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59.力こそ正義
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「セバス。花子はどこにいるの?」
マリアは朝食の席で左の腕に白いフキンをさげ給仕をしているセバスを睨みつけた。
「おはようございます、マリア様。本日はムツキを連れて気晴らしに出かけております。」
セバスはそこまで説明するとスッとサラダと肉が飾られた皿をマリアの前に置いた。
「なぜ私に隠し事をするのかしら。私は”白の宮殿”の現当主です。その私が花子の居場所を聞いているのですよ。なぜ黙っているの。」
マリアは乱暴にお皿に乗っている肉にフォークを突き刺した。
「マリア様。お言葉ですが今回の花子様の活躍は素晴らしいものでした。」
セバスは”白の宮殿”の当主であるマリアから発せられた命令ともいえる問いかけを無視して語り出した。
「でも負けたのよ。あの・・・あのキンソン家に縁があるものに・・・。」
マリアはまたセバスに無視されたことで食事の手を止めると持っていたフォークをバンとテーブルに叩きつけた。
「魔力は花子様のほうが勝っておりました。」
またしてもセバスはマリアの話を聞かずに違う話を始めた。
「セバス!私は魔力の強さを言っているんじゃないわ。試合の結果よ。わかっているでしょう。」
「わかっております。ですが今回の件は花子様の責任というより我々の責任です。」
「それはまたどういう思考回路でそんな結論になるのかしらセバス。」
「理由はまだ戦闘経験が浅い花子様に訓練時に強い魔力ばかりで訓練を行った責任があるからです。」
マリアはセバスの言い訳とも言えない言葉に頬を引くつかせた。
「なんでそんなにあなたは花子をかばうのかしら。」
「マリア様。花子様の力は初代当主をも超えています。」
マリアはセバスが何を言いたいのか全く分からなった。
そんなことはもとからわかっっていた。
わかっていたからこそ花子を”白の宮殿”の次期当主として届け出たのだから。
「だからなに?そんなことはもうわかっていたことよ、セバス。あなたは何が言いたいの。」
「わかっていないのはマリア様の方です。」
「なんですって。私が何をわかっていないといいたいのセバス。」
「ルービック家は初代からずっと魔力の強さを誇ってきました。」
「そんなことは知っているわ。」
「つまりルービック家にとって”魔力の強さこそ正義”なのです。その魔力の強さが歴代ルービック家で最強である花子様こそ正義なのです。そしてそんな花子様を助け、他のものに負けないようにサポートすることこそ我々の使命なのです。」
マリアはセバスの”魔力の強さこそ正義である”と熱く語るその異様な情熱に自分の良く知る人物とはいえ退いた。
セバスがそこまで変態な考えの持ち主だったとは今まで気づかなかった。
思わずこのままセバスを花子に仕えさせていていいのかと真剣にマリアは考えた。
花子に悪影響を与えないだろうか。
いやこれだけ盲目的に仕えるものがいたなら何あった時の盾の役割は充分に発揮できる。
「マリア様。私の説明を聞いておられますか。」
どうやらまだセバスの力説は続いていたようだ。
マリアはそこで気が付いた。
さっきまでマリアは花子の居場所をセバスに問い詰める気満々だったのだがいまやすっかりそのやる気が失せてしまった。
マリアはテーブルに叩きつけたフォークと目の前に置かれている皿をセバスに片づけさせると大きなため息を吐いて食後のデザートに手を伸ばした。
やれやれ。
セバスのこれまでの行動が花子を怒るマリアの気力をそぐ作戦なら大成功だ。
まあ今のセバスの変態語りは正直に言って二度と聞きたくないが花子がルービック家始まって以来最強の魔力の強さを持っているのは間違いない。
やはりここはセバスの言葉通り時期当主である花子が無事”白の宮殿”の当主を継げるようにすることを最優先に考えなければいけない。
だがそうとはわかっていてもあのにっくきキンソン家が絡むとどうしても冷静に考えられなくなる。
はあぁー。
いけない。
同じ考えばかりに囚われていては。
そういえばセバスは今回やけに花子の居所を隠そうとしていた。
それはやはりマリアが昨日宣言した”白の宮殿”の図書室にある本の閲覧禁止が花子に想定以上の衝撃を与えていたというのが原因だろう。
それを踏まえて考えるなら花子は今魔法図書館にいるのだろう。
そういえばあの魔法図書館の貸し出しカードの役割を果たす”金のカギ”は爵位がある貴族しか手に出来なかったはずだ。
この事実は本好きの花子を当主に着けるようにするときのいい切っ掛けになるはずだ。
それにいい加減セバスに言われなくてもキンソン家を気にしすぎる傾向は当主として改める必要がある。
マリアは窓外の景色に目を向けるとデザートを食べていたスプーンを置いて席を立った。
「マリア様。」
「この件を不問に付す代わりに表彰式で赴く宮殿でキンソン家に侮られなうように全力を尽くしなさいセバス。」
「もちろんです。」
セバスはテーブルを立って出ていくマリアの背中に礼をした。
マリアは朝食の席で左の腕に白いフキンをさげ給仕をしているセバスを睨みつけた。
「おはようございます、マリア様。本日はムツキを連れて気晴らしに出かけております。」
セバスはそこまで説明するとスッとサラダと肉が飾られた皿をマリアの前に置いた。
「なぜ私に隠し事をするのかしら。私は”白の宮殿”の現当主です。その私が花子の居場所を聞いているのですよ。なぜ黙っているの。」
マリアは乱暴にお皿に乗っている肉にフォークを突き刺した。
「マリア様。お言葉ですが今回の花子様の活躍は素晴らしいものでした。」
セバスは”白の宮殿”の当主であるマリアから発せられた命令ともいえる問いかけを無視して語り出した。
「でも負けたのよ。あの・・・あのキンソン家に縁があるものに・・・。」
マリアはまたセバスに無視されたことで食事の手を止めると持っていたフォークをバンとテーブルに叩きつけた。
「魔力は花子様のほうが勝っておりました。」
またしてもセバスはマリアの話を聞かずに違う話を始めた。
「セバス!私は魔力の強さを言っているんじゃないわ。試合の結果よ。わかっているでしょう。」
「わかっております。ですが今回の件は花子様の責任というより我々の責任です。」
「それはまたどういう思考回路でそんな結論になるのかしらセバス。」
「理由はまだ戦闘経験が浅い花子様に訓練時に強い魔力ばかりで訓練を行った責任があるからです。」
マリアはセバスの言い訳とも言えない言葉に頬を引くつかせた。
「なんでそんなにあなたは花子をかばうのかしら。」
「マリア様。花子様の力は初代当主をも超えています。」
マリアはセバスが何を言いたいのか全く分からなった。
そんなことはもとからわかっっていた。
わかっていたからこそ花子を”白の宮殿”の次期当主として届け出たのだから。
「だからなに?そんなことはもうわかっていたことよ、セバス。あなたは何が言いたいの。」
「わかっていないのはマリア様の方です。」
「なんですって。私が何をわかっていないといいたいのセバス。」
「ルービック家は初代からずっと魔力の強さを誇ってきました。」
「そんなことは知っているわ。」
「つまりルービック家にとって”魔力の強さこそ正義”なのです。その魔力の強さが歴代ルービック家で最強である花子様こそ正義なのです。そしてそんな花子様を助け、他のものに負けないようにサポートすることこそ我々の使命なのです。」
マリアはセバスの”魔力の強さこそ正義である”と熱く語るその異様な情熱に自分の良く知る人物とはいえ退いた。
セバスがそこまで変態な考えの持ち主だったとは今まで気づかなかった。
思わずこのままセバスを花子に仕えさせていていいのかと真剣にマリアは考えた。
花子に悪影響を与えないだろうか。
いやこれだけ盲目的に仕えるものがいたなら何あった時の盾の役割は充分に発揮できる。
「マリア様。私の説明を聞いておられますか。」
どうやらまだセバスの力説は続いていたようだ。
マリアはそこで気が付いた。
さっきまでマリアは花子の居場所をセバスに問い詰める気満々だったのだがいまやすっかりそのやる気が失せてしまった。
マリアはテーブルに叩きつけたフォークと目の前に置かれている皿をセバスに片づけさせると大きなため息を吐いて食後のデザートに手を伸ばした。
やれやれ。
セバスのこれまでの行動が花子を怒るマリアの気力をそぐ作戦なら大成功だ。
まあ今のセバスの変態語りは正直に言って二度と聞きたくないが花子がルービック家始まって以来最強の魔力の強さを持っているのは間違いない。
やはりここはセバスの言葉通り時期当主である花子が無事”白の宮殿”の当主を継げるようにすることを最優先に考えなければいけない。
だがそうとはわかっていてもあのにっくきキンソン家が絡むとどうしても冷静に考えられなくなる。
はあぁー。
いけない。
同じ考えばかりに囚われていては。
そういえばセバスは今回やけに花子の居所を隠そうとしていた。
それはやはりマリアが昨日宣言した”白の宮殿”の図書室にある本の閲覧禁止が花子に想定以上の衝撃を与えていたというのが原因だろう。
それを踏まえて考えるなら花子は今魔法図書館にいるのだろう。
そういえばあの魔法図書館の貸し出しカードの役割を果たす”金のカギ”は爵位がある貴族しか手に出来なかったはずだ。
この事実は本好きの花子を当主に着けるようにするときのいい切っ掛けになるはずだ。
それにいい加減セバスに言われなくてもキンソン家を気にしすぎる傾向は当主として改める必要がある。
マリアは窓外の景色に目を向けるとデザートを食べていたスプーンを置いて席を立った。
「マリア様。」
「この件を不問に付す代わりに表彰式で赴く宮殿でキンソン家に侮られなうように全力を尽くしなさいセバス。」
「もちろんです。」
セバスはテーブルを立って出ていくマリアの背中に礼をした。
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