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79.魔法図書館と裸婦画

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 翌朝。
 早めに朝食を終えた花子はなこは気が付くとフレッドを伴って魔法図書館に向かう小道を歩いていた。
 歩きながら花子はなこは朝食を終えた後の出来事を振り返った。
 花子はなことしては春画の件があるので本当は一人で向かいたがったが如何せん魔法図書館に入る扉の位置というか方法が今一歩わからず仕方なく”白の宮殿”に一緒にいる同性のムツキかキサラギに頼もうとしたのだが食べ終えた瞬間に二人はいつの間にどこかに行ったようでいなくなっていた。
 そして食べ終えた花子はなこの目の前には、用意周到に早く行きたいと言った彼女の希望を叶えるため魔法図書館に入るための用紙を抱えたフレッドが待機していた。
 そんなフレッドにあなたとは行きたくないなどと言える勇気はなく、結局彼に先導され何がいけなかったのかと後悔しながらも歩く花子はなこが後に続いた。
 フレッドは”白の宮殿”からすぐ近くにある大きな通りを花子はなこの歩調に合わせながらしばらく歩いてから一本左に曲がると行き止まりの壁に近づくと持っていた用紙を開いてそれをそのまま行き止まりの壁に張り付けた。
 フレッドがなんの変哲もない白い用紙を壁に貼り付けるとそれはスゥーと吸い込まれ淡い光を発するとそこに重厚な扉が現れた。

「どうぞ。花子はなこ様。」
 フレッドは現れた扉を開くと軽く会釈した。
「ありがとう。」
 花子はなこはいつもとは趣が異なる重厚な扉を潜ると中に足を踏み入れた。
 そこは見慣れた魔法図書館の床とは違って毛足が長い高級な絨毯が敷かれ、周囲の壁には金箔で彩られた高価な本の背表紙が壁一面に光っていた。
「すっごい!」
 思わず呟くとその本棚が置かれた部屋の中央に魔法図書館の館長が音もなく現れた。
「ようこそ花子はなこ様。今回は大量の本のご寄付、ありがとうございます。」

 フレッドの祖父であり魔法図書館の館長であるミート館長が輝く笑顔で花子はなこを迎えてくれた。
「えっとどういたしまして?」
 戸惑いながらも返事をする花子はなこにミート館長は嬉しそうな表情で重厚なガラスケースを指示した。
「さあこちらを是非とも、是非とも見てください。」

 花子はなこは笑顔のミート館長に勧められるまま何かが飾ってあるガラスケースの中を覗きみた瞬間に驚愕で固まった。

 こっ・・・こっ・・・こっ・・・こっ・・・これって、おばあ様が寄付したって言ってた春画。
 ひょえーな・・・な・・・なんと大量にあるの。
 それにしてもその大量にあるそれをこ・・・こんな高級そうな重厚なガラスケースに入れてなんで飾ってくれちゃってるんですか。
 思わず花子はなこは目をカッと見開いて春画を睨みつけた。
 その花子はなこの様子になんでか慌てた館長が急に春画の価値は物凄くあるんだという話を力説し始めた。
 それも飾られているガラスケースの絵を一つ一つ丁寧に指示しながら説明する。
 どうも花子はなこの様子にこの春画の寄付を取りやめられたらということを懸念しているようだ。
 花子はなこからすると寄付するとかしないとかではなく大々的に自分の名前を表示される方を気にしているのだが希少価値がある歴史的なものだと主張しているミート館長には通じないようだ。
 だがたとえどんなに希少価値があろうがなかろうが自分の名前を伏せてほしいともう一度お願いしようと口を開きかけるとそれより早くミート館長からとんでも発言が飛び出した。
「まあ色々この絵については説明しましたが魔法図書館としてはこの寄付に対する謝礼としてこの黄金のカギを寄付していただける花子はなこ様に進呈しようという話になりました。」
「黄金のカギ?それってなんなんですか。」
花子はなこ様。黄金のカギっの特徴と言えば代表的なものは本の永久貸出カードと希少本や禁書本の閲覧ですね。」
「永久貸出カード!それってずっと本を借りていて返さなくってもいいってことですか。」
 急に態度が変わった花子はなこにミート館長は訝しく思いながらも詳しく説明した。
「永久と言いましても貸し出しはあくまで花子はなこ様になりますから黄金のカギの持ち主が亡くなった時はその時点で本は自動的に魔法図書館に返却されます。また魔法図書館にしかない原本と禁書については貸し出しではなく閲覧のみになります。」
「でも閲覧は出来るってことですよね。」
「はい。そうです。」
 な・・・なんて素敵な言葉。
 これはこの図書館にある本はすべて読み放題ってことじゃない。
 
 読み放題。
 読み放題!!

 うっふふ・・・ぐふっ・・・。

花子はなこいやご主人様・・・大丈夫ですか。」
 急に様子の変わった花子はなこにフレッドがあたふた声を掛けていたが”読み放題”の単語に花子はなこの思考は壊れていた。
 ミート館長に促されるまま寄付の書類にサインをするとすぐさまその場で”黄金のカギ”を貰うと早速館長室を出て隣の大図書室で本を選びまくった。
 ”黄金のカギ”は素晴らしいことに花子はなこが選んだ本に触れるとそれを自動で登録し彼女の部屋に転送してくれた。
 持って帰らなくてもいいようだ。
 もちろん読み終わったときも自動で本を返却してくれる。
 なんともすばらしいシステムだ。
 花子はなこは思いつく限りの本を選ぶと意気揚々と図書館を出た。
 心はもう机の上に積みあがっている本に飛んでいた。
 もっともこの後に親切にも花子はなこ寄贈による春画展と銘打たれた招待状がミート館長から贈られて来て何をしているんだ自分と青くなるのは本を読み漁って十分に堪能してやっと我に返った後だった。
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