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05.良い考え!
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花子がセバスの紅茶で落ち着くのを見て取ったブランが娘の両手をギュッと掴むと懇願した。
「花子。これからは僕と一緒に住もう。」
「一緒にって奥様はどうされるつもりですか?」
確か昨日貸してもらった情報端末で調べたところ彼女の実父は信子ではないブラウンの実母と結婚して帝国の首都で生活していると書かれていた。そんなところに行くのは願い下げだ。
「大丈夫だよ。アンジェリーナは絶対本邸から出ないから問題ない。」
「???」
本邸から出ないからってどう問題ないのよ。
「何を無茶ぶりしてるんですか。花子は私と一緒にこちらで生活するんです。」
いつの間に帰ってきたのか二人の前にブラウンが現れた。
「はぁあーブラウンこそ何を言ってるの。ブラウンには婚約者がいるじゃないか。それこそ無茶ぶりというものだろう。」
「婚約であって結婚しているわけじゃないので一緒に住んでいるわけではありません。それに異母妹ですから何も問題ありませんよ。」
「それなら僕だって娘なんだからもっと問題ないだろ。」
聞いていた花子はどちらとも絶対一緒には住みたくないと固く決心した。これはやはり車の中で考えていたことを実行すべきだ。花子は言い争っている二人に高らかに宣言した。
「私はお二人と住むのではなく魔法学校に通いたいです。」
「「魔法学校だって!」」
「はい。」
「でも花子はもう一級魔法を使えるんだから通う必要はないだろう。」
「でも今まで本格的に魔法を習ったことはないんです。」
「習わなくったって出来るんだから問題・・・。」
「ブラン様。花子様は魔法学校だから通いたいのではありませんか。」
「だから何でそんな・・・。」
「かつてブラン様が魔法学校ではなく名前を伏せられてこちらの学校に通っていたのと同じ理由ではないでしょうか。」
「それはだから僕はルービックのものではない僕自身を見てもらいたくて・・・。」
なるほどその時に母と父は出会ったのか。
一体どんな理由で母が父と会ったのかと昨日情報端末で実父のことを調べていて首を傾げたのだがそれなら納得がいく。
「だけどまさか兄たちが二人とも亡くなるなんて当時は思わなかったんだ。本当なら・・・。」
ブランは言い訳をしようとして花子とブラウンが座っていることに気がついて口を閉じた。
これは子供に聞かせていい話じゃないと考えたのだろう。
「ですからブラン様と同じ気持ちなのではないかと言っているんです。」
セバスの説明に花子は狂喜した。なんて好い考えなの。ルービックではなく山田という名で通えれば中学時代同様。花子はひっそり静かに学園生活を送れる。それどころかひっそりと学園生活をおくった後にその学校を卒業したという卒業証明があればその後の就職にもことかかない。
「ぜひ、旧姓の山田で通わせてください。」
嬉しそうな表情の花子にブランは渋りながらもどちらとも一緒に住むわけでないから平等でしょうというセバスの後押しもあって花子は王都にある魔法学校に入学することが決まった。もっとも入学試験自体に受からなければ保護者であるブランと一緒に住んで王都にある魔法予備校に通うと約束させられたが前世大学まで出た知識と魔力を駆使して花子は魔法学校に一発合格を果たした。
ブランは合格を喜びながらも一緒に住む夢を絶たれて非常に残念がっていた。
花子はそんな実父の様子よりも自分がこれから王都にある魔法学校に通えることに心を震わせた。
「花子。これからは僕と一緒に住もう。」
「一緒にって奥様はどうされるつもりですか?」
確か昨日貸してもらった情報端末で調べたところ彼女の実父は信子ではないブラウンの実母と結婚して帝国の首都で生活していると書かれていた。そんなところに行くのは願い下げだ。
「大丈夫だよ。アンジェリーナは絶対本邸から出ないから問題ない。」
「???」
本邸から出ないからってどう問題ないのよ。
「何を無茶ぶりしてるんですか。花子は私と一緒にこちらで生活するんです。」
いつの間に帰ってきたのか二人の前にブラウンが現れた。
「はぁあーブラウンこそ何を言ってるの。ブラウンには婚約者がいるじゃないか。それこそ無茶ぶりというものだろう。」
「婚約であって結婚しているわけじゃないので一緒に住んでいるわけではありません。それに異母妹ですから何も問題ありませんよ。」
「それなら僕だって娘なんだからもっと問題ないだろ。」
聞いていた花子はどちらとも絶対一緒には住みたくないと固く決心した。これはやはり車の中で考えていたことを実行すべきだ。花子は言い争っている二人に高らかに宣言した。
「私はお二人と住むのではなく魔法学校に通いたいです。」
「「魔法学校だって!」」
「はい。」
「でも花子はもう一級魔法を使えるんだから通う必要はないだろう。」
「でも今まで本格的に魔法を習ったことはないんです。」
「習わなくったって出来るんだから問題・・・。」
「ブラン様。花子様は魔法学校だから通いたいのではありませんか。」
「だから何でそんな・・・。」
「かつてブラン様が魔法学校ではなく名前を伏せられてこちらの学校に通っていたのと同じ理由ではないでしょうか。」
「それはだから僕はルービックのものではない僕自身を見てもらいたくて・・・。」
なるほどその時に母と父は出会ったのか。
一体どんな理由で母が父と会ったのかと昨日情報端末で実父のことを調べていて首を傾げたのだがそれなら納得がいく。
「だけどまさか兄たちが二人とも亡くなるなんて当時は思わなかったんだ。本当なら・・・。」
ブランは言い訳をしようとして花子とブラウンが座っていることに気がついて口を閉じた。
これは子供に聞かせていい話じゃないと考えたのだろう。
「ですからブラン様と同じ気持ちなのではないかと言っているんです。」
セバスの説明に花子は狂喜した。なんて好い考えなの。ルービックではなく山田という名で通えれば中学時代同様。花子はひっそり静かに学園生活を送れる。それどころかひっそりと学園生活をおくった後にその学校を卒業したという卒業証明があればその後の就職にもことかかない。
「ぜひ、旧姓の山田で通わせてください。」
嬉しそうな表情の花子にブランは渋りながらもどちらとも一緒に住むわけでないから平等でしょうというセバスの後押しもあって花子は王都にある魔法学校に入学することが決まった。もっとも入学試験自体に受からなければ保護者であるブランと一緒に住んで王都にある魔法予備校に通うと約束させられたが前世大学まで出た知識と魔力を駆使して花子は魔法学校に一発合格を果たした。
ブランは合格を喜びながらも一緒に住む夢を絶たれて非常に残念がっていた。
花子はそんな実父の様子よりも自分がこれから王都にある魔法学校に通えることに心を震わせた。
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