続けることはできなくなる。

 そうしてしばらくした後、顔を上げたソフィアの瞳には、決意の色が宿っており。ソフィアはアレクサンダー将軍の肩をそっとつかみ、爪先立ちをした。

「妻として、お仕えいたします」
 そう言って、ソフィアはアレクサンダー将軍の唇にそっと口を触れた。アレクサンダー将軍は感極まったようにソフィアを強く抱きしめ、そしてソフィアの口内を余す所なく味わったのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




 屋根のない豪奢な馬車に乗り、凛とした顔で手を振り続けるソフィアの姿。

 アルバ国は、ソフィアの夫となったブリタニア国のアレクサンダー将軍が管理することとなったが、そのアレクサンダー将軍も、本国での任務があるため、ブリタニア人の代官に実務を任せ、ソフィアを連れてブリタニア国へと戻るとのことである。

 アレクサンダー将軍とソフィアは、既に神の下、認められた夫婦となっており、夫に付き従うのは妻の役目ということだ。
 このアルバ国は少なくともこのひと時、救われたのである。これはアルバ国民にとって、最善と言ってよい結果だ。

 なお、アルバ国代官の妻となった女性は、ソフィアの腹心で、ソフィアに次ぐ美貌で知られていた。ソフィアの意図は、そこからも明らかである。

 ソフィアは、ふと手を振るのをやめて、馬車の上に立ち上がった。

 夫であるアレクサンダー将軍が、馬で駆け寄ろうとするのを制して、
「愛するアルバ国の民よ!」
 ソフィアが、大きく叫んだ。

「離れても、私たちは一つです! いつか、あなたたちの元に戻ると誓います! 例え魂だけとなっても、必ず!」

 しん、と静まってから、一秒後に歓声が響き渡った。

「姫、ご立派だ!」
「いつまでもお待ちしてます!」

 アレクサンダー将軍は、考えた。これは愛する女性の心を手にする絶好の機会だ、と。

 将軍はそのまま姫君の馬車に近づくと、ひらりと飛び乗った。

「将軍……!? 何を、んう」
 そのままソフィアの唇をふさいだ将軍が、そっと姫君から顔を離すと、自身の唇に手を添えて、群衆にその手をふわりと手向けた。

「姫からの祝福のキスだ。姫の望み、このアレクサンダーがいつか必ず叶えよう!」

 歓声は、さらに大きく辺りに広がった。

「将軍、我々はあなたを信じます!」
「どうか、我らの大切な姫君を、頼みます!」

 アレクサンダー将軍はちらとソフィアを見た。彼女は呆然と自分の唇をなぞっており、戸惑いと恥じらいが見えたとアレクサンダー将軍は思った。


~~~~~~~~~~~~~~~~


 そうして、夜が訪れた。一晩の宿として押収した城の最も豪奢な一室で、アレクサンダー将軍はソフィアを裸に剥いた。

 光り輝くようなソフィアの体にため息をつきながら、
「さあ、姫。こちらを」
 アレクサンダー将軍は剥き出しの陰経を、ソフィアの口元に近づける。

「……私、このような作法は教わっておりません。どうかお許しください」
 そう言うソフィアの手を取り、ちゅっと音を立てて口付ける。

「ええ、わかっております。高貴な私の姫君。ですが、どうかご慈悲を」

 ぷるんと艶やかな唇をなぞり、開かせると、そのまま勢いよく陰経を突っ込んだ。

「うっ、なんという、気持ちよさ、だ! 姫、貴女は俺をどこまで夢中にさせたら気が済むのでしょうか!」
 拙い舌遣いにも関わらず、頭を押さえつけ、動かさせるたびに、栗毛と大きな胸元がゆさゆさと揺れて、アレクサンダー将軍の視界を楽しませる。豊かな時間に、アレクサンダー将軍は酔いしれた。

「ぷはっ、はあ、はあ、あの、どうか、私にできることを、一つ一つ教えてくださいませ。夫を満足させるのは、妻の務めでございます」

 倒れ込みながら呟いたソフィアに、アレクサンダー将軍は歓喜した。


「もちろんです。ですが条件があります」
「条、件?」
「貴女も私にされることで、気持ちいいことは一つ残らず教えなさい。夫婦とは、身体を分け合うものなのですよ」

 なんと純情な言葉だろうかと、アレクサンダー将軍は自分の中に残った少年の心に驚きを隠せなかった。

「……仰せのままに」

 忠誠を誓うように頭を下げるソフィアの顎を掴み、唇を指でなぞった。
 そのままそっと口付け、舌を差し込むと、少し苦い味がした。

「ふむう、んう、んん、んふっ、んん、あ、キス、気持ち、いい」

 さっそく素直に気持ちを表現するソフィアの愛らしさに、笑みが浮かぶ。

「姫はキスがお好きですか。私もです」
 言いながら、むんずとソフィアの胸をつかむ。うっ、と声をあげたソフィアに構わず、ぐにぐにと胸を揉み、そして乳首を摘んだ。

「んあっ、何、これ、わからない」
「姫、もっともっと気持ちよくして差し上げますよ」

 ソフィアの胸はふっくらと柔らかく、なんとも愛らしい。それでいて、魔性の魅力があった。吸い寄せられるように口を近づけると、アレクサンダー将軍はちゅっとソフィアの乳首をねぶった。

「あっ、だめ、だめ、気持ちいいの、だめ!」
 ちゅう、ちゅう、と吸い上げるたびに、ソフィアは可憐に鳴いた。一生その声を聞いていられるとアレクサンダー将軍は思った。
 ソフィアがアレクサンダー将軍の動きを止めるように彼の頭をかき抱く。その仕草に、アレクサンダー将軍はソフィアの母性を感じた。

「私の女神……!」
「いや、ん、んん、ダメえ、気持ちいい、いっちゃう、いっちゃう!」

 鳴き叫びビクビクと震えるソフィアを軽く抑え、アレクサンダー将軍は彼女の足元に陰茎を添えた。

「んっ、あっ、まだ、ダメ、」
 止める彼女に構わず、ずずっと陰茎を差し入れる。ぬちゅ、と粘着質な音を立てて、ぬるぬるとした触感が心地よく、今にも爆発してしまいそうだった。

「姫、しとどに濡れています。なんとお可愛らしい」
「濡れてる……? あっ、いや、入れちゃ、いや、んん、んあっ、助けて、苦しい、いや、いや」

 たまらなくなり、アレクサンダー将軍はちゅっと彼女に口付けると、顎を掴み、舌を吸い上げた。

「んん、んちゅ、ちゅっ、んあっ、あん、はうっ、あん、将、軍、気持ち、いい、の!? 私、わからない、あん、あん」

豊かな腰をがっしりとつかみ、激しく揺さぶった。

「姫、愛してると、言え!」
「将軍、あ、あ、あ、いやあ」

 精を音を立てて放った。止まらない。

「ああん、あん、ああっ」
 きゅ、きゅ、と膣が陰茎をしめつける。
「うっ」

 番と決めた女性との、心の交流を伴う交わりが、こんなにも豊かだったとは。戦場に身を置き続けたアレクサンダー将軍は、人生の素晴らしさを垣間見た思いだった。

全ての精を放ち終えたアレクサンダー将軍は、ふうと息をついた。

「さあ、姫。私を、愛していると、言って」
 ソフィアを抱き寄せ、首筋をべろりと舐める。
「……なぜ? あなたは私を支配している。それで十分ではなくて?」
「ええ、後は貴女の魂だけだ」
 ソフィアが言った、「魂だけでも、アルバ国に戻る」という言葉が、気に食わかったのだ。

「私はいつか、あなたの子を産むわ。それは、永遠へと続くものかもしれません」

 言って、ソフィアは身を乗り出し、ちゅ、とアレクサンダー将軍に口付けた。

 ああ、幸せだ。ふとアレクサンダー将軍は思った。

 アレクサンダー将軍は、再び彼女に覆いかぶさると、濡れた彼女の中に勢いよく差し込み、何度も、何度も、彼女を揺らし続けたのだった。

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