転生してもオタクはなおりません。

しゃもん

文字の大きさ
上 下
30 / 83

30.ブランの過去。

しおりを挟む
 実父ブランの前には白髪を緩やかにアップにした歴史の教師が立っていた。
「ブラン様!」
「ホワイト伯爵令嬢、久しぶりだね。今回は娘が世話になったと聞いたよ。」
「まあブラン様。昔と同じようにノイと呼んで下さい。」
 実父ブランは娘を紹介しようとして彼女の目が花子はなこを見ていないのに気がついた。

 一方まるっと無視された花子はなこは横でその白髪の教師の様子を見ていた。
 白髪の教師の名前はノイで伯爵令嬢のようだ。
 それにしても実父ブランを見る瞳がウルウルと恋する少女のようだ。
 昔、二人の間で何があったんだろう。
 花子はなこは思わず実父ブランの表情を観察したがこれといってそこから何かを読み取ることは出来なかった。

「悪いけど君は独身だ。私が名前を呼ぶのは失礼に当たるよ。」
「まあ、何をおっしゃいますの。実父ブラン様はつい最近アンジェリーナ様と離婚されたとお聞きしましたわ。まだ世間的にすぐに結婚は難しいでしょうけど私は気にしませんわ。」
 実父ブランは彼女のトンチンカンな発言に心の中で悪態を吐きながらも丁寧に説明した。
「私はすでにここにいる花子はなこ実母ははと再婚しているんだ。だから君を名前で呼ぶことは出来ない。」
 実父ブランははっきりと彼女の願いを拒絶した。
「何でですの。昔も他の・・・ほかの女とは寝てもなんで私だけダメなんですか?」
「ホワイト伯爵令嬢。どういう意味かな?」
「そのままの意味ですわ、ブラン様。貴族は貴族同士で結婚するべきです。庶民などとブラン様が結婚するべきではありませんわ。」
「ホワイト伯爵家はそうかもしれないがルービックは魔力を一番重んじる家系なんだ。」
「そ・・・それなら私だって・・・アンジェリーナ様ほどはありませんが負けませんわ。ですから・・・。」
 そう彼女は言いきると実父ブランに抱き付こうとした。
「ホワイト伯爵令嬢。私は信子のぶこを愛しているんだ。」
 実父ブランは抱き付こうとした彼女の両肩を掴んで拒絶すると花子はなこを連れて背を向けた。
「知っていますのよ、ブラン様。その庶民は魔力がゼロなんでしょう。でもなぜか彼女との間に作った子どもの魔力が桁外れだってことなら私も聞いていますわ。それなら大丈夫ですわ。その女を愛人になさればいいのですわ。その女の生んだ子供を認知するくらい私は心が広いですわよ。」
 実父ブランの足がピタリと止まると振り向いて彼女を睨み付けた。
「私はその君の考え方が嫌いなんだ。二度と私に話しかけないでくれ。」

 実父ブランはそれだけ言うと花子はなこを連れて足早にその場を離れ、舞踏会のホールを抜けて会場を出ようとして違う女性に捕まった。
「あら、本当にいたのね。私に挨拶もなしで帰るつもりかしら?」
「ナオミ。言っておくけど南条になら先程会って挨拶したからこの手を離してもらえないかい。」
「本当に?」
「君たち夫婦の問題に私を巻き込むのは止めてくれ。彼の性格なら知っているだろう。」
「本当嫌になるくらい昔から私に嫉妬してくれないのよ。」
 実父ブランは溜息を吐いた。
「ナオミ。君は勘違いしているよ。嫉妬しないんじゃなくて君が気づかないだけだよ。」
「ちょっとそれどういう意味?」
 ナオミが実父ブランの腕を掴んでいる所にさっき会った渋めの男性がやってくると二人に話しかけて来た。
「ナオミ。ブランの腕を離しなさい。ノイがここに来ちゃうからね。」
「ナイト。未婚の女性を名前で呼んじゃダメだって言ってるでしょ。」
 ナオミの手が離れて夫であるナイトの腕を掴んだ。
「そうだったね。ごめんよ。言いづらかっただけなんだ。」

 二人の口喧嘩に実父ブランは呆れながらも目配せして来た南条に目線で助かったというと花子はなこを連れて会場を抜けた。
 会場から出るとまだ始まったばかりだったせいで通路には人がまばらだった。
 実父ブランはそのまま無言で花子はなこを車に乗せるとやっと口を開いた。
「ごめんよ花子はなこ。偉そうなことを言ったけどたぶん歴史の単位は落としたと思うよ。まさか歴史の教師があのホワイト伯爵令嬢だとは思わなかったんだ。」
「ですから要注意人物がいると注意いたしましたのに・・・。」
 アインが車を走らせながら実父ブランにお小言をブツブツと呟いていた。
「仕方ないだろ。あのホワイト伯爵令嬢は昔っから苦手だったんだから。」
「まあ、今回は仕方ありませんね。もう諦めて大学対抗の魔法戦に申し込みをすることをお勧めします。」
「魔法戦?」
 花子はなこは聞きなれない言葉に何を言っているのか首を傾げた。
 その魔法戦と単位がどうつながるの?

「確かにあれなら単位は取れるが危険じゃないか。」
花子はなこ様の魔力量なら問題ありませんよ。」
「しかし・・・。」
 渋る実父ブランを説得するアイン。
 そんなことをしているうちに車は自宅に到着した。

 今日は一体何のために面倒な舞踏会に行ったんだろうか。
 ちょっと自問自答した花子はなこだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます

おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。 if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります) ※こちらの作品カクヨムにも掲載します

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。  しかも、定番の悪役令嬢。 いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。  ですから婚約者の王子様。 私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。

処理中です...