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06.お嬢様の護衛です。
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ヒャッホー!
今日から念願の魔法学校に通うことになった。ここは王都のすぐ傍にあり高校から大学までの一貫教育機関だ。花子は取り敢えず高校を受けて見た。ルービック家の面々には一級魔法を使えるのに高校なんか受けてもつまんないんじゃないかと言われたが前世知識があるとはいえ、いきなり大学はやり過ぎだろうと年相応に同年代が通う高校を受験した。
昨晩おれやこれやと持たせようとする実父と異母兄を執事長に止めてもらい、必要最低限のものを持ってこの女子寮に入った。女子寮に入る時にもひと悶着あった。花子が一般庶民の寮に入ろうとすると特別棟じゃないとダメだと実父と異母兄の二人が騒ぎ出し、すったもんだの末に執事長がその代わり暗部から護衛を二人つけるということでやっと一般寮に行くことが出来た。それも都合がいいことに今年庶民でこの高校に受かったのは花子だけだったようで木造で出来た一般寮はほぼ彼女の貸し切りとなった。
寮について荷物を片付けるとここまで案内してくれた先生は一般寮には一般庶民しかいないので寮母がいないとそっけいない説明をするとすぐにいなくなった。
ある意味ラッキーだった。
花子は引率して来た教師がいなくなると通り際に見つけた図書室の文字が書かれた部屋の扉を開けた。
そこには天井まで届く蔵書がびっしりと壁を埋め尽くしていた。
余りのことに思わず大声で叫び出しそうになった。
いかんいかん。
ここは冷静にならなくては。
花子は一旦その図書室を出るともう一度、広々とした寮内を見て回った後、自分の護衛についてくれることになった二人に呼びかけた。
「あのー、これから食事を作るのでよかったら一緒に食べませんか?」
どこかで見守っている護衛に呼びかけたが何も返事がなかった。
そうよね。さすがに一緒はないかぁー。
花子諦めて寮に併設されている厨房に向かうと小麦粉と野菜、肉を使って簡単な料理を三人前作った。一人は自分用後の二つは自分を護衛している二人用だ。本当は時間があればサンドイッチでも作った方がいいのだがパンにするには発酵を含め直ぐにとはいかない。取り敢えず明日の朝食用にパンの元を仕込むと薄く焼いて伸ばした生地に肉と炒めた野菜を包んで皿の上に並べた。天井近くからごくりと言う音が聞こえたが彼女たちが護衛対象である花子が食べるまで彼女たちは食べないだろう。花子は手早く食べ終えると皿を洗って棚に戻すと残った料理を持って部屋に戻った。後は明日の用意をして寝るだけだ。花子の護衛対象もそれはわかっているようで一緒に部屋まで気配がついて来た。花子は手早く着替えると持って来た料理をそこに置いた。
「私はもう部屋で本を読んでから寝るから良かったらこれを食べて頂戴。」
花子は護衛二人の返事を聞かずにベッドに入るとサイドテーブルにある読書灯を灯した。
傍で護衛していた二人はいきなり目の前に置かれた料理に目を白黒させながらも自分たちがこれから護衛する人物のありがたい好意に甘えることにした。
これ・・・うま・・・。
二人は涙ながらに携帯食以外の食事にありついた。それ以後二人はリーダーである執事長に懇願して交代なしで花子の護衛を引き受けることにした。
この護衛美味しすぎます。
うんうん、そうよね。
二人の護衛が食事している間に花子は一般寮に併設されていた図書室から部屋に持ち込んでいた本を前にうっとりとした。
花子は入寮一日目を充実した読書三昧で過ごした。
今日から念願の魔法学校に通うことになった。ここは王都のすぐ傍にあり高校から大学までの一貫教育機関だ。花子は取り敢えず高校を受けて見た。ルービック家の面々には一級魔法を使えるのに高校なんか受けてもつまんないんじゃないかと言われたが前世知識があるとはいえ、いきなり大学はやり過ぎだろうと年相応に同年代が通う高校を受験した。
昨晩おれやこれやと持たせようとする実父と異母兄を執事長に止めてもらい、必要最低限のものを持ってこの女子寮に入った。女子寮に入る時にもひと悶着あった。花子が一般庶民の寮に入ろうとすると特別棟じゃないとダメだと実父と異母兄の二人が騒ぎ出し、すったもんだの末に執事長がその代わり暗部から護衛を二人つけるということでやっと一般寮に行くことが出来た。それも都合がいいことに今年庶民でこの高校に受かったのは花子だけだったようで木造で出来た一般寮はほぼ彼女の貸し切りとなった。
寮について荷物を片付けるとここまで案内してくれた先生は一般寮には一般庶民しかいないので寮母がいないとそっけいない説明をするとすぐにいなくなった。
ある意味ラッキーだった。
花子は引率して来た教師がいなくなると通り際に見つけた図書室の文字が書かれた部屋の扉を開けた。
そこには天井まで届く蔵書がびっしりと壁を埋め尽くしていた。
余りのことに思わず大声で叫び出しそうになった。
いかんいかん。
ここは冷静にならなくては。
花子は一旦その図書室を出るともう一度、広々とした寮内を見て回った後、自分の護衛についてくれることになった二人に呼びかけた。
「あのー、これから食事を作るのでよかったら一緒に食べませんか?」
どこかで見守っている護衛に呼びかけたが何も返事がなかった。
そうよね。さすがに一緒はないかぁー。
花子諦めて寮に併設されている厨房に向かうと小麦粉と野菜、肉を使って簡単な料理を三人前作った。一人は自分用後の二つは自分を護衛している二人用だ。本当は時間があればサンドイッチでも作った方がいいのだがパンにするには発酵を含め直ぐにとはいかない。取り敢えず明日の朝食用にパンの元を仕込むと薄く焼いて伸ばした生地に肉と炒めた野菜を包んで皿の上に並べた。天井近くからごくりと言う音が聞こえたが彼女たちが護衛対象である花子が食べるまで彼女たちは食べないだろう。花子は手早く食べ終えると皿を洗って棚に戻すと残った料理を持って部屋に戻った。後は明日の用意をして寝るだけだ。花子の護衛対象もそれはわかっているようで一緒に部屋まで気配がついて来た。花子は手早く着替えると持って来た料理をそこに置いた。
「私はもう部屋で本を読んでから寝るから良かったらこれを食べて頂戴。」
花子は護衛二人の返事を聞かずにベッドに入るとサイドテーブルにある読書灯を灯した。
傍で護衛していた二人はいきなり目の前に置かれた料理に目を白黒させながらも自分たちがこれから護衛する人物のありがたい好意に甘えることにした。
これ・・・うま・・・。
二人は涙ながらに携帯食以外の食事にありついた。それ以後二人はリーダーである執事長に懇願して交代なしで花子の護衛を引き受けることにした。
この護衛美味しすぎます。
うんうん、そうよね。
二人の護衛が食事している間に花子は一般寮に併設されていた図書室から部屋に持ち込んでいた本を前にうっとりとした。
花子は入寮一日目を充実した読書三昧で過ごした。
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